【昭和のサラリーマン】 〜其の四〜 結婚と上司
課の先輩で野球部の方で試合があるとのこと。
独身寮で日曜日は洗濯以外やることがない。
芦花公園の会社のグランドまで自転車で応援に行った。
午前で終わってしまい、どう時間を過ごすか考えた。
小学校で同級生だったIさんの家を思い出しながら訪ねた。
留守だったが数日後に手紙が来た。
それからデイトが始まり結婚を決めた。
結納の品とご両親への挨拶は終業後急いで帰り、寮の風呂に入りタクシーで向かった。
結納品を「唐草模様の風呂敷」に包み担いで行ったのでお母さんに驚かれた。
2月28日の結婚は剣道5段で迎えたかったが、型で1度落ちてしまったため、合格は12月になってしまった。
Oさんに、
「型で落ちたなんて初めてだ」
と馬鹿にされた。
しかし、結婚式の主賓の挨拶では、
「新郎が試合で負けたのを見たことがない」
と披露され、驚き、配慮に感謝した。
同期では3番目くらいに早い結婚であった。
部内で2回の異動があったが最後の工場2課でS信託が融資をした「O冷凍倉庫」の企画書つくりをT課長より指示された。
K大卒の切れる課長だった。
採用される如何を問わず、勧められる種目の内容と保険料を作成するのが目標で、最終承認まで約1年かかった記憶がある。
提出すると
「○○誤っている。〇〇がぬけている。」
との指摘を受け、1週間後にチェックを受けることが続いた。
「お客様にお世辞を言わない」
と文句を言われ、
「自分なりに感じた時には言っている。業務命令か?」
と聞いたところ
「そうだ」
という係長にがっくりして、以降、朝の挨拶以外は口を利かなかったので、課長なりの指導だったのだろう。
そのことには一言も触れずただただ業務指導だった。
おかげで業務知識のレベルが一気に上がった気がした。
大口契約となりホットしたのち、発令されたのが大森営業所勤務であった。
本店営業部勤務は7年が終わっていた。
〜続〜
著:近藤正輝 写真:近藤大介