好奇心に溢れる人は、どんな順番で学ぶのか
私たちが子供たちに「将来の夢は何?」と聞く時、「将来なりたい職業を聞かれている」と思って子供たちが回答することがあります。
野球選手も、経営者も、お医者さんも、お菓子屋さんも職業です。職業は手段であり、それを通じて何をしたいかが夢です。
好奇心を持って生きている人の特徴は領域にとらわれない点にあると思います。心理学をやりたいのではなく、人間の心を理解したいのです。お医者さんをやりたいのではなく人を救いたいのです。手段として領域を選んでいる。
領域にとらわれると夢になりません。夢がわざわざ領域に配慮したりしません。夢は統合的です。
スポーツだけでも、心理学、生理学、運動力学、哲学などあります。学校ではカリキュラムを学び、大学では専門を選んで学びます。しかし、それは教育やアカデミアの世界が便宜上分けているだけで、人間がそう分かれているわけではありません。
人は出会ってみるまでは興味があるかどうかわからない点で、いろんなカリキュラムがあることは素晴らしいことです。しかし、興味が持てないものを学ぶときは人は大変苦しみを伴います。学びと聞いて、痛みや嫌悪を持つ人は、人生のどこかで無理やり学んだ経験が多くある人だと思います。学ぶべきだから学んだ人は、知識がある人にはなりますが、好奇心あふれる人にはなりません。そして、人生はあまりにも長く、生涯にわたって学び続けることが大切です。
好奇心が溢れるには、好奇心に突き動かされなければなりません。
私の好奇心は「速く走ってみたい」から始まりました。そこから走りに興味を持ち、動きに興味を持ち、自分の扱い方に興味を持ち、人間に興味を持ちました。それは運動力学や、心理学、生理学、社会学、などになるかもしれませんが、それを知ったのは後のことでした。
そして自分の興味がどんな領域に属するかは未だにわかりません。
世の中で好奇心に溢れる人に会うと、皆この統合的な興味や夢から始まっていることが多いように感じます。人間を理解したい、組織を理解したい、自動運転を実現したい、宇宙に行きたい、人を救いたい。そのために必要な要素を抜き出してみてそれを学んでいるように思います。
物事を分割することは必要だろうと思います。しかし、管理する上で都合がいいから分けただけで、自分の夢も、世界も、本当は分割不可能であると知っておくことも大切だと思います。