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生存(群れの維持)は最優先される
小説三体で有名なセリフに「宇宙に出れば10分で全体主義になる」というものがあります。
私たちはいろんな価値観を持ち、いろんな理想に向かっていますが、生存が危ぶまれた途端、あらゆるものは横に置かれ生存が最優先されます。
ウクライナが最初にやったのは、18-60歳の男性の国外出国の原則禁止でした。個人の自由を奪う点で極めて全体主義的です。しかしこれが群れの維持・生存に意味があると考えられた途端に、自然と採用されます。
全体主義の定義は「個人の利益を全体の利益と一致させるように強制する体制」だと理解しています。
私たちは群れを作り進化したために、個体として生存していけるようになっていません。集団や、社会のインフラから切り離されると、最も簡単に死んでしまいます。ですから、個体の生存は、群れの維持につながり、そして問いは群れとは何かにたどり着きます。
なぜ宇宙では全体主義になるのか。それはリソースが宇宙船の中のものに限られる(三体ではそのシュチュエーション)ために、全体が最適な配分をしなければならないため、です。つまり生存のために全体主義が選択されたことになります。
1000年後にどんな群れが残っているのか。やはり暴力装置は大きいと思うので国家は残っていると考えます。しかし、世界の様子を見ていると、国家の中にも複数のアイデンティティがあり、そのアイデンティティの方が大きな影響を与えるのではないでしょうか。
例えば米国にはユダヤ人の方が多いですが、ユダヤ人というアイデンティティはおそらくアメリカ人よりも同等かまたは強いです。
そう考えると、国家と共に宗教や思想、人種などのアイデンティティがどのように維持されるかが大変重要になります。
私はこれからは、アイデンティティ競争が重視されると思っています。私を、私たちを何者だと捉えるのか。そのために物語と儀式と共同体験が増えると考えています。
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