DAOの研究　その4

ウォートンレポートから紹介してゆきましょう。

先ずは概要（エグゼクティブサマリー）から！

DAO は、ブロックチェーン エコシステムの一部です。
DAO の「概念」は 1990 年代に理論化されましたが、DAO が「構築」され始め、セクター全体で急速に成長したのはつい最近のことです。 

2020 年に分散型金融 (DeFi) の活動が爆発的に増加したため、DAO はリソースの管理を支援し、『集合的な意思決定のメカニズム』として機能するようになりました。
2021 年だけでも、DAO での運営価値は 3 億 8,000 万ドルから 160 億ドルに 40 倍に拡大し、参加者数は 13,000 人から 160 万人に 130 倍に増加しました。

このムーブメントは、既成概念「組織」の在り方への問いかけでもあります。
DAO にはさまざまな種類がありますが、多くの DAO は、同様の重要な『運用』「技術』『ガバナンス』および『法的課題』直面しています。
これらの課題に対処するために、このレポートでは、開発者、政策立案者、およびその他の利害関係者向けの一連のツールを提供しています。

その目的は、DAOエコシステムの包括的な分析を提供することではなく、主要な利害関係者がこの新たな形態の可能性を最大限に実現するのに役立つ一連の適応可能なリソースを提供することです。


1.DAOとは？
DAO は、ガバナンスと運用を管理する仲介者の必要性を減らしながら、コミュニティが目標を達成できるようにします。
DAO トークン等を活用すると、所有者は組織の在り方や制度、運営に関する意識決定プロセスと改善案や変更に関して「投票」（この投票の意味はトリッキーなのですが）できます。

ブロックチェーンとデジタル資産の活用は、第三者への信頼の依存度を減らし、意思決定や運営方針等を円滑にする『手段』を提供します。
複数の利害関係者間でガバナンスを分散化することや、運用および財務情報を開示することにより、DAOの運営が公正なものになると期待されます。



DAO を開発する事業者や、オペレーションと管理のプロセスを工夫した「ツール」や「インフラ」が市場に提供されはじめてはいますが、『DAO 』にはさまざまな運用面や技術面、そして『法的課題』に直面しています。

【DAOの操作について】
コード駆動型でコミュニティ指向の DAO は、従来の組織とは異なる方法で運営されています。
利害関係者が運用とガバナンスに直接参加できるようにすることで、DAO はさまざまな利害関係者の利益をより公平に調整できる可能性を秘めています。 ただし、DAO は、人員の運用、調整などでいくつかの課題に直面しています。 分散化、標準化されたオンボーディング プラクティス、専門ワーキング グループ、報酬方式、および使用を含む戦略などです。
DAO ツールとインフラストラクチャを統合することで、これらの課題の多くに対処できます。

【DAO のガバナンス】
DAO は、効率と有効性のバランスを取るために、さまざまなガバナンス プロセスを採用しています。 ガバナンス フレームワークは、組織の目的、役割と責任、インセンティブなどをスマート コントラクト コードで成文化します。
投票プロセスは、合理的な無関心や金権政治などの一般的なガバナンスの問題を軽減しながら、効率を高めようとします。 実際、DAO は、運用、法律、技術、および経済的なガバナンスの課題に対処するためのさまざまな戦略を成文化し始めています。

【法的構造について】
DAO はさまざまな戦略を使用して、法律上および規制上の問題に対処しています。 法的な取り扱いを定義するために、正式なエンティティ構造またはラッパー（活動の主体的な主格）を採用するものもあります。 DAO は、非法人非営利団体 (UNA) や限定協同組合 (LCA) など、いくつかの法的主体（ラッパー）を利用できます。 しかし、法的な主体（ラッパー）の使用には、金銭的義務やその他の要件が伴う場合があります。
オーダーメイドの法的枠組みは、DAO に承認への代替手段を提供します。 DAO が使用する法的構造は、会社法を超えて、証券法、税制、マネーロンダリング防止要件にまで及ぶ影響を及ぼします。
DAO が提起する問題に対する最善の法的対応は、ミッション、運用活動、構成員などの要因によって決まります。

【推奨事項】
DAO のニーズは、その目的、コミュニティ、構成によって異なるので難しいところがあります。

このレポートでは、一般的なDAOの戦略や既に実施されている戦略をご案内してゆきますが、DAO の進化に合わせて調整する必要があります。
ですが、DAO は自らを効果的に運営および管理するための戦略を作成し始めています。
このレポートは、包括的な一連の推奨事項を提供するのではなく、DAO が効果的な運用、ガバナンス、および法的戦略を開発するための出発点を提供します。
目標を定義し、管理慣行を開発し、労働を分割することは、DAO の運営に役立ちます。 DAO のガバナンスは、強力な投票慣行、説明責任プロセス、チェック アンド バランスを構築して維持することで恩恵を受けることができます。

これがエグゼクティブサマリーとなります。
次回以降は、個別に内容をみてゆきましょう。

-続く-