世界美異識紀行 冬のサーカスと冥界(後編)
私にとってパリは、
今の若いひとは知らないであろう
パリ人肉事件の現場であり
日本国東京の山手線へ
飛び込んで死んだ友人が生まれ育ち
パリへ帰ることを願いながらも
叶わぬままだった街だ。
彼は肉体を捨てて
川の向こうにある、
もうひとつの仏の国へ
ドロンしてしまった。死者はいつも若い。
放射能やパワハラを浴びながら生き延びている私はもうすでにゴジラみたいな怪物なのかもしれない。
街の地下に広がる巨大な納骨堂
Catacombes de Parisはダンフェール・ロシュロー駅前広場に入り口がある。
行列ができているのですぐにわかった。
入場料9ユーロ、オーディオガイドに日本語はないけれど全然問題ないよ。入ってみよう。
階段を降りていくとそこはダンジョンだ。
ただし敵は出ない。
とにかくうす暗い。入れないようになっている箇所も多数
骸骨だ!
骸骨とセルフィーを撮ったっていいけどやめておいた。
とにかく600万の人骨が納められているだけあって、骸骨に次ぐ骸骨なのである。
言葉の通じない相手に何か言ってもムダと思われたのか、死者たちは無言だった。(私に霊感は一切ありません)
延々と続く ほかのお客さんとも離れ静寂の世界。すぐ上に2016年のパリの街があるとは思えない。
しゃれこうべたちは
見せ物になった今、何を思うのか聞いてみたい
よその国だから怖くない、顔が思い浮かばないから怖くないっていうのは確実にあると思う。
人は勝手だ。高校の修学旅行で沖縄のガマ、
野戦病院跡に入り説明を受けた時は本当につらかったもの。
出口へ向かう階段が長くてしんどい
まるで帰るなと言われているみたい
でもフィニッシュ!心底安堵した
外から見た出口は拍子抜けするほどふつう。
向かい側にお土産屋さんもある
同じ地下洞窟といえば、おいでませ山口県が誇る
観光名所、秋吉台の秋芳洞もお勧め・・ただあちらは死の匂いはしない。お子さん連れにも安心だ。
イザベル・アジャーニの妖怪的な現役感を見て
フランスに来たことを実感することができた☆