【用語解説】応援消費

マーケティング用語など、気になった用語を解説…
というより、自分の理解と整理のために、個人の解釈として書く場としたいと思います。ご参考までにどうぞ。
 また、記事を書くための前提知識としても活用していきます。

消費意欲の減衰といわれている昨今ですが、新しい消費の流れが生まれてきています。その1つが「応援消費」とよばれるものです。
「モノ」から「コト」へ消費の対象が移り変わる中で、意味付けやストーリー性を持つ消費行動として捉えられています。

例えば、豪雨や震災などの被害があった地域の特産品などを購入する、誰かのために行う消費。いわゆる「被災地支援」です。東日本大震災の後の復興支援の流れの中で登場したのがきっかけでした。
また、好きなアイドル(二次元、2.5次元なども含む)など、自分のために行う消費。いわゆる「推し活」です。物品購入だけではなく、遠征のための宿泊や交通費、チケット代など、金額も内容も多岐にわたっています。


フィギュアスケートにおける応援消費

①公式グッズを買う

この1~2年の大きな動きとして、選手の公式バナータオルがぐんと増えたことです。

私が所持しているバナータオルです

販売元は様々ですが、それぞれ本人のアイディアを元に作成されており、購入する側としては、選手本人を応援すると同時に、ファン仲間との一体感を生み出しているなと感じています(23年さいたまワールドでのTOMONO REDの光景は一生忘れられません)。また、バナーを持っていることで見知らぬ隣の席の方と話すきっかけや共通の話題にもなり、個人的には何度も助けられたり、良い思い出にもなっています。
直接選手本人の活動資金になる場合と、そのように明記されていない場合と様々ですが、業界を盛り上げるのに一役買っていることは間違いないでしょう。
バナータオル以外にも、選手によってはオリジナルグッズを制作し販売しているケースもあります(文房具やカップ類、バッグやTシャツ、パーカーなど)。最近はアクスタ(アクリルスタンド)も人気です。

友野選手のオリジナルグッズ。大半はトークイベント時に購入

②スポンサーの製品を買う

選手のスポンサーとなっている会社の商品を購入することです。会社と選手が直接繋がっているため、わかりやすいです。

・コラボ商品
宇野くんの場合は、ミズノやコラントッテとコラボし限定商品を何度も販売しています。試合やショーに持っていけるようなグッズも多く、一目でそのファンとわかるような(それでいて実用的でお洒落な)商品です。
また、そのコラボ商品を購入することで、キャンペーンも同時に行い、非売品や特典(カードやDVD、写真集などの限定品や、イベント参加も)が付いていることもあり、多くの方が購入されている印象です。

・共同開発
友野選手は共同開発でレトルトカレーを発売しました。スポンサー(のちに所属)企業が新事業の一環として、レトルトカレーや食器などを発売し、ECサイトを立ち上げて販売を開始しました。カレーにはフォトカードが入っており、ファンが喜ぶおまけもついていました。
また、既存の商品にロゴを入れたオリジナルスプーンも発売しました。
また、それにより宣伝の一環として、地元大阪の局で期間限定のラジオ番組を行っていました。

TOMONO CURRY。ご自身が試合に持っていけるようにレトルトカレーにしたようです。家庭の味のイメージとのことですが、とても美味しいです♪

・キャンペーン
(オリジナルグッズや配信、限定イベントなど)
コラントッテはアイスショーの際に購入者限定で特典(アクスタやカードなど)をもらえるキャンペーンなども何度も行っています。
フルールバザール(HDフラワーホールディングス:友野くんのスポンサーの花屋のECサイト)でも、ポストカードをもらえるキャンペーンをやっていました。

・スポンサーの製品で選手が着用しているものを買う
普段の練習やイベントで着用したウェアやアイテムなどを購入することもあります。コラントッテの場合は選手着用モデルを詳細に紹介しています。

・関連施設にいく
第一住建の店舗にカレーを食べにいったり、ミズノの店舗(たまに衣装展示もある)に訪れたりなど、スポンサーさんが運営する店舗に直接訪れることもあります。

③スポンサーではないが、選手自身が好きなものを購入する

土屋鞄、サムソナイト、などは自社のHPやSNS、雑誌や新聞社等の記事やインタビューなどで紹介されるケースもあります。
友野選手の場合は、non-no webの連載で様々なお気に入りグッズなどを紹介しており、それに触発されて購入するケースも少なくありません。

④聖地巡礼

選手自身になじみのある場所を訪れることです。
レストラン(焼肉屋)やサウナなど、取材やプライベートで訪れ、場合によってはサインや写真などが飾ってあることもあります。
また、普段練習しているリンクや大学などの拠点、地元や過ごした場所、馴染みのある場所を訪れることもあるようです。

・HDフラワーホールディングスのイベント
友野選手のスポンサー発のイベントですが、地元を紹介する要素も強く、ファンがより選手の地元を好きになる、とても素晴らしいきっかけになったと感じました。その時の様子がダイジェストでyou tubeにあがっています(全部で3本、下記の前編のほかに、中編、後編があります)。

・non-no×堺市
友野選手がweb連載をしている、集英社の女性誌non-noと堺市のコラボで「おさんぽMAP」を制作し、PDFでダウンロードしたり現地で配布も行っています。スタンプラリーも行い、限定のフォトカードももらえるようです。

⑤ふるさと納税

ふるさと納税を利用して、選手の出身地や活動拠点に寄付するケースもあります。自治体や利用するサイトにもよりますが、使い道をスポーツ・文化支援や施設運営費用などを指定することも可能です。
2024年7月には、ナショナルトレーニングセンターを抱える泉佐野市がふるさと納税対象者に向けて全日本合宿の公開するイベントを行いました。
(前年は市民対象のイベントでした)
寄付金額によりますが、練習見学(強化指定選手の合宿)やファンミーティング、宿泊付プランや温泉施設利用券などもあったようです。

⑥ファンコミュニティ

ファンクラブ(Fスケ)や応援サイト(アンリム…スポーツギフティングサービス)といったものもあります。選手を直接応援する手段となります。
サブスク型で定額を支払う代わりに交流ができるファンコミュニティサービスで、金銭的な支援となります。

最後に

消費が低迷しているといわれる昨今、このブームはとても興味深い流れです。フィギュアスケート界隈でもとても大きな動きとなっていることを実感します。
消費意欲の減退と言われるなかで活発な動きとなっていることで、経済を回す力となればいいなと思いますし、その選手自身や競技支援はもちろん、地方創生にもつながるかもしれません。

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