【日記】コーチを気取った球場のおじさんになるな
聞かれた質問と聞かれてもいないアドバイスを隔てる壁は障子のように薄く、我々の「最適解」は本人の「最善」ではない。
リーグ・オブ・レジェンドを5年間くらいやっている。このゲームは自分1人で理解できるほど簡単ではなく、最初のうちは経験者の助言なしにはゲームを楽しむ方法すらわからないというのはかつて初心者だった僕も当時から事実として認めていたことだった。
最近になって、新しくLoLをプレイする人間が身近に増えた。
もちろんゲームに慣れた人間として色々質問をされることもあるし、至らぬ身ながら請われて口出しをすることもある。
ある時、"ちょっと教えて!"と言ってきた、そのうちの1人に
「ちょっと1回、指示無しでやらせて」
と言われたことがあった。
その時、かつて"俺はこうはならない"と誓った奴になっている。と思った。
今のは打てたってー!と言ってしまうコーチを気取った球場のおじさんになりつつあると。
僕がリーグ・オブ・レジェンドをはじめた時、周りは既に2、3年ほど先に始めた経験者ばかりだった。彼らはいつか僕と一緒にゲームをできることに期待していたし、彼らの教えなしにはこのゲームをこんなに楽しく続けていることはなかっただろう。
しかし、彼らのアドバイスを聞いているときにいつも感じていることがあった。「いや、そこまでは聞いちゃいない。」
わかりやすくスマブラで例えるなら、僕は今「マリオ」がどんな技を使えて、相手の「ルイージ」がどんなキャラかを聞いてたのだ。
マリオが下強からのコンボの繋げ方は聞いていないし、それがカービィ相手には通らないことも聞いてはいない。
「もし相手がカービィだった場合は・・・」
いや、そんなことは聞いちゃいないんだよ。
ちょっと教えてと言ったのは僕だし、教えてもらわないことにはマジで何も出来ない。でも僕は"ちょっと教えて"と言ったのだ。
わがままであるようだが、この"ちょっと"がミソであって、この一線を踏み越えられるとマジで何を言ってるかわからないし頭がパンクする。そこまでのメモリを割り当てられるほどまだこのゲームのことを理解できていないし、「とりあえず今はこれだけできれば良い」を教えてくれ。
カービィが相手の時はカービィについて聞くから今カービィの話をするな!!!ルイージが何をしてくるか考えるだけで精一杯なんだよ!!!
「今の場合はそれで良いんだけど・・・」「でもそれはこういう場合もあって・・・」そんなことは聞いちゃいない。
「なんでそうなるのか理由がわからない」
「理由がわかったことろで経験がまだないので納得はできない」
「納得できてないから釈然としない」
この"納得"は知識ではなく、純粋な経験によって、
咀嚼して血肉とするしかない、"感覚"だ。
手を動かし、のちに自身の経験として「なるほど!」と理解する感覚でしか得られないことを口で説明されたところで釈然とはしないのだ。
「こうすれば良かったんだよ」にはそういう意図が含まれてなくても
"説教"の側面を自然と帯びてしまう。
その時のことはその時になって身をもって本人が覚えれば良い。
そこまでは請われてもいないのに当人にとって未だ見ぬ"仮定"を経験を元に振りかざしたところで、その印象は老人の説教や苦労話と大差はない。
彼らの好意や善意は有り難いし、僕の"教えて!"に答えて時間を割いてくれることにも感謝している(まぁ頼んでもない時も多かったがそれも暗黙の了解の上だ)
自分がまだ何も知らないことも分かっている、言うことを聞いて覚えれば勝ちやすいこともわかってる。
ただ、この段階ではまだ「ゲームのキャラを動かすのが楽しい!」をもうちょっと尊重してほしい!と。
だから僕は誓ったのだ、みんなには感謝しているが、よっぽど貪欲に勝ちや成長を望んでいない限りは、教える側になる時はまず"動かしていて楽しい"を尊重しよう!と。
聞かれる側になって僕はそれを思い出した。
ゲームで勝つための最適解はともあれ、最善はみんなで楽しくプレイすることだ。だから、聞かれてなければ何も言わないし聞かれたことについてはとりあえず聞かれたことだけに答えることを忘れてはならない。