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Bizが強い会社とTechが強い会社 求められるPMの役割

よく事業内容やプロダクトフェーズでPM(プロダクトマネージャー)に期待される役割は違うと言われるが、それ以外にも「Bizが強い会社」と「Techが強い会社」でも求められる役割が違う。
どちらの会社が良い悪いという話ではなく、それぞれプロダクトマネジメントにおける課題が異なるため、PMはどう向き合うことになるのかや立ち振る舞いも変わってくる。
PMが新しい環境にチャレンジしようとする際に、あれ?今までの経験が通じないぞ...?となったり、採用する側も優秀そうな方だったのになんでうまくパフォーマンスしないんだ?とお互い悲しいすれ違いが起こらないようポイントをまとめてみました。

この記事で学べるポイント

  • Bizが強い会社とTechが強い会社それぞれのプロダクトマネジメント課題の違い

  • それぞれの会社がPMに期待すること

こんな人にオススメ!

  • 新しい環境にチャレンジしようと転職活動しているPM

  • 新しくPMを採用しようとしている採用担当

  • うまくパフォーマンスをあげられず躓いているPMおよび育成で悩んでいるPM

Bizが強い、Techが強い会社とは?

プロダクトを持つ会社は必ずBizとTech組織が必ず存在します。理想的にはどちらの組織も当然強い組織を目指しても、現実的にはどうしてもどちらかの組織にパワーバランスが寄ってしまうもの。また、事業フェーズによっては、Biz組織のほうが最初は強くてもTech組織の方が強くなることもあります。BizとTechの橋渡しとなるPMは双方の組織課題にも向きあいながら事業、プロダクト成長に貢献していく必要があります。
またプロダクトマネジメントのよくあるお作法をそのまま当てはめようとすると、BizとTechの組織状態によってはうまくいかないことも出てきます。
BizとTechの組織状態や組織バランスをおさえておくことは、PMがプロダクトマネジメントを推し進める上でとても大事な要素の一つだと考えています。
ところで、そもそもBizが強い、Techが強い会社とはどういう定義なのか?本記事では以下の通り定義します。(色々な考え方があると思いますが、本記事ではPMに期待する役割に関係しそうな要素に絞って簡易的に定義します)

Bizが強い会社

  1. プロダクトに十分な機能が実装されていなくてもPR、マーケによる対外発信、訴求によりリードを獲得できる

  2. プロダクトに十分な機能が実装されていなくても営業力だけで新規獲得できる

  3. プロダクトに十分な機能が実装されてなくても導入後の活用支援でチャーンを防げる

Techが強い会社

  1. プロダクトに必要十分な機能があり対外発信や訴求が少なくても勝手にリード獲得できる

  2. プロダクトに必要十分な機能があり機能説明だけでも新規獲得できる

  3. プロダクトに必要十分な機能があり活用支援がなくてもチャーンを防げる

上記の定義の通り、プロダクトに必要な機能を開発・提供できているか?がBizとTechの強さに現れてくると考えています。つまり「プロダクトビジョンが明確で、ターゲットユーザーの課題解決につながる価値を提供できているかどうか」です。
これを実現できているかどうかで、「今」はBizが強くならないといけない状態か、Techが強くならないといけない状態かが変わります。
「今」を強調したのは、いつまでも同じではないこと、事業やプロダクトの成長度合いによっても変わり続けます。また各組織の強さを示すほんの一例として、

  • 訴求力は強いが、新規獲得力がやや弱い

  • THE MODEL型がゆえにIS、FS、CS間での連携がうまくいかない

  • バックエンドの開発力は強いが、UIが弱い

  • デザイナー、エンジニア間での連携がうまくいかない

などなど、どの要素が強いのか弱いのかでその強度も変わります。当然すべての要素において強いことに越したことはないが、現実的には相対的に強さの違いは起こります。
目指すゴールに対し事業、プロダクト、組織の短期および中長期の課題が異なるため、適切な打ち手が必要です。
なので繰り返しとなりますが、Bizの方が強いと良い(逆も然り)とか、BizとTech両方が強いから良いとかではなくて、あくまでその会社における組織の状態が今どうなっているかを適切に捉えることが、PMとしてどう行動するためにとても重要です。
ではそれぞれの環境下でPMはどんなことを求められているのか?次のセクションで説明します。

Bizが強い会社、Techが強い会社に求められるPMの役割

端的にいうと、

  • Bizが強い会社であれば、相対的にTechのほうに強い課題があるのでTech寄りのプロダクトマネジメント課題に取り組むこと

  • Techが強い会社であれば、相対的にBizのほうに強い課題があるのでBiz寄りのプロダクトマネジメント課題に取り組むこと

がPMに期待されている役割です。
要は強い組織とは相対的に見て弱い組織の課題に取り組むことが求められます。
PM個人のバックグラウンドもBizかTechかという話もありますが、組織も同じですね。
組織も強み弱みがあるので、強みを伸ばすのか?弱みを補うのか?はあります。一方、プロダクトマネジメントはBizとTechの両輪をまわす必要があります。
車輪の大きさが多少違う分には前進できますが、どちらかのタイヤがパンクしてたら修理しないとそもそも前に進めません。
極端な例でしたが、パンクとまでは言わなくとも一方の車輪の回転がイマイチ速くないとあれば、足を引きずってしまい事業やプロダクト全体の成長は鈍化してしまいます。
車輪の回転でブロッカーとなっているものを取り除くために今どの課題に取り組むと良いか?BizとTechどちらが強い会社かで変わります。

それでは具体的にそれぞれ何を取り組むと良いかのでしょうか?
よく言われるものとして以下があります。

Tech寄りのプロダクトマネジメント課題に取り組む内容

  • 営業から無茶振りな開発依頼がこないよう交通整理すること

  • 開発の優先順位を定めること

  • 開発生産性や品質向上のための仕組みづくり

Biz寄りのプロダクトマネジメント課題に取り組む内容

  • 適切な対外発信、訴求をすること

  • 新機能リリースごとに営業資料の最新化すること

  • 活用を促進するための仕組みづくり

これらは一例ですが、PMとして今どの課題に注力するとよいか?上記を参考に見極めていくことが大事になります。

これは現在の環境だけでなく、転職する際にも有効です!
新しい環境で事前に知っておけると期待していた役割と違いパフォーマンスを出さずPM本人も会社もお互い不幸な事態は避けられると思います。
採用する側も候補者の方に今の環境がBizが強いのか?Techが強いのか?をざっくり伝えるだけでも、経験豊富なPMであれば、「あ、いまこの役割求められそうだな」とか「自分の得意領域と違うから見送った方が良さそうだぞ」など入社前に判断できるはずです。
PMは何でもできる、経験なくても何とかしてくれるスーパーマンのように思われがち。もちろん「何とかするチカラ」はPMに必要なチカラです。ただ、取り組むべき課題の難易度によってはパフォーマンスを出しづらい領域はPMそれぞれ違います。
冷静に今自分が貢献できそうか見極めることも大事です。

また、今回あえて触れてこなかった課題として。BizとTechどちらが強かろうが共通の課題があります。それは、

  • プロダクトビジョンは明確か?

  • プロダクト戦略を全社に的確に伝えられているか?

  • BizとTechのコミュニケーションの仕組みは適切か?

になります。
まさにPMに求められる役割ですね。今回は説明を割愛します。(また別の機会に整理します)


まとめ

今回はBizが強い会社と、Techが強い会社それぞれで求められるPMの役割の違いについて整理しました。
理想的には色んな強みを持つPMが適切な環境で最大限のパフォーマンスをあげられること。
会社にとってもPMにとってもWin-Winで働ける環境を選ぶこともPMが活躍する上で必要なことだと思っています。
今回の記事をきっかけにより良いプロダクトづくりに役立てていただけたら幸いです。

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