日本の国家安全保障90年代 11
第4章 1976年 旧・防衛計画の大綱における防衛力 海上自衛隊
シー・レーン防衛の中心として、機動運用にあたる護衛艦部隊には4個護衛艦群が当てられている。1個護衛隊群には8隻の護衛艦と8機の対潜哨戒ヘリコプターが配備され、海上防衛の主力である。1996年、こんごう級イージス護衛艦3番艦DDG-175「みょうこう」の竣工によって完成した。
護衛艦隊(神奈川県・横須賀基地)のもとに第1護衛隊群(横須賀基地)、第2護衛隊群(長崎県・佐世保基地)、第3護衛隊群(京都府・舞鶴基地)、第4護衛隊群(広島県・呉基地)がおかれている。
旗艦として、
対潜哨戒ヘリコプター搭載護衛艦DDH141「はるな」(1970年起工、1973年竣工)、
DDH142「ひえい」(1972年起工、1974年竣工)、
DDH143「しらね」(1978年起工、1980年竣工)、
DDH144「くらま」(1979年竣工、1981年竣工)があたっていた。
はるな級対潜ヘリコプター搭載護衛艦(DDH)は
基準排水量5200トン、
満載排水量7200トン
で蒸気タービン推進、
Mk42 127mm砲2門、
Mk29発射機(RIM-7シー・スパロー短距離艦対空ミサイル8発、ポイント・ディフェンス:個艦防空用)、
Mk15ファランクス20mm機関砲近接防御武器システム2基、
Mk112発射機(Mk46魚雷搭載対潜ロケット8発)、
68式三連装短魚雷発射機2基、Mk141発射機(RGM-84ハープーン艦対艦ミサイルを8発)
などが主な兵装である。
対潜戦には対潜哨戒ヘリコプター3機搭載でこれにあたった。
DDH143「しらね」を1番艦とする
しらね級ヘリコプター搭載護衛艦も
はるな級ヘリコプター搭載護衛艦に準じる能力である。
対潜能力とともに、個艦防空も充実した艦船である。
特に対潜哨戒ヘリコプターを3機搭載することで、対潜水艦戦に秀でている。電子機器なども逐次更新され、第一線の護衛艦として遜色の無い物となっていた。
艦隊防空を担うのは防空ミサイル護衛艦DDGはDDG168「たちかぜ」を1番艦とする
たちかぜ級ミサイル護衛艦3隻であった。
1973年に起工し、1976年に竣工している。
兵装は
Mk13発射機(RIM-66スタンダード1艦対空ミサイル44発、エリア・ディフェンス:艦隊防空用)、
Mk42 127mm砲2門、
Mk141発射機(RGM-84ハープーン艦対艦ミサイルを8発)
Mk112発射機(Mk46魚雷搭載対潜ロケットを8発)、
Mk15ファランクス20mm機関砲近接防御武器システム2基
68式三連装短魚雷発射機2基
である。
防空以外にも対潜、対艦能力も有している。
1983年に起工、1986年に竣工したDDG171「はたかぜ」を1番艦とする
はたかぜ級ミサイル護衛艦2隻もこのたちかぜ級ミサイル護衛艦に準じた兵装、能力となっており、さらに旗艦能力とヘリコプター離発艦能力を有していた。
DD122「はつゆき」を1番艦とするはつゆき級汎用護衛艦は、
昭和53年中期業務見積もり
によって計画され、
1979年に起工、1982年に竣工、就役している。
基準排水量2950トン、
満載排水量4000トン、
ガス・タービン推進で、
兵装はOTOメララ 76mmコンパクト砲1門、
Mk112アスロック発射機(Mk46魚雷搭載アスロック8発)、
Mk141発射機(RGM-84ハープーン艦対艦ミサイル8発)、
Mk29発射機(RIM-7シー・スパロー艦対空短距離ミサイル8発)、
Mk15ファランクス20mm機関砲近接防御武器システム、
である。
また、対潜哨戒ヘリコプター1機を搭載し、汎用護衛艦としてバランスのとれた艦となっている。
当初、上部構造物はアルミニウム合金であったが、1975年のアメリカ空母CV-67ジョン・F・ケネディと巡洋艦CG-26ベルナップの衝突事故でアルミニウム合金の脆弱性が指摘され、さらに1982年のフォークランド紛争でアルミニウム合金製上部構造物艦船が相次いで攻撃によって炎上、沈没したことから、はつゆき級汎用護衛艦8番艦DD130「やまゆき」からは上部構造物が鋼鉄製に変更され、ダメージ・コントロールが向上している。はつゆき級汎用護衛艦は1987年までに12隻建造された。