【昭和のサラリーマン】 〜其の弍〜 S先輩
とにかくけた外れに豪快な方であった。
F館、第二W高等学院、軍隊、大学商学部復学、S社との経歴であるが、軍隊時代は剣道大会、相撲大会で優勝した。
八路軍の奇襲を受け12名中戦死5名。負傷4名という中、切り抜け無傷だった。
終戦後、剣道は国連軍の命で禁止されていたので重量級不足のボクシング部に入部し活動した。
入社後、大酒を飲み遮断機を潜り、踏切番を殴り倒し無線乗車を試み機関車にはねられ大怪我をした。しかし剣道は続けられ7段教士だった。
自伝によると世話になった方々として、
政界:田中角栄・橋本龍太郎。
スポーツ界:古橋広之進・織田幹雄。
相撲界:栃錦・若乃花・力道山。
野球界:水原茂・川上哲治・金田正一・張本勲。
ボクシング界:白井義男・ファイティング原田。
芸能界:鶴田浩二・森繁久彌・北島三郎。
等々、信じられない広さだ。
したがって、社内では余程の人でないと言うことを聞かないので、会長だけが理解者だったようである。
入社後、最初に言われた数か条は
1.試験の点数は1点不足していたが、学生時代の優が規定より一つ多かったので、人事に掛け合い取り替えてもらい合格となった。
したがって、これからは、同期を抜くことはあっても、抜かれることは絶対ないので時間外は稽古に来い。
2.社内結婚は許さない。
3.昼食は30分で済ませば、残業はしなくても済むはずだ。
4.ワシの真似はするな。
5.席を外す時は、必ず行き先を言って外せ。
トイレに行きたくて我慢し切れず「トイレに行ってきます」と言ったら、ベテラン女性に「トイレまではいいわよ」と笑われた。
〜続〜
著:近藤正輝 写真:近藤大介
ありがとうございます!