死後写真
ヴィクトリア朝の時代のイギリスでは、『遺体記念写真』 が流行した。
遺体の写真とだけ耳にすると、誰もが薄気味悪く感じるのは当然のことであると思うが、この遺体記念写真というものは日本でもその昔、撮影されていたという記録がある。
見ず知らずの遺体を撮影するということではなく、幼くして死んだり、結婚適齢期を前に若くして死んだ我が子や、愛する人をその死後にまるで生きているかの如く、死んだ人間と生きている人間が一緒に写真に収まるという行為のことである。
私はインターネットで実際にそれらの写真を見たことがあるが、それはとても厳かな、死者への家族の愛情が切々と伝わって来るような、薄気味悪いとは程遠い、そんな胸を打つ感動的な写真であった。
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