プレイリストを開示せよ
そのひとの人となりを知るために最も簡単な方法だと僕は思う。
あるいは魂の距離感を掴むためのもっともインスタントなリトマス紙であると思う。
好きな曲を知ることで、生きた時代がわかる、青春がわかる、どんなコンテンツが好きなのか、何に共感するのかがわかる、全体像がぼんやり見えてくる。パッションが、ノスタルジーが、メランコリーが分かる。
そして、知ることでなんらかのステレオタイプに当てはめることができる。
僕と相手との最大公約数を概算し、お互いに好きそうなリズム、好きそうなリリックがあればそこから最小公倍数を探して行くことだってできる。
僕が、あなたが、その曲と出会うなんらかの文脈があって、人生のどこかでまた聴きたいと思うからプレイリストに追加する。
通学中のバスで毎日聞いた曲かもしれない、バイト中に無限に流れていた曲かもしれない、好きなドラマの主題歌かもしれないし、たまたま耳にして惹かれた曲かもしれない。でも嫌いな曲はまずプレイリストには追加しない。
自分の上を通過していったものではなく自分の中に留めておきたいと思ったものを、メロディと歌詞をまた頭に再現するために追加して、オリジナル・ジュークボックスにするわけだ。
僕のプレイリスト見た人たちは言った。
「プレイリスト案外陽キャでは?」
「せっかく好きなアーティスト知れたのに好きなタイプの曲じゃなかった!」
「意外とそんな曲知ってるんだ……」
それを聞いて、ムフフと思う。
そういえば、僕はなんらかの積み重ねがあって、これらの曲が好きになったんだなと思う。
僕の人生の文脈において、なぜサカナクションやTempalayがまた聴きたい曲として脳に刻まれ、一体どこで相対性理論やKingGnuが忍び込んだのか。
一見、僕のような人間が嫌いそうなSEKAI NO OWARIの曲が何個も存在しているのか。
なぜメロウなリフレインが延々と続くオルタナティヴ・ミュージック風味のGyosonを信仰するようになったのか。
思い出せないものもあれば、一晩語れるものもある。
プレイリストにあるすべての曲の中に、どこかしら受け取ったエモーショナルがあり、なんらかのドラマがある。
そして、それを見た人は、聴いた人は、僕の人となりを想像することができる。
最大公約数的に、スピッツ好きなんじゃね?と思うこともできれば、
最小公倍数に決め打ちするように、a子とか好きなんじゃ?と思うことだってできる。
自分を表現するのに文章を書くことが小っ恥ずかしい人だって、好ましく受け取ったセンスや感性をプレイリストに代弁させることも出来る。
だから、僕もあなたのプレイリストが見たい。
人となりとドラマを想像したい。わかりあえるセンスの一部を共有したい。
わかりあえないセンスの部分を知りたい。
僕にとって、あなたがプレイリストに入れていたことがその曲との出会いになるかもしれない……
え?気分によってプレイリスト使い分けてる?
夏とか冬とか落ち込んだ日とか頑張りたい1日とか……?
その時点で俺たち分かりあえねえよ!
そんな丁寧な暮らし几帳面さんたァ分かりあえん!カーッ(゚Д゚)≡゚д゚)、ペッ
まあ、使い方ですら人間性がわかるのがプレイリストのおもしれー所でもある。
あ、ちなみに挑戦したけどマジで無理だったものがある。
ポエトリー・リーディング、あれ何回聴いてもダメ、マジで悪い意味で鳥肌立つ。
マジで、マグロの刺身とポエトリー・リーディングはどれだけ良質とされるものでもチープな物でも口に合わない。クソ自分語りが入ったから文章の〆やり直していいですか?
僕にとって、あなたがプレイリストに入れていたことがその曲との出会いになるかもしれない……