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春の風

サニーデイ・サービス
いいね!(2020年):4曲目

サニーデイ・サービスの曲は以前「セツナ」のMVを見た時以来かも。イイ癖があった。

これはたまたまSpotifyで遭遇して一「聴き」惚れした。さらっと聴けてスピードがあってキャッチー。それから繰り返して聴いていると言葉も惹かれるものがあった。頭の中で景色が拡がった。のでそれを勝手にたらたらと書く。

今夜でっかい車にぶつかって死んじゃおうかな
飛び込んで行って太陽を掴む

まず、掴みが良すぎる。
死んじゃおうかなって。強い希死念慮があるわけじゃなくて、もういいかなって思うとき、私はある。そんな感覚で私は捉えた。でも太陽を掴むんでしょ?圧倒的に明るくてエネルギーのあるもの。

犬のように吠えるぶんざいで夢ばっかり見てる
ハンサムなのは夏の日の命

何でもない、冴えない主人公。自分を重ねちゃう。
からの爽やかな表現。生きよ、死んでられないなって思わざるを得ない。素敵。

あの娘は人工的な性格で新時代を待つ
上海レストランで働いてる

静かで冷めてるけど未来に微かに希望を見出だす「あの娘」を想像する。「上海レストラン」の意図は私には分からないけどチャイナドレスを着てるのかな。いいよねチャイナドレス。もちろんお上品なやつ。

そうさ、ぼくは純情な息子 
割れた皿を拾い集める
また虹のかけらを探している

壊れたものと美しいものの対比が綺麗。

行きずりのだらしないkissで
ぼくを目覚めさせて
きみの匂いをかがせて
春の風が吹いている

これをどんな風に捉えたらいいのか。
初めに直感的に思い描いたのは爽やかで暖かい春の空気が優しく吹いてくるシーン。「風」を歌ってる。何回も聴くうちに「誰か」なのかなって想像が膨らんだ。

くじらみたいな雲が浮かぶこの町の名前はなに?
どっかで忘れてずいぶんと経つ

「くじらみたいな雲」ってなんだかファンタジーの世界のようで、ほんとにありそう。大きくてもくもくしてるのが容易に想像できる。

五線譜を引き裂いて血が流れて愛を伝える
おまえのすべてが星のよう

五線譜(音楽)って私にとって「平和」とか「自由」を象徴する気がする。そんな世界、時代じゃなきゃ好きな音楽に手が届かないから。聴くのも奏でるのも。それが侵されて悲しい出来事が起きて初めて気付く大事なこともあるのかな。

出しぬけになまぬるいsmileで
ぼくを目覚めさせて
きみの匂いをかがせて
春の風が吹いている

ん。笑うならやっぱり「風」ではなくて「誰か」?

ぼくを目覚めさせて
きみの匂いをかがせて
春の風が吹いている

やるせない自分、社会、時代で暗い日々を生きる中で、「風」なのか「誰か」なのか、どっちでもいいけど、いつだって誰にだって救われるものがあってほしいな。私にとって「音楽」もその一つ。

歌詞の受け取り方なんて千差万別だし答えなんて無いのは百も承知。でも「風」と思って聴いていた時に、片想いしてる人に「疾走感がいいよ!」ってこの曲を勧めた。後から「誰か」なのかなって思うようになって、小っ恥ずかしくなった。

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