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【社内報の作り方】他人の面白いには合わせられない

読み手はどんなことに興味があるんだろう。読者アンケートなどで探り出して、人気のコンテンツを検証する…。一見大切そうなことのように思いますが、これで果たして面白いものができるのでしょうか。今回はマーケティングに頼らない、企画立案の大切さをお伝えします。

マーケティングデータとは常識のこと

物事は客観的に。こんなことを社会人になるとよく言われます。周りがどう感じるか、配慮すべきが社会人の基本ではありますが、企画の世界では決してそんなことはありません。マーケティングから得られる情報はすべて過去の話。たとえば初めて世の中にポテトチップスが登場したとき、はたしてそれはマーケティングから生み出されたものなのでしょうか。一説には、レストランがお客に意地悪をして、フォークとナイフで食べづらいように作ったフレンチフライの変形だ、という説もあるくらいです。これまでの常識=マーケティングデータとは違ったところに、新しさや面白さがある。だからこそマーケティングデータに囚われない自由な発想が必要なのです。

企画のテーマは、客観より主観

そうなってくると天才的なひらめきが重要なように思えますが、そうでもありません。大切なのは、みんなが面白いと思うものは何だろうと考えるのではなく、自分が見たいもの、自分が面白いと感じるものを大切にするということです。私の4歳になる娘は、動物のうんちが好きで、図鑑を買って研究し、にやにやしています。全く興味の無かった私はしかし、その図鑑を娘と読むうちに、なかなか興味がわいてきて、いつのまにか娘とうんち好き仲間になってしまいました。周りに合わせるのではなく、周りを巻き込む。その発想こそ、企画の原点だと思います。

伝わりやすいかは、客観的視点が大切

とはいえ、誌面にするには客観的視点も大切です。それは企画のテーマではなく、その企画の良さが、しっかり伝わるかどうかです。思いが強すぎて、何を言っているのかよくわからない人っていると思いますが、誌面も同様です。あまり先走らず、丁寧な表現で、伝わっているかどうか、こういった検証のときだけ、客観的視点は大切になります。何を伝えたいかは主観的に、どう伝えるかは客観的に。これが使い分けられるようになると、社内報の編集自由度はぐっと高まります。

今回の1冊

佐野洋子著
100万回生きたねこ

 「あるとき、ねこは、王さまのねこでした。」
 100万回も生き、100万回も死んだ猫は、常に誰かに所有され、誰かの所有物である自分自身を、他人のために生きている、ただ退屈な存在だと考えていた。しかし、野良猫となって生まれたとき、はじめて自分の人生を歩み始める。他人からどう思われているかではなく、自分自身がどうしたいのか。星の王子様と双璧をなす不朽の名作。SNSとマーケティングが全盛の時代に、一石を投じる、今こそ読むべき哲学書。

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Connecting the Books
Connecting the Booksは、これまで培ってきたクリエイティブディレクター、コピーライター、編集者としてのノウハウを公開するとともに、そのバックグラウンドである「本」のレビューを同時に行うという新たな試みです。