闘球
腰に激痛が走ったのはラインアウトの練習中だった。
大学生の頃。
中高生の頃は吹奏楽部であったのにも関わらず、大胆にも俺は大学時代にラグビーを始めた。
オーケストラ部も一瞬考えた。
それくらい、クラシック音楽を愛しているのだ。
だが、大学の新歓でフランクフルトを振る舞うラグビー部に惹かれ、そのまま入部した。
決してフランクフルト目当てではない。
運動に慣れていない俺は練習について行くのに精一杯だ。
レギュラーなんてもってのほか。
ずっと補欠だった。
それでも練習だけは真面目に出ていた。
ラインアウトでの腰痛以来、俺の腰は言うことを聞かなくなった。
座っていてもダメ。
立っていてもダメ。
自転車を漕ぐのもダメ。
地獄だった。
あらゆることを試した。
整体に行ったり、薬を飲んだり、体幹トレーニングをしたり。
とうとう手術をした。
足が痺れないというのはなんと幸福なことなのだろう。
普通に歩けることがどんなに恵まれたことなのか。
俺は思い知った。