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居住支援協議会の設立経緯

 今の職場になって話す機会が増えたので、設立に携わった居住支援協議会の経緯などについての記録を公開します。

居住支援とは

 居住支援とは、住宅の確保に困っている人に対して、入居に向けた支援や入居後の生活支援を行う活動です。住宅確保要配慮者(低所得者、被災者、高齢者、障害者、子育て世帯など)を対象に、住居の確保と住まい方の支援を一体的に行うことを目的としています。
 詳しくは、国交相や厚労省の資料を見てください。

設立の経緯・趣旨

守口市居住支援協議会

HP的役割で、アカウントを作ってます。24.11現在で更新やフォロワーはいませんが、今年は基礎固めなので今後知られていけばなぁと思います

守口市の概要

 守口市は、大阪平野のほぼ中央部、淀川の左岸に位置、旭区、鶴見区、門真市、寝屋川市、川を挟んで東淀川区に隣接しています。
 かつては家電メーカーのサンヨーやパナソニックの工場の城下町として工場がたくさんありましたが、現在は大阪市に隣接しているベッドタウンとして発展しました。
 交通の便、鉄道がモノレール、メトロ、京阪、阪神高速の出入口があるなど、コンパクトな市域に対しては充実しています。

守口市居住支援協議会の概要

 令和6年2月14日に総会、規約承認で設立しました。こじんまりとしたところが特徴です。他の協議会では、全日、宅建、社協など役所と関係のある団体が入っていることが多いのですが、機動性を重視して参画はお願いしてません。

設立にかかった経緯

 設立までにはなんだかんだで、1年を要しました。構成員全体の会議としては2回ほど行い、法人との連携協定を経て設立というさっぱりした中身です。
 次に設立のきっかけについて。
 前年度に空き家と市営住宅の計画改定がありました。それぞれの事業とも、それなりに課題が浮き上がり、その解決手法が住宅セーフティネットの拡充となり、協議会設立の方針が記載されるようになりました。
 そして令和5年度中に設立することがミッションとなり、早速概要資料作成し、大阪府の連携体制構築事業の受託者となった法人と打合せを行い、スケジュールを確認し協力していくことが確認されました。
 役所としては庁内調整(政策→福祉)を行い、全体会議を開催。
 最終段階として、最終案の資料作成ができたら意思決定、協定締結、総会により晴れて設立と言うことになりました。

協議会設立に至った課題

 この事例は住宅部局主導で設立した事例であります。福祉部局が主導することももちろんある。このあたりが、決まったものがない部分の難しいところです。
 住宅部局が担う住宅施策としては、みなさん馴染みがある空き家やマンション、と住宅確保用配慮者のための公営住宅(市営住宅)などがメインになっていると思います。
 守口市でも、市営住宅を管理しており、老朽化や時代の変化に伴う課題が顕在化してきました。
 そんな中、市内に民間賃貸のストックが多いこともあるため、市営住宅の更新が望まれません。結果的に設備劣化や空き住戸の増加が課題となりました。
 その対応策として、ストックの多い民間賃貸を活かして、市営住宅に変わる住宅セーフティネットの機能の維持・拡充する必要があり、手法として居住支援の体制を確立することなりました。

参考

民間賃貸住宅|H30統計で空きが8,000戸(あくまで統計)4戸に1戸が空いている
公的賃貸住宅のストック
市営住宅の内訳

 協議会設立時は10団地725戸でしたが、その後で用途廃止があり、現在670戸という状況です。
 上から4つの団地は、耐震性不足や老朽化で用途廃止の方針が過去から決定しています。
 真ん中2つについては、築50年を経過しており、風呂無し・EV無し、という現代の居住水準に至っていないこともあり、今後募集しないこととなった。(募集しても申し込みがない)  
 すると当然空き住戸がが増えます。それを活用する方法はないかと考えました。

空き家

 空き家等対策事業については、全国的でどこも同じような課題を抱えていると思われます。    
 典型的な市街地のパターン、近隣からの苦情が舞い込んできて、予防保全としての利活用が進んでいないという状況でした。
 その取り組みの一環として、セーフティネットとしての利活用の方針を立てられました。
 現実的にはどこまで出来るかわかりませんが、役所だけで考えず、仲間を増やすことも大切だと思います。

法人側の課題の聞き取り

 これは設立過程で、既に設立している協議会に参加したり、打合せでの聞き取りを元に私が連携・入居前支援・認知度の3つにまとめたものです。

 連携については、法人さんへの一方的な依頼になったり、役所側も契約や組織としての関係性もない1法人に偏ったやり取りが好ましくないと、実際は支援につながっていても、ぎこちない部分が残っています。この辺りは、協議会という看板をつけて正式な依頼先としての顔の見えるやり取りをしてほしいというところです。
 ストック確保というところで、孤独死等を恐れ、まだまだ入居に至らないケースが多いです。とりあえずまず入ることができる住宅を如何に確保できるかというところがポイントでした
 認知度や事業性について、一番の課題である「知られていない」「お金にならない」というところ。居住支援の性質上ビジネスモデルにならないため、居住支援だけじゃない事業もできるようにしないといけないし、そのような事業を通じて、知ってもらうことにつながればと思います。

 これらの点で、協議体としての協議会でなく、事業体としての協議会を目指しましょうということになりました。 

設立趣旨

 諸々の課題を踏まえて、協議会を設立する趣旨として「居住支援事業をまちづくり事業へ」というコンセプトを作りました。
 住宅政策主導であることや法人からの意見・結果、本当に長く安心して住める仕組み・環境づくりを行うには、居住支援ばっかりしていてはダメ。まちとして魅力があって、居住支援もできるという状況を目指さないとということで、このようなコンセプトになりました。

住宅と福祉について

 この事業は住宅と福祉というのがよく言われていますが、自治体によってその関係性の考え方は変わってもいいと思っています。
 こちらは守口市の場合、住宅政策主導で行った場合の福祉へのかかわり方の相関図です。取組みの結果が福祉政策にもプラスにつながっていくというサイクルが生まれればと思っています。

設立後

R6のスケジュール

 4月に窓口を開設し、協議会の活動スタートした現在の状況です。(この4月で出向となり、協議会どころか市まで離れてしまいました。)
 事務局が行政と法人のダブル事務局なので、4月からは補助金申請でバタバタしていたが、現在は新メンバーで改めて基盤作りを行なっているとのことです。

相談窓口について

 現在の居住支援協議会の核となるのら「住まい探し相談窓口」の設置だと考えられます。
 福祉の各相談窓口と並列で住まい探しの拠り所として、事務局の法人におねがいしております。
 事務局の役割分担としては、総会や補助金申請など事務的なことは行政側で、現場対応や法人の方が扱いやすいものは法人さんで、とそれぞれの得意分野を活かして、負担が偏らないようにするのが持続性のポイントです。
 また、生活困窮者法の改正によって、この形は旧来のものになるだろうなと予想しています。

協議会で実施したい取組み案

 コンセプトのとおり、取組みを行っていくにあたり、居住支援部会と住宅施策部会の2部会を検討したいと思ってました。
 居住支援部会は、守口市を中心に認知度と近隣のネットワークを構築していくための講義的な活動をする人たちです。
 住宅施策部会では、「市営住宅」「空き家」の課題解決と居住支援事業の拡充を目的に、空き住戸の活用や、プラットフォーム化を目指した取組みをしたいと思ってました。

市営住宅について

市営住宅の空き住戸

 住宅セーフティネットの根幹を担うとされている公営住宅ですが、現代においては矛盾や実態が伴っていないことが色々あると思っているので、また別の記事にしたいと思ってます。
 さて、守口市の市営住宅は大きく2パターンに分かれるます。
 それぞれの団地の方針や課題に対応し、目的外使用を活用して、後に民間賃貸住宅にステップアップする基盤を作るというのが目的です。
これで、入居前支援のための時間と余裕を作り出し、生活実績を作って大家さんの不安を軽減出来ればということです。

空き家

 守口市は住宅市街地なので不動産市場は十分に機能しています。なので「空き家バンク」の制度が形骸化しています。
 せっかく制度としてあるので、改良し居住支援にも役立つような使い方ができればと思いました。
 空き家法の空き家だけでなく、また、SN登録基準を満たすような立派な住宅でなくても、まずは屋根と壁と設備があるところからステップアップしていけるような住戸としてストックをする、その入れ物としてバンクを改良したいと思いました。
 所有者と購入希望者の間を行政と不動産団体が取持つという、緊張しそうな対面を作るのではなく、所有者と活用できる人を繋げる場がいるのかと。    
 こういった活動が軌道に乗れば、つながりが生まれ、いずれ居住支援のみならず空き家等の利活用の体制も構築されるような関係性が出来ていけばと思ってます

コンセプトに立ち返って

 この事業はいたる所で「住宅」と「福祉」の連携という説明がなされているところです。しかしながら、住まいの問題は行政だけでは当然出来ない、法人さんと行政が協力しないとそもそも解決しない社会課題です。
 なので、住・福の連携もですが、「公民連携事業」としての視点も必要です。でないと行政からの一方通行になり、これが協議会が出来ない大きな理由の1つと思います。
 協議会の取組みを通じて、公民連携でいう「三方よし」を体現し、さらに課題のある住宅まで含めると「八方よし」まで関係者の良い状態をイメージしています。その結果が福祉で言うところの共生社会の実現の一助になれば幸いです。

以上長くなりましたが、守口市の事例のご紹介でした。
 今後みなさまがもし居住支援に関する事業をとおして、まだ協議会が設立されていない自治体と、連携することになった場合においての一助になれば幸いです。内容についてご質問等あれば、コメント頂ければと思います。

所感

 今も所属は違えど同じ仕事をしているが、どうもこの事例はあまり受けない。まだ出来たばかりで取組実績もないので当然と言えば当然です。

 また、住宅部局が一番手を出しにくいジャンルでもあります。不動産としてーとか言われても普段からやり取りあるわけでもないし、市営住宅だけでも手一杯である。今は空き家が大変、など自分自身もやっていたのでわかっているつもりです。

 けど社会課題化しているこのご時世では、何か対応しないといけないのかなと思います。自分たちのミッションをクリアするためのツールの1つとして、出来ることと出来ないことを近くの人から話をして、拒否ではなく認識を合わせることが必要なんだなと思います。


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福前さん
仕組み改善に努めます!