空白
時には兄のようだった。
時には父のようだった。
韓国に住む叔父の訃報を知った。
何の前触れもなく、あまりにも突然のことだった。
叔父は父親がいなかった俺のことを息子のように可愛がってくれた。
叔父には子供がいなかったから余計、そうだったのかもしれない。
最期のやり取りは俺の誕生日にくれたLINE。
訃報を聞いてすぐさま俺は叔父にLINEを送った。
当然、既読はつかない。
喪失感とはこういうことか。
人の人生は、短くて儚いんだ。
それでも、誰かがいなくなると世界には穴が空く。
有名とか無名とか
成功者とか失敗者とか
名をなしたかどうかとか
SNSのフォロワーが何人いるかとか
そんなのはカンケーない。
存在すること。
それ自体が大きなことだ。
どんな人にも存在意義がある。
どんな人にも存在価値がある。
どんな人にも役割と使命がある。
叔父との時間は消えるものではない。
俺も誰かの心を埋めているのかもしれない。
それを自覚しながら一瞬一瞬を生きていきたい。