【書評9】自分の小さな箱から脱出する方法③
すっかり長編になってしまったこの本の書評。
でもそこまで語りたいくらい重要な考え方で、しっかり伝えたい。
自分の小さな箱から脱出する方法
著:アービンジャー インスティチュート、監修:金森重樹、訳:冨永星
1:自分が他の人のためにすべきだと感じたことに背く行動を「自分への裏切りと」呼ぶ。
2:いったん自分の感情に背くと、周りの世界を、自分への裏切りを正当化する視点から見るようになる。
3:周りの世界を、自分への裏切りを正当化する視点から見るようになると現実を見る目がゆがめられる。
4:したがって、人は自分の感情に背いたときに箱に入る。
いつ、どこで、自分の感情に背いたのか?
当事者になると、いつ自分の感情に背いたのかがわからないかもしれない。
ただ客観的に見ると「本当はこうすべきだった」場面が眠っている。
いつ、どこで、自分の感情に背いたんだろうか??
自分が他の人のためにすべきだと感じたことに背く行動にフォーカスを当てて振り返る。
その1:急いで降りるようにカップルに頼めばよかった!
察してくれ!じゃなく言葉伝えていたらどうだっただろうか?
協力してくれたらぎりぎり乗れたとしたら?
"ったく、何で気づかないんだ!空気読めてないカップルだ!"
"男はぼーっとしてる感じで成績もよくなさそうだし、女は大きな声でべらべら話してるし、周りに気を配れたりしない、ばかなやつなんだ!"
カップルに対してこんな風に感じただろうか?
結果、電車に乗れなかったとしてもこういう感情は抱かないはず。
「他の人のためにすべきこと=顧客とのアポに間に合うこと」
だとすると、その電車に乗るために最善の手段をとるべきだった。
カップルに声をかけて、例え多少嫌な顔をされたとしても。
まして乗れなかった結果、不機嫌な感情や態度をカップルや周囲の人に見せるというのも自分が他の人のためにすべきことではないだろう。
じゃあ、なぜそれをしなかったのか?
「会話を遮ってお願いしたら嫌な顔をするんじゃないか?」
「必死に急いでいる姿を見せるのは、かっこ悪く見られるんじゃないか」
などなど、本当にすべきことより、躊躇する気持ちを優先してしまった。
その結果、自分がカップルを悪者にしてしまっているのだ。
「でも上司のお得意様の急な対応は仕方ないじゃないか!」
「あの対応がなければ、こんなことにはならなかった!!」
本当にそうだろうか?
その2:対応を途中で切り上げればよかった!
"あの急なお客さんも話が長いんだよ。10分で終わったのにずるずる世間話やら社内事情やらをくどくど話してくるし。あの人ヒマなんだな!」
たしかにお得意様は少しおしゃべりがすぎたかもしれない。
「この後、重要なアポで外出予定でして。申し訳ないですがそろそろよろしいですか?」と言えてたらどうだろうか?
「他の人のためにすべきこと=顧客とのアポに間に合うこと」
だとすると、間に合うための電車に乗るために会社を出るべきだった。
「他の人のためにすべきこと=上司のお得意様の対応をする」
だとしたら、要件が済んでいたのであれば、お得意様も理解されるだろうし、上司も役割を果たしたと認識するはず。
ただ、ここも切り上げずにずるずると聞いてしまった。
「要件終わったけど、まだ話したそうだから話をきいてもいいだろう」
「そろそろでなきゃだけど、切り上げ方がわからないぞ」
「変なことを言って、お得意様が気分を害したらどうしよう?、もしそうなったら上司に怒られそう」
など、目の前の感情に流されて、なすがままにした。
その結果、上司のお得意様を「ヒマ人」認定をしたのだ。
「とっさに思いつかないこともあるよ。仕方ないじゃないか!そもそも急な対応だったわけだし。」
それ、本当にそうなんだろうか?
その3:電車の時間調べておけばよかった!
「14:48→14:55」「14:44→14:51」「14:39→14:46」「14:35→14:42」
これは大崎駅から田町駅に向かう山手線の時刻表。
これさえ頭に入っていれば、上司のお得意様の対応もずるずる引きずることもなかった。
いつも通りだから大丈夫と本当は調べるべきところを怠ったのだ。
そんなに重要なアポなら時刻表くらい調べておくべきだし、
もっと余裕を持って現地についていればよかった。
本当はわかっているけどやらなかった。だから感情が動いたのだ。
しかもこれを調べていたら、頭をすぐに切り替わるはず。
駅直結のビル→「14:48→14:55」の電車→最短距離でいけばに乗れば間に合う→どの車両に乗るとすぐに上がれるか?
カップルやお得意様を悪者にせずに、社会を憂う必要もない。
自分にはまだやるべきことがある。
自分への裏切り→周りを悪いところを発掘する
これが正当化のメカニズムだ。
他の人のためにすべきことをいろんな誘惑に負けずに実行する。
もしできなかったときはそういう自分を認める。
道徳的だが、とても重要だ。
ここだけでも心が痛い話が多いが、話はまだ終わらない!
「箱に入る」だけじゃなく、それが常態化し、自分の性格になる。
さらにそういう人が、"共謀"を引き起こすこともある。
この"共謀"がおそろしい!
つづく、、、
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