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【就活生向け】人材紹介のお仕事って?

はじめに


本記事に関しては就職活動中の学生さんからよく聞かれる、そもそも人材紹介業ってどんなお仕事なのかという質問に対して、簡易的にまとめたものとなります。

特に求職者に寄り添いたいという方が多いため、実際に寄り添えるのかから始まり、紹介業のビジネスモデルとそれに伴うキャリアアドバイザーの難しさなども解説します。

ただし、人材紹介業に従事して3年目の視点での解説となりますので、あくまで参考程度にご覧ください。


人材紹介のビジネスモデル

人材紹介業は募集企業と求職者がいて初めて成立するお仕事です。

営利企業である以上、どこかしらで収益化を図る必要があるため、一般的には成功報酬型という形で、求職者のご紹介(入職が決まる)事で、紹介した企業から紹介手数料を頂いています。

多くの企業では、求職者の想定年収のおおよそ20%~40%を頂く形で経営されています。


求職者に寄り添う事はできるのか?


よく学生さんから、「求職者の人生に寄り添い、求職者がやりがいを持って働ける環境を紹介したい」というお声を頂きます。

僕も学生時代、そういった思いを持ち紹介会社に就職したため、働いてみて感じている事や、そもそも課題とされているお話などを解説していきます。


よく指摘される紹介事業の懸念


先程説明した人材紹介のビジネスモデルですが、基本的に企業の情報は紹介会社のキャリアアドバイザーを経由して案内をされます。

そこで出てくる懸念が、果たしてキャリアアドバイザーは求職者に合った求人をすべて案内してくれているのかというお話です。

紹介会社のキャリアアドバイザーに比べ、一般的に求職者は情報弱者となるため、キャリアアドバイザーの話を頼らざるを得ない構図があります。

しかしながら、現行の紹介事業のビジネスモデルだとどんな企業の募集があるのかを、キャリアアドバイザーが選別してお送りするため、求職者にとって募集企業全体はブラックボックスとなってしまっているというのが懸念として挙がっています。


実際に起こっている事はどんな事なのか


果たして、実際紹介会社のキャリアアドバイザーは求職者に合うすべての求人を届けているのでしょうか。

答えは基本的にNOです。

先程もお伝えした通り、紹介会社は事業所から紹介手数料を頂いて経営をしているため、クライアントの企業へ貢献することが果たさなければいけない役割として存在しています。

つまり下の図のような事が起こっています。

右の図はベン図を表現しており、四角でくくられた部分が人材募集企業の全体とします。

その中で紹介会社のクライアントの企業、紹介手数料が高めに設定され、採用に力を入れている採用促進をすべき企業があります。

求職者との面談の中で、希望と合致する職場は青で囲まれた企業群だと分かったとき、キャリアアドバイザーはその中のクライアント企業、特に手数料の高い企業を提案することとなります。

勿論、基本的には求職者の希望にできる限り沿った形で企業を案内しますが、提案できない企業、提案できる企業、提案を促進しなければいけない企業が存在するのもまた事実です。


まとめ


つまり、求職者に寄り添う事ができるかというと、寄り添うとしても多少の制限が存在するというのが結論になります。

また、営利企業である以上、キャリアアドバイザーには月の売り上げ目標が存在しているため、それを達成することと求職者に寄り添う事を両立させる必要性が出てきます。

最近では競合他社も多く、情報化社会が発展する中で、正しい情報かどうかを判断する求職者側のリテラシーも上がりつつある状況です。そのため、情報の不透明さは改善されつつはあります。

ただし、リテラシーが高くない求職者の場合、求職者に合うかどうかではなく紹介手数料の観点でマッチングを生み出すことも可能ではあるのが今の紹介会社の実情です。


求職者に寄り添う事が紹介会社の役割なのか


しかしながら、そもそも紹介会社の役割は求職者に寄り添う事なのでしょうか。

それも答えはNOです。

この役割だと完全に企業側の視点が抜けています。
何度もお伝えする通り、紹介会社は企業から紹介手数料を頂いて成立するビジネスです。

そのため、どちらかというと紹介会社の目的の一番手は採用にお困りの事業所を助けることができるかになります。


紹介会社を利用する企業群


下の図は企業の認知度と採用の積極性に関する4象限のマトリクスです。

基本的に採用に積極的な企業がクライアントとなるため、図で言う右側の企業がそれに該当します。


採用の積極性に対して認知度が低い企業に対する紹介が価値の出しどころ


少し考えればお分かりかもしれませんが、右下の範囲が紹介会社の価値を大きく届けることのできる企業群となります。

具体的には成長期のベンチャー企業など、採用に力を入れていかなければいけないけど企業規模が大きいわけではなく、求職者にそこまで知られていない企業を指します。

成長期の企業においては採用が大きな課題として存在することが多いため、手数料を高く払ってでも採用を強化したい意向があります。

社会での認知が低い中でも、いかにして我々紹介会社が企業の魅力を引き出し、求職者に提案できるかが腕の見せ所となります。


人材紹介会社が社会に対して果たすべき役割


我々紹介会社の果たすべき役割とは、先に記載した採用にお困りの事業所を助けることに付随して、他にも大事な役割を担っています。

終身雇用の時代に比べると、紹介会社の台頭も影響し、転職に関する情報が幅広く普及し、現職を他社と比較してより客観的に評価できるようになりました。

つまり、職場の環境が良い企業・悪い企業は顕在化し、紹介を通じて悪い企業からは下の図のように人が流出するようになります。

これによる効果は2つ。

一つ目が従事者の労働生産性の向上です。

職場の環境が悪い企業では高いモチベーションで働くことができなかった人が、転職を通じてモチベーションが上がり、労働生産性が高まります。

二つ目が業界の健全化です。

職場環境の悪い企業から人が流出するという事は、悪い企業は必然的に環境の改善か、場合によっては倒産に追い込まれます。

つまり、雇用の流動化を促進することで業界の健全化を図る事ができるという事です。


まとめ


ここまで紹介会社の役割についてお話してきましたが、
大きくまとめると以下の3つになるかと思います。

①採用課題のある企業の採用支援
②質の高いマッチングによる労働生産性の向上(求職者に対する価値も含め)
③雇用の流動化を促進することによる業界の健全化


(補足)就労環境の良し悪しを紹介会社は測れるのか?


ここでこれまで記載してきた紹介会社の役割に関してですが、
紹介会社がクライアントの就労環境の良し悪しを判断できる前提で話を進めてきました。

しかし、そもそも紹介会社はその良し悪しを判断できるほどの情報を持っているのかという点について気になるはずです。

そこに関しては、現状様々な課題があると感じているため、
別の記事でまとめることにします。


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