太陽の塔

僕は鋭く睨まれた

 

太陽の塔の上の方がバスの窓からちらりと見える。しかし、うまい具合に木に隠れよく見えない。それが逆に興奮を駆り立てた。

興奮したままバス停に降りる。太陽の塔はそこに見えている。もうすぐだ。走るように記念公園に向かい、入場。入った瞬間、そこに現れたものに思わず息をのんだ。太陽の塔。あれが太陽の塔。やっと全貌を明るみにした。木々のなかにそびえたつ巨大な芸術作品。まず、全体像に見とれる。近くから見上げてもみる、そして、後ろに回っても見る。
 

もう一度、全体像を見渡した時、僕は不思議に思えた。太陽の塔を見に来たのに、僕は3つの顔に見られているように感じるのだ。間違いなく、太陽の塔は3つの顔で僕の心をにらみつけている。
 

太陽の塔と向き合う僕。感動、興奮はせず、かといってなにか言語化できるような心象があるわけでもなかった。

ただ、ふと湧いて出てきたのは「普通じゃなくていいのだ」という暖かい思いだった。


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