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あなたは大丈夫?帯状疱疹になったので、発症から退院までをまとめてみた。

こんにちは!
突然ですが、帯状疱疹という病気をご存知でしょうか?

ひょっとすると、あまり馴染みのない病気かもしれません。実のところ、私も発症するまでは"病名を知っている"程度でした。

と言うのも、帯状疱疹を発症する多くが50〜80歳代が多く、主に免疫力の低下、過労や疲労などを原因に水痘・帯状疱疹ウィルスが特定の神経に沿って出るもの※1で親や親族などに発症例がない場合はあまり縁が無い病気ではないかな?と思います。

実際に私は30代なのですが、帯状疱疹を発症・重症化するには年齢が若い。と主治医から診断の際に言われてしまいました。

とは言え、年齢に関係なく発症する可能性もある病気であり今年の酷暑で外仕事をしている方を中心に発症例が増えていたり、過度な日焼けをきっかけに発症する例も増えているとのこと。発症をきっかけにエビデンスのあるデータや事例をリサーチする中で"子育て世代の20〜40歳代での発症例が増えている"※1と言うことも判明して、他人事とは思えなかったので、記憶が鮮明なうちに記録として纏めておこうと思いました。

起業して二期目。元外資系コンサルタントが帯状疱疹の発症から退院までをまとめてみました。

以下を主な読者対象者として記述します。

  1. ひょっとしたら、帯状疱疹かもしれない?と感じた方が少しでも早く医療機関への受診が出来て適切かつ早期の治療ができるよう

  2. 家族や大切な人が帯状疱疹を発症してしまった際にどうしたらいいか?自分ごととして理解・解像度を上げたいという方

  3. 部下や上司が帯状疱疹になってしまった際に病気についてざっくりと知りたい方

※出来うる限りエビデンスに沿った内容を記述しますが、一部著者の主観的内容が含まれる点は予めご了承ください。

◆まずは環境と前提を共有
著者は30代既婚の男性。三児の父。妻と子供の5人で暮らし。仕事は会社役員(創業経営者)。帯状疱疹の発症は2024年7月22日頃でした!
いわゆる子育て世代という認識でお読みください。

◆帯状疱疹とは?

▪︎概要

帯状疱疹(たいじょうほうしん)は、水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスによって皮膚の痛みや発疹などが起こる病気です。

帯状疱疹を引き起こすウイルスは、水ぼうそうの原因となるウイルスと同じ“水痘・帯状疱疹ウイルス”です。
初めて感染したときには水ぼうそうとして発症し、治った後もウイルスは体内に残ります。普段は免疫によって抑えられているため症状は現れませんが、加齢や疲れなどで免疫が弱まるとウイルスが再び活動し始め、帯状疱疹を発症します。
帯状疱疹は50歳以上の人に多く発症するため、50歳以上の人は帯状疱疹ワクチンの接種対象とされています。接種することで発症の予防効果や、発症した場合の症状を軽くする効果が期待できます。
source  :メディカルノート

▪︎発症

初めの違和感は頭頂部の一部分にピリピリ痛みを感じることでした。頭皮の一部が時折、ピリピリと痛みを感じる。近しい例えは、小さくて芯のある汗疹(あせも)やニキビが出来てしまった。と例えると分かるでしょうか?起き上がるとき、髪の毛を洗うとき。何となくピリピリと感じる。そんな些細で一瞬のことでした。

▪︎帯状疱疹の進行

頭頂部から発症した帯状疱疹は後頭部から前頭葉の方へ三叉神経第一枝(眼神経)をつたって増殖していました。一番タチが悪かったのが帯状疱疹と"認知"して"処置する"機会がかなり遅れてしまったことでした。理由はシンプルで、頭皮に出来た帯状疱疹は目には見えづらく分かりづらいこと。初期症状は私の場合、軽微なもので、汗疹やニキビと似ていたので帯状疱疹とは想起できず、時間の経過とともに回復するものと勘違いを起こしてしまいました。

頭部の違和感を感じた際の帯状疱疹への注意点

  • 髪の毛に隠れて視覚的に見えない。

  • 初期症状が汗疹やニキビと似ている。(※個人差有り)

  • 夏だったので、汗疹やニキビなど肌のトラブルだと判断して分かったつもりになっていた。

上記の3つの点から、発症初期段階での治療に遅れが出てしまいました。これにより、後に重症化してしまうことになります。。

▪︎夏場の発症にはご注意を!
帯状疱疹発症から一週間後。汗疹と感じていた頭頂部の疱疹は瘡蓋になっていましたが、頭皮に複数の湿疹らしき"できもの"がある事は把握していました。(このタイミングでも初期の疱疹が出た箇所に痛みがある程度で他は気になる痛みはありませんでした。)タイミング的に小学校が夏休みに入った事で子供達が家にいるようになり育児と家事、仕事の両立がハードモードになる時期。子供の寝かしつけと共にお風呂に入らず朝まで寝落ちしている事も増えていたので、汗疹やニキビ?のような肌荒れや、何かしら皮膚のトラブルとミスリードしてしまっていた事も受診を遅らせてしまった原因でした。

▪︎受診のきっかけは妻
子供の寝かしつけで絵本を読み聞かせしながら、何気なく妻に「オデコ?髪の毛の生え際が痛痒いんだよね。」と相談。患部を見た妻から開口一番に「明日、必ず病院へ行ってほしい。」と普段あまり聞かない声のトーンでお願いがありました。妻のスマートフォンで患部の写真を撮ってくれたものを見た際に"汗疹"や"ニキビ"とは全く異なる事を自己認識しました。お風呂上がりという事もあって患部の赤みと共に腫れが目立ち、何より疱疹が発生していたので、帯状疱疹の可能性を初めて感じた瞬間でした。

▪︎アドヒアランス向上の為に患者ができる事

普段馴染みのない言葉かもしれませんが、医療現場で「患者が治療方針の決定に賛同し積極的に治療を受ける」ことを意味するアドヒアランス(adherence)という名詞に関して製薬業界を中心に医療の領域において向上させる事を強く意識されているペインの一つと認識しています。と言うのも前職の外資系コンサルティングファームにおいてクライアントに外資・内資系の大手製薬会社様が複数社いらっしゃったので少しばかり知見がありました。(※閑話ですが著者のトラックレコードの一つ https://www.pfizer.co.jp/pfizer/development/innovation/healthcarehub

即ち、より最適かつ積極的な治療を受けるためにも医療機関側の努力だけではなく患者側も正しい論拠(エビデンス)のある一次情報に触れて知識を蓄える必要性があると著者は考えて、症状が悪化する前に必要な情報の摂取をはじめました。

▪︎受診。そして、悪化へ

帯状疱疹を発症し9日目に総合病院へ。この頃には頭痛が酷くなり、オデコから眉そして、まぶた周辺にもピリピリとした痛みが出ていました。受付を済ませ皮膚科の受診前に看護師さんによるアセスメント。客観的情報収集として、問診、観察を患者として受けますが、この時点で医療機関の様子が変わりました。医師の問診もそこそこに、すぐに帯状疱疹ウィルスの検査キットと血液検査を実施。

結果はすぐに出て「頭部、三叉神経第一枝の帯状疱疹」。発症から逆算するとかなりの日にちが経過していた事。発症した年齢から原因となる疲労の蓄積及び免疫力が低下している状況。三叉神経第一枝(眼神経)に発症している事で神経痛、顔面マヒ、結膜炎、角膜炎、白内障や最悪失明などの合併症リスクが高い事。も言い渡され"入院"の選択肢も提案されましたが、経営している会社の決算期を12月→7月に変更した事。支払い、納税等の決裁が必要なタイミングだったこと。子供たちが夏休みで妻に育児と家事の負荷をかけたくなかった事などから"自宅療養"を選択。7日間のみきりする抗ウィルス薬を服用して回復を待つも、受診後間も無く発熱。翌日には38℃代に...頭痛も更にひどくなり、子育てや仕事どころでは無くなってしまいました。そして、受診から2日後の8月2日にまぶたと眼部の腫れが酷く、陽光や照明の"光"を感じると目の奥に突き刺さるような激しい痛みと頭痛が発生。再診して入院をする事になりました。

▪︎入院〜復調へ

入院は看病をしてくれた妻と相談して決めました。入院を決断するに至った理由は以下でした。

  1. 発症〜治療までの期間が空いた事で自宅療養で早期治癒は難しい事がわかった。仕事や育児どころではない状況なので、入院して適切な処置が必要なフェーズと思った。

  2. 中・長期的視点で俯瞰した際に合併症や後遺症のリスクを感じました。発症した部位が頭部及び眼部の帯状疱疹という事で仕事、育児、家事を超えて人生レベルで影響が出てしまうことを恐れました。

入院してからは、ホッと一安心したのと頭痛と主にまぶたをはじめ眼部の痛みが強く二日間ほぼぶっ通しで寝ていました。起きるタイミングは食事(朝昼夜)、点滴(午前6時、午後14時、午後22時)、回診時(決まった時間はない)くらいで日によっては起きられなかった事もありました。入院から3日目。ここにきて疱疹の広がりが止まり皮疹が水疱から乾燥して、瘡蓋〜色素沈着で赤から赤黒い状態が増えてきました。特に楽になったのは眼部の腫れが引いた事。これにより、まぶたの腫れからくる眼部の圧迫感も減り、視界が開けた(これまで片目で生活。階段や病室の移動の際などで乗り物酔いのような症状が発生。これもマジで辛かった...Orz)事で生活がしやすくなりました。熱も38℃代から37℃代に!

▪︎帯状疱疹とは回復と悪化を繰り返しながら回復していく。

主治医から説明があった際に胸に残った言葉でした。説明の通りで復調傾向でも頭痛は強いときと弱い時、発熱も日中は37℃代でも夜になるにつれて38℃代になる事を繰り返し、寝汗で病室のベットに人型の模様が浮き上がるほど汗びっしょりになったりと回復⇄悪化を繰り返しながら回復していきました。一方で目に見える帯状疱疹による皮疹は日に日に水疱→乾燥して瘡蓋→色素沈着→少しずつ元の肌色になるといった具合に回復しているのが分かりました。ただ、見た目としては水疱がある時期よりも乾燥して瘡蓋になる時期のほうが痛々しい見た目になりがちでした。

▪︎体験したことのない"かゆみ"

入院から4日ほど経過した頃に発生しはじめた患部の"かゆみ"。治っている証拠ではありますが、想像を絶する文字通り"体験したことのないかゆみ"でした。近しい例えがあまり思いつかないのですが、蚊に刺されるというレベルではなくブヨやハチに刺された際に出るようなかゆみに近い放っておいて良いレベルのかゆみではありませんでした。何せ、かゆみで寝れないくらいです。幸いにも主治医が皮膚科の先生で入院していたので、直ぐに看護師さんに相談して飲み薬と塗り薬のかゆみ止めを処方してもらいました。帯状疱疹では"あるある"らしいのですが、今もかゆみが強く薬無しでは生活に支障が出るレベルです。

▪︎退院の目安

帯状疱疹への治療プロセスでは原因療法となるウィルスを抑える抗ウィルス薬と対処療法の痛み止めが中心になります。抗ウィルス薬の投薬期間が一週間程度なので最低でも一週間の入院は必要と聞いていましたが、合併症や後遺症などの症状や状況によって変わります。ちなみに、飲み薬タイプの抗ウィルス薬も一週間飲み切りだったので原因療法としては最低でも一週間ほど治療期間が必要と認知いただくのが良いかと思います。

▪︎退院〜自宅療養

私の場合は一週間と少しの入院が必要でした。退院の日に回診で主治医に言われた事は「退院したからと言って、急に元の生活には戻さないでください。出来るだけゆっくりと休み回復を待ってください。」でした。つまり、退院の段階で完全回復とは言えない状況でした。事実、退院した日から3日は夜になると体調悪化。発熱と頭痛、寝汗で夜中に2回着替える事もありました。

"帯状疱疹とは回復と悪化を繰り返し回復する。"

主治医の言葉が身に沁みました。

▪︎帯状疱疹の傾向と子育て世代の発症が増えている件


厚生労働省では水ぼうそう(水痘)の全国的な調査を行なっていますが、帯状疱疹については年間の患者数の全国的な統計データは無い状況でした。そこで、更に調べてみると宮崎県内で、帯状疱疹に関して定点的に調査をしているデータがある事を発見しました。以下、宮崎県の大規模疫学調査(宮崎スタディ)より引用した内容と考察です。

◆20年余りで1.6倍以上に

NHK 「帯状疱疹」コロナ禍で増えてる?症状・接種との関係は?より引用

1997年は4243人だった患者数が年々右肩上がりに増え、2019年には6948人と、20年余りで1.6倍以上に。

増加の理由について外山医師は(1)「高齢化」と(2)「水ぼうそうワクチンの定期接種」があると考えています。

▪︎注目すべきは(2)の「水ぼうそうワクチンの定期接種」

帯状疱疹の予防には、実は水ぼうそうのウイルスにある程度触れて、免疫を活性化させたほうがよいことがわかっています。これは「ブースター効果」と呼ばれています。

日本国内では2014年10月に水ぼうそうワクチンの定期接種が始まり、水ぼうそうを発症する子どもは減少しています。しかしそれに伴い20代から40代の親の世代が「ブースター効果」を得る機会も減りました。
これによって近年、子育て世代の患者数が多くなっているというのです。

引用:NHK 「帯状疱疹」コロナ禍で増えてる?症状・接種との関係は?外山医師の考察。

▪︎20代から40代の若い世代で発症率が上がっているのはなぜなのか?

NHK クローズアップ現代より引用

宮崎県皮膚科医会 大規模調査 責任者 外山望医師 「ここ(20~40代)は、いちばん少ない世代だったけど、今はいちばん(発症率が)上がってきている」

2014年に1〜3歳の子供を対象とした予防接種が努力義務になりました。これにより水ぼうそうにかかる子供が15/1に激減。実際に私は三児の父ですが、3人とも水ぼうそうになった事はありませんでした。即ち、私自身も子供を介して水ぼうそうウィルスを取り込む機会は無く、ブースター効果を得られずに20代〜40代の子育て世代の帯状疱疹が増加した一つの例となりそうです。

一方で水ぼうそうは小脳炎や急性小脳失調などを起こす怖い病です。大人の帯状疱疹を減少させるために水疱ワクチンを子供のために打つのをやめるのは本末転倒であり。国立感染症研究所の帯状疱疹大規模疫学調査「宮崎スタデ(1997-2017)」アップデートによると、"1998~2003年の間のマサチューセッツでの, Oka株水痘ワクチンによる全面的なワクチン接種により, 水痘発症率が減少する一方, 帯状疱疹発症率は増加した。"との記述がありました。

▪︎帯状疱疹の季節変動に関して

季節変動については、水ぼうそう(水疱)が冬に増加し、夏に減少するのに対して、帯状疱疹は逆に冬に減少し、夏に増加する傾向が認められている。尚且つ、調査した15年間で傾向は変わらなかったとの報告(宮崎スタディ)

▪︎50歳以上はワクチン接種も可能に

日本において、2016年3月から、50歳以上の人に対する帯状疱疹の予防効果が効能として追加されている。本noteでは詳しくは触れないが、国内外の事例を調べると発症する確率及びPHN(合併症)への効果も期待できそうな内容であった。また、ワクチン接種は現状では保険適用がなく、任意接種に位置付けられているため接種料金は全額負担となります。詳しくは医師に相談してください。

以上、おおよそ私に近しい年齢の方に向けて帯状疱疹についてまとめてみました。noteを記載したのが2024年の8月という事で季節的にも帯状疱疹を発症しやすい季節です。また、20代〜40代の子育て世代の方も多くご覧になられるかと思いますので、仕事と育児の両立による疲労が出やすい夏は特に注意して、何か異常を感じたら医療機関への早期受診をおすすめします。

私自身もこのnoteを公開する事で、帯状疱疹になった一連の出来事をプラスに転じられる事と信じています。人生何事も経験ですが、本noteを通してQOLが低下する合併症や後遺症になる可能性を1%でも減らす事が出来たのなら幸いです。それでは、あと少し完全回復まで治療に専念したいと思います。

著者の竹田はお店のない釣具店 Fish Hookを運営する株式会社Fish Hookを2023年に創業しました。良ければお店をのぞいてみてくださいね🐟✨

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文献

※1 IASR 帯状疱疹大規模疫学調査「宮崎スタディ(1997-2017)」アップデート

IASR 水痘・帯状疱疹の動向とワクチン(IASR Vol. 39 p129-130: 2018年8月号)

マルホ |帯状疱疹の疫学

川崎高津診療所紀要 第 4 巻 1 号 2023 高齢者における新型コロナウイルスワクチン接種後の帯状疱疹

NHK きょうの健康 ニュース 「急増!帯状疱疹(ほうしん) 後遺症を防ぐには?」

NHK クローズアップ現代 3人に1人が激痛!? 増加する帯状ほう疹 そのワケは?

GSK announces the results of the awareness survey on shingles in 12 countries including Japan - misunderstandings about the symptoms and risk of developing shingles are revealed -

国立感染症研究所 帯状疱疹ワクチン ファクトシート 平成29(2017)年2月10日

著者 闘病記より

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