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ドーピングの歴史からドーピングはなぜ良くないのかを考える

長文ファンの皆様おはようございます。 今日は「ドーピングはなぜ禁止されているのか」から、「大麻はドーピングなのか」を考えてみたいと思います。今日は第一弾。

ドーピングの語源は、複数ありますが、有力なのはアフリカ南部のカフィール族が先頭や狩猟の際に飲んでいたdopという酒だと言われています。
その後、何かの物質を摂取することでパフォーマンスを高める行為がドーピングと呼ばれ、禁止されてきました。

最も古いドーピングの歴史は1865年のオランダの運河水泳大会だと言われています。その後スポーツ界にはドーピングが広まりました。

ドーピングを禁止する理由は、以下の三つだと言われています。
1、選手の健康のため
2、フェアプレーのため
3、一般社会に薬物が蔓延するのを防ぐため
です。

私の認識では1900-1960年代でのドーピングを開発する最も強いインセンティブは、軍事目的でした。より強い人類を生み出すことが、より強い兵士に、そして強い軍隊を作ることにつながっていました。

当時のドーピングは、選手の健康を害することも多かったと言われています。国家主導でドーピングを行っていたと言われる東ドイツではアスリートの平均寿命は一般の方よりも短かったと言われています。

個人的には1980年代より前の記録はずいぶん疑わしいと思っています。特にドーピングが効くと言われる女性カテゴリーでは、1970,1980年代の世界記録をまだ破ることができていません。

その後ドーピングは広がり、1988年のソウル五輪でのベンジョンソンのドーピング発覚で社会的に知られるようになりました。

一方、社会においてはベルリンの壁が崩壊し、冷戦が終わりました。世界的にも臨戦体制が解かれ、スポーツにも平和の空気が漂い始めます。

1999年に国際アンチドーピングアソシエーション(通称WADA)が設立され、いよいよドーピングの本格取り締まりが始まります。この辺りから陸上では女子の世界記録の伸びが鈍化します。わかりやすい!

ちなみにWADA設立後、アスリートは365日必ず毎日1時間はどこにいるかを報告する義務があります。検査官が抜き打ちで検査に来るかもしれないためです。もし申告していた時間にいなければ×が一つ付き、三つ貯まると2-4年間の出場停止です。 私は二つまでいったことがあります。めちゃ焦りました。

その後、ドーピングはイタチごっこが続きます。新しい手法が開発され、それを追いかけて検査手法が開発される。昔よりはずいぶんマシになりましたが、それでもドーピングの使用は後を経ちません。

少しずつドーピングの元となる技術が軍事から、アンチエージングに移っていると言われています。考えてみればアンチエージングは、若く元気な状態を維持する、取り戻すという意味で極めてドーピング的です。
ドーピングの市場規模などたかが知れています。その背景に何か動機がなければならない。

さて、こうなると難しいのは基準決めです。1が正当性を失い始めます。健康に悪くないドーピングが出てくる。ハードなドーピングが減ってくるわけです。3もです。
米国や欧州国を見ても、どう考えてもドーピングがあるから薬物が蔓延しているというより、別ルートからの方がよほど多くなります。

フェアネスが頼みの綱ですが、フェアさで言えば、高地トレーニングや科学的トレーニングはドーピング並みの効果があると言われています。しかし、これはお金がかかり先進国しか行うことができません。フェアではないわけです。
すでにフェアではないのになぜドーピングだけがというロジックも成り立ちえます。

ここで大麻の話です。なぜ大麻がドーピングの禁止薬物に入っているのか。パフォーマンスの向上に貢献することはそれほど根拠がなさそうです。そう考えると1と3ですが、大麻解禁の方向に動く国が多くなると3の根拠も怪しくなります。

次の時代は間違いなく遺伝子ドーピングです。運動学習を担当する小脳に微弱な刺激を与えながら運動をすると学習が早まるという実験結果もあります。
つまり直接脳に電極を差し込む技術が出てきた後、それを使ってトレーニングをすることはドーピングにあたるのか、など技術の進化によって全く痕跡も掴めず、健康も害さず、そもそも投薬行為ではないドーピングも出てくる。
イーロンマスクあたり「脳ドーピング解禁五輪」をやり出しそうです。

ドーピングの議論は「果たして人間は人為的にどこまで自分を強化していいのか」につながっていきます。
私たちは長い歴史で見ると「ピュアで無垢な状態の人類が競い合う牧歌的な最後の時代」を生きているのかも知れません。

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