フレーム
ものごとの認識の枠組み、フレーム。一つの単語であったり、いくつかの言葉による概念であったりするが、これがさまざまな枠組みによって捉え方が変容するのが厄介でもあり、豊かさの源泉でもある。
「明日って暇?」という一言に対しては、「暇だけど」と答えることもできるが、心の中で(悩み事あるのかな?)とか、(僕のこともしかして好き?)とか、さまざまな受け止め方ができる問いかけでもある。
問いかけ方に幅を持たせたり、逆に誤解なく問いかけたり、といったことが柔軟かつ的確に出来る人は、コミュニケーション上手ということになるのだろう。対話型鑑賞の上手い進行のメソッドとは、そうしたテクニックの総体だと捉えられがちでもあるが、結局は、鑑賞者の思考を刺激したり解き放ったりしてグルグル稼働し続けられる状態をキープしていけるか?ということが要だろう。
一鑑賞者として、自分の凝り固まった捉え方が瓦解して、作品の要素が別の形で組み上がるように異なった解釈が立ち上がるような瞬間が、最も高揚するし、アートって面白いなと感じる時でもある。
同じような感覚を、社会や人との向き合い方でも持っていたい。自分の捉え方は、ある一面の捉え方でしかなく、その認識は意外と簡単に刷新してしまう可能性を孕んでいるということ。時に直感に従うこともするし、時にその直感を疑うことも厭わない。緩く手綱を握りつつも完全には手放さないくらいの距離感で、自分のものの見方と付き合えるようにしていきたい。