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2024/07/23 日経新聞 朝刊 個人的厳選4トピックス

[1面] バイデン氏撤退 
米大統領選、対決の構図一変
「国・党に最善の利益」 
民主後継へ、ハリス氏支持広がる

米民主党のバイデン大統領は11月の大統領選挙から撤退し、ハリス副大統領を後継候補として支持することを表明しました。バイデン氏は再選を目指していましたが、党と国の最善の利益を考え職務に専念することを決意したと述べています。彼の撤退により、民主党内ではハリス氏への支持が急速に広がり、クリントン夫妻や複数の知事が支持を表明しています。オバマ元大統領は具体的な後任候補名には触れていませんが、22日時点で民主党の上院議員33人、下院議員160人、知事16人がハリス氏への支持を表明しており、これは民主党議員の過半数に当たります。バイデン氏は任期満了まで大統領職を続ける一方で、ハリス氏の選挙戦を支援する姿勢を強調しています。民主党が候補者差し替えを円滑に進めなければ、党内の分裂が共和党に有利に働く可能性があると警告されています。

下請け取引、是正へ法改正議論
公取委・中小企業庁、適正な価格転嫁進める 
物流の慣行にもメス

公正取引委員会と中小企業庁は、インフレが進む中で適正な価格転嫁を進めるため、下請法の見直しを開始し、22日に有識者による初会合を開きました。目的は、資源高や円安の悪影響を中小企業に集中させず、幅広い企業が賃上げできる環境を整えることにあります。中小企業の価格転嫁率は2024年3月時点で46.1%と5割に届かず、全く転嫁できていない企業も19.8%あるため、法の執行を強化する必要があります。会議は月1回の頻度で開かれ、東京大学名誉教授の神田秀樹氏が座長を務め、年内にも改正案をまとめる見込みです。また、物流業界への対応も議論し、荷主と運送事業者の関係を下請法の対象とする法改正を目指しています。さらに、金型の無償保管など製造業特有の慣行も問題視し、所有権の有無に関わらず無償保管が法令違反になると明確化する方針です。公取委の向井康二審議官は「経済の好循環を実現するには賃金の原資が確保できる取引環境の整備が重要」と述べ、中企庁の山本和徳事業環境部長も「価格転嫁はサプライチェーン全体で取り組むべき課題」と強調しました。

植田日銀、ジレンマの7月会合 追加利上げ焦点
物価は「想定通り」、消費の見方に濃淡 
実質賃金の下落続く

日銀は30日と31日に金融政策決定会合を開き、6月会合で決めた国債買い入れ減額の具体策や追加利上げに踏み込むかが注目されていますが、物価上昇率は政府・日銀の目標の2%を上回り、金融正常化を求める声がある一方で、実質賃金はマイナスが続き、消費も力強さを欠いています。企業の物価見通しや期待インフレ率も上昇しており、小売り販売は好調ですが、実質消費活動指数や家計調査では消費が減少、消費者態度指数も悪化しており、賃上げや定額減税、夏の賞与が今後の消費を支えると見られていますが、実質賃金は26カ月連続でマイナスとなっています。

米長期金利に財政懸念
民主勝利でも上昇観測 利回り曲線、傾斜強まる

米債券市場では、トランプ前大統領の再選可能性が高まる中で利回り曲線のスティープ化が進行しています。バイデン大統領が選挙戦から撤退しトランプ氏が優勢との見方が強まることで、10年債や30年債の利回りが上昇し、2年債の利回りが低下する「トランプ・トレード」が広がっています。トランプ氏の再選による減税恒久化や移民制限、国債の増発が予想されるため、債券売りが進行していますが、バイデン大統領の撤退でハリス副大統領が後継候補として支持される中でも長期金利には上昇圧力がかかりやすいとされています。さらに、米連邦準備理事会(FRB)の急速な利上げにより「逆イールド」が続いていましたが、解消に向けた動きも見られ、米金利先物からはFRBの9月利下げが市場に織り込まれています。短期金利は上昇が抑えられつつも、財政懸念が長期金利を押し上げて逆イールドの解消が予想され、逆イールドは景気後退のシグナルとされるものの、米経済がソフトランディングに向かうとの見方も存在します。

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