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「ニセモノの塩だと血圧が上がる」のX投稿に関するファクトチェック
こんにちは。3年ファクトチェックの齊藤・大村・馬塲です。
今回私たちは「『塩』はしぬほど体にいい ニセモノの塩だと血圧が上がる」についてファクトチェックを行いました。
1. 検証対象
2024年4月20日にXに「けーちゃん@健康マニア」というアカウントから投稿された内容で「『塩』はしぬほど体にいい。ニセモノの塩だと血圧が上がる」というものである。
今回はこの投稿について検証していく。
![](https://assets.st-note.com/img/1714618257862-GgkwaVgCKv.png?width=1200)
https://twitter.com/keismi_/status/1781452467957539308
2. なぜこのテーマを選んだか
リポスト910件、いいね6477件、ブックマーク3113件(5月1日時点)と広く拡散されており、影響力が大きいと考えたため
高血圧の人が、このような真偽の定かではない情報を信じてしまわないようにするため
3. 検証判定・レーティング
誤り
「全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがある。」と我々は判定した。
![](https://assets.st-note.com/img/1714618935237-3gaYkS50S2.png?width=1200)
https://fij.info/introduction/rating
4. 検証過程
4-1 医師からは血圧が高いから塩分は控えた方がいい
「高血圧ガイドライン2019」(日本高血圧学会)の「第4章 生活習慣の修正」より、食塩の過剰摂取で血圧が上昇すること・減塩による降圧効果について様々な機関の介入試験で証明がされているとしている(p64)。
→6g/日未満を目標とした減塩が有効な降圧となると、日本高血圧学会はしており、これを減塩目標値としている。
減塩することによって血圧が下がったとされる有効な証拠もガイドライン上に記載されている。
![](https://assets.st-note.com/img/1714619755402-9U252EmK2W.png)
以上から、血圧を下げるためには減塩することが一番の対策である。
4-2 ニセモノの塩とは?
最初に結論を言うと、投稿者はイオン交換膜製塩をニセモノとしていたがそれは正しくない。
塩の種類は大きく分けて二種類がある。天然塩または自然塩と呼ばれているもの。もう一つはツイート者が話している様な化学塩と呼ばれているものだ。名前の響きは自然塩の方が良いだろう。
しかし、イオン交換膜製塩を製造する工場は「日本塩工業会」が定めた安全基準を満たしていれば販売できることになっており、決してニセモノの塩ではないことが分かる。
では、自然塩と呼ばれているものとイオン交換膜をはじめとする化学塩の違いは何だろうか?
それは塩に含まれている成分の違いだ。塩の成分の多くは塩化ナトリウムだがそれだけでなくマグネシウム、カルシウム、カリウムなどのミネラルと呼ばれる要素が含まれている。自然塩と化学塩の大きな違いはまさにそこだ。塩化ナトリウム以外の成分が多く含まれていることが上質な塩と普通の塩という区別できる。
ではなぜ、イオン交換膜製塩が多く出回っているのか。それは安価で大量生産ができる塩の製法のためだ。
塩は我々の生活に欠かせないものになっており、自然塩と呼ばれる塩の製法は気候や立地などで安定供給ができない。イオン交換膜製塩が生まれた理由はまさにそこにあり、工場で塩を作れば気候や立地などに左右されず、安定した供給ができる。
つまり、ツイート者は「上質な塩」を本物の塩。家庭で多く出回っている「安価な塩」をニセモノの塩として扱ってしまった。
出典一覧
000782541.pdf (mhlw.go.jp)
食用塩の品質 | 塩の選び方 | 塩百科 | 公益財団法人塩事業センター (shiojigyo.com)
塩に関する疑問 - 伯方塩業株式会社 (hakatanoshio.co.jp)
guideline01.pdf (sio.or.jp)
ja (jst.go.jp)
4-3 本物は血圧を整えむくみがなくなる
血圧が上昇する、むくみが起こる体内の仕組みを説明する。
血圧が上昇
私たちが食事によって塩分を過剰摂取し、体内の塩分濃度が上昇すると、私たちの体が、体内の塩分の濃度を一定に保つ働きによって、体の塩分農道を薄めようと水分を増やす。それと同時に血液量も増える。
その後、余分な水分と塩分が腎臓から排せつされます。高血圧でもなく、正常な方だとこれで、体内の塩分の濃度を一定に保たれる。
しかし、その排せつが追いつかないと、血液が増えたままになってしまう。また頑張って排せつしようとするため、ますます血圧が上がる。
![](https://assets.st-note.com/img/1714979683806-cSqkqrBnz5.png)
むくみが起こる
血液量でなく、余分な水分が体内に溜め込まれたままになってしまっている状態で起こる。
上記では、高血圧、むくみがおこる体内の話をしましたが、始まりは、塩分過剰摂取による自身の体の塩分濃度上昇にある。塩がホンモノ、ニセモノ、塩以外に「ミネラル」が含まれているかどうかには一切関係ない。
塩分の摂取量をコントロールすることが、血圧やむくみを管理する上で重要。
5. 付帯意見
自然塩、天然塩という放棄は「食塩公正競争規定」で禁止されている。
→「自然・天然」という用語がはっきりとしていないため
6. まとめ
日本食は元から塩分量が多いため、基本的には推奨されている塩分量を超えた食事をしている。そのため、減塩することが推奨されている。
成分が多少違えど、塩は塩である。
減塩しなければ血圧は低下せず、むくみも取れることはない。つまり、塩の違いで血圧が上がってしまうことはない。