居住支援協議会設立検討のポイント
市の職員として市営住宅の管理や再編検討に携わりながら、R5に設立の業務に携わり、2月に設立にいたりました。
この4月に府に出向してからは居住支援法人の指定をしたり、セーフティ住宅の登録したりしています。
住宅部局の居住支援関連の現場に携わっている立場で、市町村の設立が努力義務化された居住支援協議会の話をさせていただく機会があり、せっかくなので共有します。
1|大阪府内の状況・体制構築支援について
大阪府内の設立状況
大阪府には43市町村ありますが、現在は5つの市協議会ある状況とまだまだ発展途上です。
大阪府内の協議会の特徴としては、居住支援法人が事務局を担い、運営を主導するような作りが特徴です。
大阪府の支援に関する取組
法人が主導するようになった理由のとして考えられるのが、法人に対する補助金事業を実施してます。
協議会設立のための活動を補助金で支援しており、令和6年度は6市で実施中です。
すでに設立している協議会も、本事業のもと活動した実績があり、順調な立ち上がりを期待します。
設立済みの市協議会の住まい支援システム
協議会の核となる取組みは「住まい相談」の一本化・構築だと思いますが今回の法改正により住まい支援の色合いが強くなってきたところです。
法改正前から実施している協議会を、厚労省の住まい支援システム風に置き換えて比較検討してみたものです。
大阪の特徴は、協議会の住まい相談窓口や運営を居住支援法人が担っているところですこの方法も一長一短あります。
地域によって、そのやり方、範囲は様々でありこの事業の性格をよく表していると思います。改正法施行後は、ある種パターン化されて、市町村協議会が作りやすくなっていけばと思います。
設立検討中の市協議会の住まい支援システム
設立途上の市町村で作成してみましたところ、検討の段階は違いますが、住まいの相談窓口が無いため、現在は直接法人に頼るしか無い状況です。
協議会を必要とする理由として、居住支援に関する体制を整理したいのか、体制はすでにあるので、協議会という組織が欲しいのかなどいろいろな事情があります。
まず議論の場を儲けるための根拠として、大阪府の事業が一役かっていると思います
2|設立検討のポイント
居住支援協議会の運営
居住支援が法律に明記されて7年ほどの事業であること、本事業自体がビジネスモデルとして成立しないことがあるなかで「協議会」があると何が変わるの?ということをよく聞かれます。
居住支援の必要性は誰も疑いませんが、協議会となると、それぞれの認識が変わり、話がまとまらなくなるため、「なぜ」・「なに」・「どうやって」を早いうちから話することが大事です。
4つのポイント
これから検討していく法人さんや市町村に対して、検討段階の考え方や作業をまとめていますので、最後に紹介します。
この方法は、『協力のテクノロジー関係者の相利をはかるマネジメント』の内容を参考にしています。↓↓↓
この本はこの事業に関わらず、行政、法人、地域と立場が違う人たちと何かをするときの基本が詰まっているので、特に自治体職員にはおすすめします。
1|協力のかたちの考え方
みなが共通の解決すべき課題にベクトルを向いていなくても大丈夫です。大義としては「住まい確保」「居住安定」だと思いますが、それぞれにとってなぜこの大義を達成する必要があり、また、自分だけではできないということがあると思います。
不動産関係者と福祉関係者が協力しないといけないことが前提のこの事業において、大義だけでお互いの個々の事情を理解し合うのは、無理があります。役所も同じです。
各々が自分の仕事で課題解決しないといけない。だから足りない部分を補い合うくらいがちょうど良くて。 (「現場が一番大変だから、私たちと同じ方向を向いて協力しなさいよっ」ってのがよくあります。)
まず、大前提に知っておいてほしいです。
2|公民連携の考え方
住宅と福祉だけでなく、行政と法人という公民連携の考え方も取り入れましょう。
よくあるのは、福祉側から「住宅部局から不動産店に協力を仰いでよ」と不動産について、役所の担当者に役割を求められることが見られます。
けど、住宅部局において業務で不動産事業者とやり取りするような事業はありません。そんな折、この事業をきっかけに関係性を構築してよって言われてもなかなか厳しいものがあります。
なので住宅部局側も、住宅・不動産を一手に担わなくても、民間事業者さんと役割分担したいことを明確にしといて、団体とかから始める必要があると思います。
3|相利評価表
協力する人たちの認識を、協議会というフィルターを通して、言語化、見えるかしましょう。
ここでは、守口市を事例に当てはめてみています。課題や目的が、協議会というフィルターと通して達成、解決されていく形を目指しています。
普段やっていることや考え方などバラバラな人たちが、組織的に何かをするので、独りよがりにならずに、知識や実績の多い少ないも踏まえて、カバーしあうための基本的事項になります。
これが話し合いをする土台となり、住まいの問題において住宅と福祉の溝が埋めれる一つになるかもしれません。
4|検討フロー
これまでは、考え方についてでしたが、具体的なフローを図式化したものをご紹介して終わりにしたいと思います。
こちらは、私のこれまでの経験をもとに作ったものであり、項目によっては現在の手引きとリンクしています。近々手引きのほうの改正も行われるため、あわせて見直しが必要だなと考えています
まず作業として(資源の定量・定性的課題)します。それらを踏まえて、地域の関係者同士で現状の思いを認識併せします。
このフローで1番大事なのは№3コンセプトをつくるところ。地域ごとに資源は全然違う中で、その地域でできること、達成したいことを設定できるかが後にも先にも大切です。それ以降は細かいことを決めていくだけなので。
ここをしっかり決めずに、協議会どうするどうしたい話ばかりで時間が過ぎていくことがよくありますので、誰かがリーダーシップをもってコンセプトを作成していく必要があると、個人的には思っています。
【まとめ】
大阪府内の居住支援法人は180法人と全国で圧倒的に多く、土地柄がよく反映されているのだなと思います。
ただどんな地域であっても、それぞれの課題をみんなで認識しておくこと、手順を整理しておけば、検討は進めることができると思っています。
全国でも地域の実情にあった体制ができていけばと思っています。
※画像データの一部を置いておきますので、ご活用いただければ幸いです。