見出し画像

【社内報の作り方】ルールを決める編集方針

 発行目的、コンセプトに続いて決めなくてはならないのが、編集方針です。社内報を複数スタッフ、またはアウトソーシングする場合は、絶対に外せませんので必読です。

コンセプトの実現が使命

 編集方針は、社内報を作る際のルールブックにあたります。これを定めることで、今後作っていく社内報が一貫性を持ち、コンセプトを体現していくことができます。つまりコンセプトと切っても切り離せない関係なのです。概念的な話ではわかりにくいので、例を挙げます。

A社 食品メーカーの場合
全国に4カ所の工場と、20カ所の営業拠点を持つ。従業員2000人。

発行目的
創業の精神である信頼される製品づくりの精神を伝え、会社の発展に寄与する。

コンセプト例
5分で読み切る、感じる社内報

この場合編集方針は
・見出しで端的に伝える
・ビジュアルを多用する
・毎回見た目が変化する

こんな感じでしょうか。
コンセプトを実現するためには、色々気にしないといけません。それを言語化することで作り手の理解が深まり、また複数名のスタッフで共通認識を持つことができます。例えば、「見出しで端的に伝える」とあれば見出しでいかに記事内容を伝え切ることができるか、その点に注力すべきと、理解できるはずです。「ビジュアルを多用する」ならロングインタビューより、インフォグラフィックのほうが合います。「毎回見た目が変化する」では、フォーマットデザインより、フリーデザインにした方が良いです。コンセプトを体現するための方法論が具体的になったと思います。これが編集方針です。また当然コンセプトが違えば編集方針も変わります。

コンセプト例
読めば読むほど知識が増える社内報

この場合編集方針は
・裏側にある想いまで掘り起こす
・長文でも読みやすく小見出しを多用
・読みやすいフォーマットデザイン

以前の記事でコンセプトとは他の可能性を捨てる作業だと書きました。しかし、コンセプトを見ただけで、どの可能性が捨てられたのか、わかりにくいかもしれません。こうして編集方針を言語化することで、より明確になったと思います。自身が目指す社内報なのかどうなのか。コンセプトとともに編集方針を書き出すことで、検証可能になるのです。

組織は異動がある

 雑誌の世界には、様々な名物編集長がいます。彼らの活躍で飛躍的に売り上げが伸びたり、雑誌に強烈な個性が生まれたりします。しかしカリスマが去れば、迷走することもしばしばあります。これは編集長=編集方針になってしまっているからです。社内報は広報部管轄のことが多く、異動、担当替えは頻繁に起き、引き継げない仕事を作ること自体が罪という風潮があります。仕事を属人化させないためにも、編集方針は絶対に明文化しておくべきです。

今回の一冊

内田百閒著
第一阿房列車

何も用事がないのに、ただひたすらに目的地へ電車旅をする。この狂ったルールに付き合わされるヒマラヤ山系との珍道中。もっと楽しい旅はいくらでもあるはずなのに、しかしどうしてか、この世界観に惹き込まれていく…。ルールを決めるだけで、オリジナリティが生まれ、個性が輝く。ルールの重要性を感じる素敵な一冊です。

社内報の作り方|創刊編 各記事はこちら

VOL.01 発行目的を決めよう
VOL.02 コンセプトって、どう決めるの?
VOL.03 媒体を考える
VOL.04 ルールを決める編集方針
VOL.05 デザインを決めよう
VOL.06 経営計画盛り込めていますか?
VOL.07 ページネーションを決めよう
VOL.08 コーナー企画は数が命?
VOL.09 協力者はいますか?
VOL.10 アウトソーシング①
VOL.11 アウトソーシング②
VOL.12 アウトソーシング③
最終回 誰が決めるの問題


Connecting the Booksは、これまで培ってきたクリエイティブディレクター、コピーライター、編集者としてのノウハウを公開するとともに、そのバックグラウンドである「本」のレビューを同時に行うという新たな試みです。