激レア?敏感肌用の珍しい日焼け止め
<動画の目次>
0:00 YouTube視聴者さんからのコメント紹介
1:27 紫外線散乱剤の表面処理の意義について
5:41 敏感肌の方におすすめな散乱剤の表面処理について
8:08 散乱剤は表面処理よりもクレンジングで落とし切ることが重要
9:05 吸収剤のコーティング剤(カプセル化)の意義
11:45 カプセル化した日焼け止めの大きなデメリット
15:08 エンディング
YouTubeでのコメント紹介
こちらの動画に質問コメントが来ていました↓
私は今まで、日焼け止めに関して主に成分面で解説してきました。
今回は、処方面での工夫について解説していきます!
紫外線散乱剤のコーティング技術
<表面処理のあれこれ>
まず粉体の表面処理が肌への刺激に関与しているか、ということですが、多少なりとも関与していると考えています。
紫外線散乱剤である酸化チタン・酸化亜鉛は触媒活性が高いです。
触媒活性とは、何か触れているものに対しての化学反応を起こしやすいという性質です。
ですので、世の中のほぼ全ての日焼け止めに共通して、酸化チタン・酸化亜鉛に対して表面処理をしたものが入っています。
最も一般的な表面処理は、シリコーン処理です。酸化チタンをシリコーンでコーティングしたものが頻繁に使われます。
シリコーンはもともと撥水性のあるオイルであり、それで成分をコーティングすることで、汗や水によって落ちにくく、強い日焼け止めの膜を作ることができます。
オイルベースとウォーターベースを比較すると、特にオイルベースの日焼け止めはオイル中に紫外線散乱剤を均一に分散させるためにシリコーン処理の酸化チタン・酸化亜鉛を使うことがあります。
実は紫外線散乱剤は、その分散性によって防御効果が変わってきます。
均一に分散すればするほど、SPF値は高くなり、白浮きもしにくくなるのです。
また、表面処理をしていると、中に入っている成分が直接肌に触れないので、肌への刺激を緩和してくれたり、皮脂の酸化が進むのを抑えてくれたりします。
<成分表で見分けられる?>
では、これらの表面処理を成分表で見分けることはできるのでしょうか?
実は、すごく難しいんです。
例えば、ジメチコンというシリコーンは、もちろん表面処理にも使われるのですが、これは製品の基材のオイル、もともと配合しているオイルで使われる場合があり、成分表を見ても、ジメチコンが表面処理で使われているのか、基材のオイルとして使われているのかを見分けることはほぼ不可能です。
ジメチコン以外には、ハイドロゲンジメチコンやトリエトキシカプリルルシランなど、表面処理でしか使われないシリコーンがあるので、それが表記されていれば、表面処理でシリコーンが使われているのだな、と見分けることが可能です。
実は、シリコーン処理以外にも表面処理方法はいくつかあります。
例えば、ラウロイルリシンやステアロイルグルタミン酸2Naなど、アミノ酸由来の成分で処理する方法もあります。シリコーン処理よりもこちらの方が肌に優しいイメージがあるかと思います。
<おすすめの表面処理 シリカ処理>
このようにいろいろな表面処理がありますが、酸化チタン・酸化亜鉛のまわりをコーティングしている処理は2%程度なので、処理の厚みとしてはそこまでありません。また、大体がオイル成分でコーティングしているため、ガッチリ固い膜で覆われているわけではありません。ですので、コーティングされている成分が多少肌に触れることもあるでしょう。
そんな中、唯一私が敏感肌の方におすすめしたい表面処理があります。
それは、シリカ処理・含水シリカです。
これはシリカ由来の処理で、コーティングとしては強い部類で、敏感肌の方でも使える処理剤と期待できます。
メイク製品でも、シリカ処理が使われているものがあり、これらは敏感肌用の化粧品として売られています。
シリコーンコーティングとは違い、シリカは固形成分です。固形成分で粉体を覆っているため、中の成分が肌に直接触れる確率はかなり低くなります。
ただ、シリカにおいても、表面処理で使われているのか、シリカの粉体/粉として直接配合されているのかを見分けるのは結構難しくなっています。
シリカと表記されていても、球状粉体といって、サラサラとした使用感を出すために配合されているケースもあり、表面処理かどうかを見分けるのは大変です。
ただ、シリカコーティングされた紫外線散乱剤をあえて使っている商品は、それが売り文句ですので、製品のパッケージなどに書かれていることが多いです。これは敏感肌の方でも安心して使える日焼け止め選びのヒントとなるでしょう。
シリカ・含水シリカがおすすめ、と紹介したのですが、実際のところは、ほぼ全ての日焼け止めが酸化チタン・酸化亜鉛をコーティングしたものが配合されていますので、直接肌に触れるという面ではあまり差がありません。とはいえ、シリカ・含水シリカ使用の日焼け止めは、普通の日焼け止めよりもコーティングの力は高いので、 刺激を感じずに使える可能性が高くなります。
私が繰り返し発信していることですが、紫外線散乱剤自体が刺激になっているというより、紫外線散乱剤が肌に残った結果刺激になってしまうケースが多いと考えています。撥水処理された酸化チタン・酸化亜鉛を馴染ませることは難しく、肌に残る可能性がかなり高いです。ですので、クレンジングオイルやクレンジングバームといった油性の洗浄料を使う、もしくはベビーオイル洗顔をして落とすのがベストです。
紫外線吸収剤のカプセル化
紫外線散乱剤だけでなく、実は紫外線吸収剤にもコーティングされたものがあります。
ただ、紫外線吸収剤はそれ自体がオイル成分なので、それをさらにコーティングするとはどういうことだ?という疑問が生じますよね。
実は、このオイル成分をカプセル化した技術も存在します。そういうものを選ぶと肌への刺激が少ないと一般的には言われています。
しかし、私自身はこの技術に関して懐疑的な意見を持っています。
まず紫外線吸収剤自体は、肌への刺激を感じる方は一定数います。というのも、ポジティブリストといって、安全性の面から成分に配合量の上限が規定されたものに入っているくらい、刺激に感じやすい成分です。ですので、紫外線吸収剤を直接肌に触れさせないことが重要です。
紫外線散乱剤と比べ、紫外線吸収剤については、コーティングされたものを成分的に選ぶことは比較的簡単です。
全成分表示では、ポリシリコーン-14という成分名で表記されており、これが記載されていればほぼ100%カプセル化した紫外線吸収剤を配合していると考えて大丈夫です。
こういった特殊なものを使っている製品は、宣伝としても大々的に書かれていることが多いのでわかりやすいと思います。
そもそもポリシリコーン-14とは、紫外線吸収剤をコーティングするためのコーティング剤です。シルクプロテインとシリコンレジンといってシリコーンの高分子が組み合わさったカプセル剤で、紫外線吸収剤自体のまわりをコーティングしてカプセル化していて、吸収剤が肌に直接触れないようにするために日焼け止めに配合できる成分です。
これ自体は素晴らしい技術ですし、肌に触れないためのアプローチとして良い技術であるとは感じています。
しかし、ポリシリコーン-14は取り扱いが非常に難しく、オイルと一緒に配合すると中身が少し溶出してきてしまうという難点があります。
また、カプセル化された成分なので、肌に対しての大きさがそれなりに大きく、高配合したとしても肌の上で点在して隙間ができ、肌全体を完全に覆い隠すことがなかなかできません。ですので、配合量のわりにはあまり紫外線防御効果が期待できないという結果になってしまいます。
さらに、カプセルは球状であるため肌との接地面積が少なく、汗や水、摩擦によって剥がれやすいです。
こういったデメリットがあり、日焼け止めとしての機能は若干劣ってしまいます。
ですので、敏感肌で本当に使える日焼け止めがない!という方には選択肢としてアリですが、SPF値で書かれている以上に焼けやすいと感じることもあるでしょう。
まとめ
表面処理やカプセル化された日焼け止めは、成分が肌に直接触れないための技術として使われてはいるのですが、選び方が難しかったり、 紫外線防御効果が満足に得られないという側面もあります。
実際にこういった処理の製品を探すのは少々苦労するかもしれませんが、敏感肌の方は一度試してみるのも良いと思います。
今回は日焼け止めに含まれる紫外線散乱剤・紫外線吸収剤の表面処理・コーティング技術について解説しました。
今後もYouTubeでのコメントへの回答や、他にもさまざまな日焼け止め、メイクに関する解説などをしていきます。
YouTubeへのコメント、お待ちしております!
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