回想


20代でついた差は一生取り返せない。


メディアでよく聞く言葉だ。


俺は32歳で、20代を終えて間もない。


特にこれといったキャリアを築いてこなかった。


(20代半ばの時はニートで実家に引きこもっていたときもある)


人に誇れる学歴があるわけでもない。


イケメンってわけでもない。


英語が話せるわけでもない。


(韓国語は分かるけど)


貯金もない。


恋人もいない。


わりと絶望的な状況。


何を武器にこの先、闘っていけばいいのか。


困ったものだ。


とはいえ、自殺するわけにもいかない。


劣等感に苦しみながらも


生きていてよかった、生まれてきてよかった、と思う瞬間はたくさんあるからだ。


例えば美しい音楽に触れた時。


例えば美しい文章に触れた時。


例えば美しい映画を観た時。


いっそのこと、「私」を忘れて何かに没頭したらいい。


あなたのため、友達のため、社会のために何かをしたらいい。


そうしたら、あっという間に寿命を迎えて


これ以上、劣等感に苦しむことも


得られなかった愛を嘆くこともない。


きっと、そうなんだ。

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