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雑感(Karte.155~159)
まえがき
これまで書いてきた各話の『所感と考察』に上手く入らなかった話をざっと書いていきます。オチの無い話や特に意味のない話も含め、取り留めのない内容になることを予めお伝えします。
目次から興味のありそうな項に飛んでもらうのが良いかもしれません。
市川の高校受験
Karte.155ですね。大変なんだなと思いました(笑)。
市川の成績は学年トップクラスなんでしょうけど、そこから結構背伸びして合格に届くかどうかって感じなのかなぁ。受験はマラソンに例えられるそうですが、当落ライン上にいる人が1か月ごとに『志望者の中であなたの順位はここです』って判定されるのは確かにキツい。こういうのって皆が同じだけ頑張ってるから、順位を上げるのは大変ですよね。頑張ってようやく現状維持みたいな。
山田に会えないと成績が悪いっていうあれ、実はよく分からなかったんです。自分の場合は追い詰められなきゃ集中できない&集中したら他のことが出来なくなるタイプなので、もし市川と同じことをしても――山田と外で会う権利を受験合否に賭けるような――あんな風にならないと思います。だからなるほど、市川ってそういう感じなんだなと。
山田は市川との約束を全力で守る
これもKarte.155。山田って基本、市川との約束は全力で守ろうとしますよね。自分はそうだと思ってます。最初は君オクの単行本を貸したときでしょうか。デートの時も絶対早めに到着するし、人前で距離感に気を付けるっていうのもそう。ミスは別として約束を守る意志は強い。
今回も『外では会わないように』って約束したから守ろうとしてます。読者視点だと無理が見えすぎてるので、山田なりに必死というか一所懸命なのが分かる。
のりお先生の描写の話
Karte.156です。この回はサブタイトルの通り山田の本音がキーワードですけど、その描き方というか。流れでいうとこんな感じです。
市川に嘘をついて自分の本音を通す
市川に配慮しつつ自分の本音を言う
市川の本心を知り安心して本音を言う
順番にいきます。1.市川に嘘をついて自分の本音を通す。まず開幕から山田の嘘3連発です。
夕飯にカレーがある
『一緒に』料理しよう
自分で髪をブローできない
京太郎に会いたい、一緒にご飯作って食べたい、髪を……触ってもらいたいんでしょうか。まぁ市川には嘘が全部バレたので(笑)、つまり本音が伝わってます。
※ちなみにこの流れで4つ目の嘘『汚れてたから着替えた』が来るので、読者にも(これは違う、何かある)と分かります。
2.市川に配慮しつつ自分の本音を言う。山田は正直に話すモードになります。外で会えなくても良いから家で会って遊びたい。ここは真面目なトーンなんですよね。それが分かるのが5ページ最後のコマと、6ページ2コマ目の山田の表情。頬の斜線がありません。血の気が引いてるって描写だと思います。でも大袈裟な影を落としたりしないのでシリアス寄りの、山田も真剣に不安になってるって場面でしょう。
先述したように、山田は基本市川との約束は全力で守ります。市川のためなら親に嘘もつくし、仕事も諦めようとしたし、身を砕くようなことまでしてしまいます。大人になろうとするかのように凄く背伸びする。受験の足だって引っ張りたくないはずです。
だからここで、自分なりに精一杯の譲歩をしつつ市川に『家で会いたい』とお願いするのは、結構思い切ったと思うんです。そしてだからこそ市川の反応を誤解してしまったし、それで背伸びの限界を超えて本音をぶちまけてしまう。子供に戻ってしまった。で、市川に誤解を訂正されてめっちゃ恥ずかしそうにする。
その後もそわそわしている市川を見てまた誤解します。まだ市川に配慮している。
3.市川の本心を知り安心して本音を言う。市川にバックハグされて、ようやく配慮が無くなります。
山田はこの回では自分の本音を(隠しきれてないことまで含めて)言ってます。それはサブタイトルの通りです。ただその中でもゆっくりと心情の変化があってそれが描かれています。8ページ最後のコマのめっちゃ嬉しそうな顔が山田の安心感を表現していると思いました。
僕ヤバにおける『手の描写』の重要性
Karte.156の所感と考察でこんなことを書きました。
>Karte.156はやけに手の芝居が多いんです。
これに付け加えると、そもそも僕ヤバでは重要なシーンで手を繋ぐことが多いと思ってるんです。Karte.25で、刃牙の原稿を見せるために山田が市川の手を引っ張った時からずっと。図書室でチョコを溶かした時も、渋谷デートの時も、千本鳥居で走った時も。印象的なシーンだけが焼き付いて特別に感じてるのかもしれませんが(まだ全部のシーンは整理できてないので)、そういう理由があって自分は気にしてます。手の描写。
単行本11巻と今後の12巻について
単行本11巻収録分の話って、連載を読んでいるときは割と重さを感じてたんです。まぁKarte.144のフラモブ事件以降。だから改めて単行本で読む際それなりに覚悟したんですが、思ったほど重くなかった。で、ひょっとしてこれが単行本で読む人の感覚で、自分がズレてきてるのかなと。
考えること自体は同じなんですけど、連載だと1話をほぼ2週間かけて読み込んでるわけで、あとPCの大きな画面で読んでるせいもあるのかなぁ。でも絵は単行本の方が綺麗でよく見える感がある……よく分かんないですね。まぁいいや(笑)。
あと11巻を読んだ後では、Karte.155の所感と考察で書いたこの辺が気になってます。以下引用。
例えばKarte.155のサブタイトル『私は物分かりのいいフリをする』は、明らかに前回Karte.154を引きずっています。であれば11巻で不透明だった部分――おそらく山田が頑張った部分――がこれから明らかにされるのかもしれません(これは11巻で補足されるかもしれませんけど)。あるいはもっと単純に11巻の反動のごとく、この先の12巻収録分は山田のことが見えやすくなった山田のための話になるのかもしれません。
12巻はこれで全部なんて言わないですけど、一部には解決編みたいな意味合いも出てくるのかなと。どうなるんでしょうね。
市川は山田に良い感じのこと言えよ
と思ってる方は多いだろうし、自分もずっとそう思ってたんですが、ここへ来てようやく(でも言わないのが市川だよな……)と思えるようになりました(笑)。
ただ何故言わないのかについては色々考えてました。キザなセリフを言えって話なんかじゃなく、市川の場合は(いやそのくらいは言ってくれよ)って思うこと多いじゃないですか。読者としては山田が喜ぶところ見たいのもあるし。
言わない理由はまぁ照れ臭いってことなんでしょうけど、やっぱり自意識過剰なのかなぁ。山田を喜ばせたいと思ってはいても『歯の浮くようなことを言う自分』にギャップを感じてしまうとか。山田の仕事について話すときもそうですよね。明らかに『素人の自分が評論する気はなくてこれは個人的な感想』って話し方するし。
それに加えて、見栄を張りたい意識があるのかも。市川には『僕には山田がいないと駄目だ』って自覚があると思うんです。きっとあり過ぎるほどある。でも物語当初からの過程を見れば、山田に対して『僕は1人でも大丈夫』って姿を見せたい気持ちもあるはずです。こっちもきっと凄く強い。だから山田への傾倒を自覚しつつ、言えない。そこに照れが出ている……のかな。
あとは性欲ですよね。恋愛感情を伝えるときに、性欲が混入するのを不安がってるというか。
今のところ、そういうのが市川らしい感じがしてます。まぁ肝心の所では自分の事情を放り投げて山田が1番言って欲しい言葉を伝えますから、その点で失敗みたいな話はないと思うんですよね(思いたい)。それに最近は少しずつ変わってきてもいるし。この先どうなるのかな。山田をベタ褒めする市川って1回くらい見てみたいけど……山田に直接言わなくても良いから。
山田が寂しいのはなぜ
Karte.149しゃぷ葉デート回(単行本11巻)で市川にそう言ってから、どうもずっと解消してません。市川と一緒に居られる時間が減ったのもそうだろうけど、その先をもっと詳細に見たらどうなんだろうっていう。
例えば『同じ学校での生活が終わりに近づいてるのに』とか、『せっかく付き合ってるのに』『せっかく同じクラスなのに』みたいな、寂しさの要素というか。その辺がもうちょっと解像度が高くなるのかなと思いつつ、続きを待ってたりします。
個人的には、山田の理想とかけ離れた状態ってのがあるんじゃないかと思ってます。山田には彼氏が出来たらやりたかったこと、転じて市川と一緒にやりたいことが文字通り山ほどあると思うんです。その理由は、以前にも書いたのでここではざっくり説明しますが、あのポンコツでアドリブに弱い山田が、市川とのデート時にはしっかり計画通りに動いていたからです。脳内シミュレーションは相当やってると思われます。今もきっと毎日。
また山田の考える彼氏との関係。山田は彼氏と学校でどんな風に過ごしたいのか。そこについては言及がないので想像するしかないんですけど、小林と同レベルかそれ以上を求めてるんじゃないかっていうのが自分の予想です。おんぶしたり抱っこしたり近いなんてもんじゃないです(笑)。だとすると現在の市川との距離はあり得ないですよね……まぁ交際をオープンにしたところで市川に小林と同じことを求めるのは無理だと思いますが……。
その辺の理想との乖離が、寂しいって感情を生んでるのかなと考えたりしてます。
あとそれとは全然別の理由で、自分の願望込みのが1つあります。受験でも学校行事でも頑張る京太郎を見るのは好き、でもそれはそれとして私のことももっと見て欲しいっていうワガママがあったら嬉しい(笑)。仕事と向き合う山田を見て市川が感情を乱されたように、学生の仕事に向き合う市川を見た山田も何か思うんじゃないか、みたいな。賛否分かれそうな所ですけど。
ただ山田は、これも先述したように市川最優先ってことがあるので、いずれにしても言い難いんだろうとは思います。市川の邪魔になりそう、と思ってしまったらなぁ。
Karte.159の市川の話
お泊りであんなことしたのに山田と普通に会話してます。別に良いんだけど、でもなんでだよって思うじゃないですか(笑)。交際以降、この2人は何か進展があっても毎回こういう感じになるんですよね。
なんだろう、告白後に初めて教室で会った時は市川は凄い意識してて、山田は結構普通でした。これがその後の方向を決めたのかもしれない……と大袈裟に言ってみますが……。
市川は山田がそう(普通に接して)来るなら、自分も普通にって考えそうです。自分だけ意識してたらカッコ悪いみたいな。だから初キスの後も動揺しつつ平静を装った。自分からキスした後も、山田に泣いて抱き縋った後も、少なくとも表向きは羞恥心を見せなかった。今回もそう。段々装うことに慣れてきてるのは、だから山田が動揺してないからじゃないかなぁ。
じゃあなんで山田が動揺しないのか照れないのかというとこれは通過点だからかなと。女優だからとか、家で何度も今度会う時のシミュレーションしてるとかあるかもしれないけど、まぁそもそも通過点だと。先を見据えているから気持ちの切り替えが早い。ここまで仲良くなれたから嬉しいって気持ちはあるとして、でもそこで満足してない。市川と会うときには極論『次行くぞ次!』って気分になってるんじゃないかと。まぁ分かんないですが……。
◆◆◆
市川のパブサ。山田はさらっと流しちゃったけど、あれは絶対めちゃくちゃ君オクの感想攫ってるじゃないですか(笑)。山田のことが心配でああなってるんだからそこは気付いてあげて欲しい。おねえが気付いてるなら言ってあげてくれ……!
◆◆◆
市川の前髪。自室で勉強中はアップにするんだな、やっぱり邪魔なんだなと……いやどうでもいい話かもしれないけど(笑)、でも分かんないですよ。9巻ではアップにして無かったんです。その後で髪を下ろし忘れて塾へ行ったことはある。受験に一層本気になってきたのかもしれないし、ひょっとしたら市川の心情の変化を表現してる可能性もあるかもしれない、多分、あるいは。
まぁあれは市川のバリアーというか、威嚇というか、心を守るためのものだったりするので、徐々に不要になってくるとは思ってます。これは真面目な話です(笑)。いつかはそういうこともあるのかなと。
まとめ
色々と書き散らしました。そしてまとめません(笑)。
それでは、ここまで読んでくださった皆様、ありがとうございます。