夫婦だから叶えられる!面白くてわかりやすい化学の本!『マンガと図鑑でおもしろい! わかる元素の本』うえたに夫婦重版記念インタビュー
元素と聞くとどんなイメージがわきますか?
長期休みの勉強やクリスマスプレゼントにもぴったりの、『マンガと図鑑でおもしろい!わかる元素の本』。
「7歳でも一人で読める!」
「理科への苦手意識がある文系でも楽しめる!」
など、大好評!
発売から1年半以上経った今も、重版を重ね、多くの方に手に取っていただいています。
今回は、本書の著者・うえたに夫婦のお二人に、
「どのようにして夫婦で作品を作っているのか?」
「そもそもいつから理系イラストレーターなのか?」
など、リアルなお話を伺いました!
メーカーの研究員から
理系イラストレーターへ転身!
――いつから理系イラストレーターとして活動し始めたのですか?
うえたに夫:僕たちは、理系担当は僕で、奥さんは全然理系じゃないんです。もともと奥さんが手作りの雑貨を作って、デザインフェスタに出店していて。僕は最初は手伝いに行っていたんですが、僕も出るなら、僕も何かグッズを作って販売したいなと思うようになって、ビーカーくんのグッズを制作したのが始まりでした。
――うえたにさんはもともと理系だったんですか?
うえたに夫:僕はもともと、理系出身で大学院卒業後は化粧品メーカーで研究員をしていたんです。以前から絵を描くのも好きで、スケッチブックをもって絵を描きに行くこともありましたね。
自分で何かを作ろうと思った時に僕は、絵を描くのが好きだし、毎日実験をしてる。だったら理系に関わるようなキャラクターを作ったら面白いかもと思って。そうして生まれたのがビーカーくんでした。
当時僕はバリバリのサラリーマン。イラストを仕事にしようなんて全く思っていませんでした。
――メーカーのお仕事を辞めるのは結構勇気がいることだったのではないですか?
うえたに妻:よく言われます(笑)
うえたに夫:会社を辞めたのは1冊目の本が出たタイミングでしたね。ずっと趣味として活動していたんですが、誠文堂新光社さんから「ビーカーくんの本を作りませんか」っていうお声掛けをいただいたんです。でも、会社をやめるとは全然思ってなくて、僕は不安だったんですけどね。奥さんがもう「辞めろ辞めろー!」って感じで(笑)
うえたに妻:当時は会社員だったので、夫は顔を隠して活動していたんですよ。本を出すなら、隠さずに夫が前に出たらいいんじゃないかなと思ったんです。
――奥さまが反対されるケースも多いと思いますがむしろノリノリだったんですね!
うえたに夫:そうですよね(笑)辞めた時点では2冊目の発売も決まっていなかったので、今考えたら、よう辞めたなっていう感じですね。
うえたに妻:1冊目が出たのが退職日の次の日だったんですよ。確かに2冊目は決まっていなかったけど、グッズが割と売れていたし、本とグッズの2つの軸があるならどうにかなるんじゃないかと思ったんです。
――グッズのデザインは奥様がされているんですか?
うえたに妻:そうですね。10年前、イラストレーターになりたくて、Adobeのillustratorの使い方教室に通ってたんです。その時の経験があったので、ビーカーくんをグッズにしようと思った時に作ることができました。
――ビーカーくんのグッズは、東急ハンズや書店にも置かれていますがどういった経緯なんですか?
うえたに夫:直接先方から声をかけてもらうときもあれば、自分ら営業をかけるときもありますね。今でも僕たちはデザフェスとかのイベントに出店しているんですけど、イベントでバイヤーさんに声をかけてもらうことが多いです。
うえたに妻:イベントでは、出版社から出している本も置いているし、グッズも種類が豊富なので、珍しげに見られてるみたいです。ブースに来た書店関係の人が、グッズ置こうかなって言ってくれたり、雑貨店さんがグッズを置くときに本も何かを仕入れてくれたりとか、本とグッズで相乗効果があるんですよね。
――理系イラストレーターって唯一無二の肩書ですよね!
うえたに妻:最初は普通にイラストレーターって名乗ってたんですよ。1冊目のビーカーくんの本が思ったよりも売れていて、いろんな方に見てもらえたんです。本の出版がきっかけで一気に仕事の声がかかるようになって。
理系の知識を持ったうえで、漫画やイラストを描けるのが珍しかったみたいなんですよね。イベントに出るときも、理系っていうのが目立つみたいなんです。それで、理系イラストレーターって名乗るようになりました。
夫婦で活動するからこそ叶えられる
面白さとわかりやすさ
――夫婦でユニットで活動する形も、素敵だなと思います。
うえたに夫:本当の夫婦なんですかって聞かれることもあります(笑)
奥さんが子供を見てなきゃいけない時は、僕一人でイベントに出店することもあるんですが、なんで1人なのに夫婦って名前つけるんですか?って言われることも何回かありました(笑)うえたに夫婦ってユニット名は、奥さんが手作り雑貨、僕がビーカーくんのグッズと、二人で別々のものを販売してるときからなんですよ。
――活動の中で、ぶつかることってあるんですか?
うえたに夫:僕が漫画のラフを描いて奥さんに見せて、ダメ出しを食らって凹むことはありますね。
うえたに妻:私は理系ではないですけど、漫画は好きだから、「マンガとしてよくわからない」とか、「理系のこの言葉選びは難しすぎてわからへん」とか書いて返すんですよ。私は、理系知識がないからこそ、読者としての目線で「これはわからない」って伝えるようにしています。理系の知識がある前提で描かれていることだと、何も知らない人が読んだ時に、「全然わからん」みたいなことってあると思うんですよね。最近は子供が読むことも意識しているので、子供の目線でラフを見るようにしていますね。
うえたに夫:結構痛いところを突くんですよね(笑)
――読者目線の奥さんがいるからこそ、「わかる!元素の本」も、面白くて子供でも楽しめる作品に仕上がっているんですね!
うえたに妻:ただ、私の知識レベルに全部合わせるとゆるくて簡単すぎる本になっちゃうから、そこは難しいけどバランスをとって作ってます。「難しすぎるんじゃない?もっと簡単にしよ!」って言うことでも、夫はこれは絶対要るってことは絶対譲らないんです。
うえたに夫:僕たちの本を手に取るような、理科に興味がある子供たちって普通の子供向けの易しい本だと満足できないですよね。だから子供向けに変に易しくしないように作ることは意識していますね。
例えば原子と元素の違いとか、奥さん的にはいらないってポイントだったんですけど、そこを説明しないと基礎がおかしくなるとか。少し難しくても、基礎として大切なことはいれているんです。
うえたに妻:そういうところはバランスはいいんかなと思いますね。
元素は化学の基礎中の基礎である!
「わかる!元素の本」に込められた想い
――だからこそ、易しく書いてあるけど本格的なんですね!ここまでお二人のご活動について伺ってきましたが、改めて「わかる!元素の本」が生まれたきっかけを教えてください。
うえたに夫:元素って化学の中でも基礎中の基礎で、一番大事な部分なんですよ。化学だけじゃなくて、サイエンスの中でも大きな存在だと思います。ビーカーくんの書籍第1弾を作り終えて、これからサイエンス全般でいろんな本書いていきたいなと思ったときに、元素をテーマにした本を絶対に書きたいなと思っていたんです。
元素は一個一個分かれていて、それぞれ特性が違っているから、興味を持ちやすいと思うんですよ。僕たちの作品が、理科に興味を持つ入り口になってもらえたら嬉しいなと思っています。
――「わかる!元素の本」は、イベントでも多くの方に手に取っていただいていると聞きました!実際ご感想を頂くこともあるんですか?
うえたに夫:そうですね、イベントでは実際に読者の方の声を聴けてすごく嬉しいです。以前イベントに出店していた時に小学1年生くらいの子がお母さんと来たんですよ。その時、「元素の本を凄く気に入っているんです!元素全部言えるようになりました!」ってお母さんが言ってくれてすごく嬉しかったです。元素の本は総ルビなので、小さい子供が読んでくれているなって実感があります。
うえたに妻:お子さんに買おうかなって悩んでる方でも、全部ルビがついてますって言ったら、じゃあ買おうって言ってくださるんですよね。
うえたに夫:イベントでは書籍にサインも書いているんですよ。
――「わかる!元素の本」は、ハカセと周期表くんが街中の元素を探す冒険に出ます。元素がキャラクターになるのではなく、周期表がキャラクターになっているのが驚きでした!
うえたに夫:元素がキャラクターになってるっていうのは、ありがちかなと思ったんですよね。そういう本はもういっぱいある。元素の周期表がキャラクターになってるのは見たことなかったので、キャラクターにしようと思いました。さらに、キャラクターが元素を見つける度に体の中に元素記号が浮かんでいくって仕組みにしたら面白いんじゃないかと思いましたね。
――ハカセには誕生秘話ってありますか?
うえたに夫:実はハカセにはモデルがいるんですよ。僕の大学院の教授がこんな感じだったんですよね。アロハシャツで、常にピンク色の帽子をかぶっていました。先生をモデルにしたキャラクターをいつか描きたいなと思ってて、ちょうどここで出せると思って描きました。先生にも本を送ったんですけど、「これ俺だろ」って喜んでくれてましたね。ハカセのグッズを売ってくれって言われました(笑)
うえたに妻:色は私が塗るんですけど、アロハシャツの柄を塗るのがめっちゃ大変でした(笑)チェック柄とかならもっと簡単なのにアロハの柄は時間がかかるんですよ。でもそこにこだわりがあったみたいです。
――本書はイラスト図鑑も凄く魅力的だなと思います。お二人は好きな元素ってありますか?
うえたに夫:ベタなんですけど銅(Cu)ですね。銅って、一番の性能を持つって感じではないんですけど、電気伝導で2~3番目くらいに高かったり、安かったりするんですよね。使い勝手はいいし、性能が高いというのが魅力的で、僕は銅が一番好きですね。しかも銅って抗菌作用もあるんですよ。
うえたに妻:私は金(Au)が好きですね。金メダル好きとか1番だからいいとかそういうのもあるんですけど、子供の名前をイニシャルにすると「Au」なんですよ。偶然なんですけど。金って一番って意味だしいいなあって思いますね。理科的に好きとかは……ないですね(笑)
――最後に、読者へのメッセージをお願いします!
実際に読者の方から言っていただけることもあるんですけど、この本がきっかけで化学を好きになってくれたら嬉しいです。
僕たちの夢なんですけど、僕らが作った本を読んで、化学を好きになって、将来ノーベル賞撮りました、みたいな人が出てきてほしいと思うんです。ノーベル賞の会見をしたときに、この本がきっかけですって言ってもらえたらいいなと思います。それを目指して頑張ります!
うえたに夫婦
奈良県出身・神奈川県在住。
化粧品メーカー資生堂の元研究員の夫と理系ではない妻の夫婦で活動しているユニット。オリジナルキャラクター『ビーカーくんとそのなかまたち』のグッズ制作・販売をはじめ、最近では理系の知識を活かして『理系イラストレーター』としても活動中。主な著書に『ビーカーくんとそのなかまたち』『ビーカーくんのゆかいな化学実験』『ビーカーくんとすごい先輩たち』(以上誠文堂新光社)、『ザ☆単位のマンガ』(大和書房)、『ビーカーくんと放課後の理科室』(仮説社)、『ピカピカヒーローせっけんくん』(PHP 研究所) などがある。twitter で随時情報更新 @uetanihuhu