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Work001|市営住宅という曲者

 このご時世、高度成長期に建設されたたくさんの公共施設は、人口減と税収の現象に伴い、集約化され、用途も現代に応じたものが建設されているのが定石であり、維持管理も指定管理制度による民間活用が推し進められている。古くなった施設は解体され、跡地は利用方法を探ることとなる。市営住宅も基本は同様である。

私は担当になって1年ちょっとで経験としても浅いが、10万人ちょっとの市だと管理・整備両方やることとなり、業務としてなんでもありの世界で、とても鍛えられるところである。
 管理としては、使用料の出入りの管理・福祉的な業務・窓口対応・現場対応・滞納整理・追出訴訟・システム・データ整理など全般。
 整備としては国庫補助金を要求した大規模修繕の計画から小さな補修工事の設計・工事監理、FMなど計画づくり、日常の点検業務、維持管理のための業務委託発注などなど。分業でも追いつかない毎日。

○個人的市営住宅の概要
そんな市営住宅の遍歴を偏見で解いてみると、以下のようになっている。
・戦後まもない頃、国は住宅不足 という問題を抱える。それまでは、共同長屋住宅で、プライバシーもへったくれもないない生活を送っていた。
・住宅不足と共にプライバシーの確保も課題になっているのを解決するのが、街中でよく見る「団地」ある。RC造の階段室型の鉄扉は当時の憧れ。当時は人口ピラミッドがキレイに形成され、若い人がたくさんいて5階建でも階段でへっちゃら。風呂は銭湯にいくのが一般的な時代では、風呂無しの2DKでもプライバシーは守られ、人気の公営住宅はたくさん建設される。
・時代が進むにつれ、世の中は豊かになりマイホーム的思想が広まり公営住宅は人気がどんどん無くなっていく。
・税金で作ったたくさんの住宅は、そう簡単に役目を終わらすことはできず、新たな役割が割り当てられる。住宅のセーフティネットとしての役割である。自分では住宅を確保できない人々のための住宅が、新たに課題となったこともあり、これらの人のために低廉な家賃で住処を提供することが役割となり、今に至る。
・近年では、国はこれに加えて、待機児童や高齢化社会に対応できるように、公営住宅の空室を福祉施設へと転用することを推進する。
・公営住宅法という法律があり、そこでは用途廃止してもいい耐用年限がさ定められており、よっぽどのことがない限り、潰すことが出来ない。つまり、維持管理し続けないといけない。

○個人的考察:
・入居にもそもそも管理のキャパがあるので、必ずしも受けれるサービスでは無い。キャパは基本増えない。
・公営住宅はそこに住んでいる人に対しての行政サービスである。
・家賃収入で成り立とうとすると、家賃が低い設定なので、赤字が基本。
・長く住んでいる住人は特に出てくる傾向として、過度な要求を行う。建物も古いので、あらゆるものが寿命を迎える。自分たちの権利と激しく主張する。
・老朽化に伴い、集約化により新築を建設するのも税金。もともと住んでいる人が優先して入居される。自分が納めた税金が、自分が住むことのない新築マンションに使われていると考えると、なかなか。

 これらは、ほんの一部であるが、矛盾や不公平感が多々ある。福祉の方向性であれば管轄が厚生労働省とかだし、行政だから仕方がないといえばそれまでだし、法律により、やめたくてもやめられない。
 全部の事業が必ずしも市民全員のためのでは無いが、入居者の基準が曖昧で、本来の役割さえ果たしているかも疑問が生まれる。と個人的に思う。
 根が深い。最近ではやっと住宅セーフティネット法とかが施行されたが、自分たち(国)に都合のいいばかりの制度で実態が追いついていない。法改正の説明もめちゃくちゃ。

○まとめ:Qじゃあこれからどうしたらいいの?
 以上のことを踏まえ、こればっかりは今後は本当に国の言うことに従うだけでなく、それぞれの地域(市)の事情に合わせた柔軟な運用をしていかないといけない。そもそも論からの話。思考停止にならず、地域の色を出した生き残るための提案を、今考える。形にする。

今回は、市営住宅(公営住宅)の制度の個人的概要を書いたので、次の機会は、自分の市に落とし込んだ上で、案を考える。

仕組み改善に努めます!