「場」つくりに応用できる『行動心理学』の理論と実践知
【週末の頭の体操シリーズ】 その1
「場」つくりに応用できる『行動心理学』の理論と実践知
私が進めている、わくわく社会「場」つくりの演出にあたり、必要不可欠な人間関連学の一つに『行動心理学』分野があります。
『行動心理学』とは、アメリカの心理学者ジョン・ブレイザー・ワトソンが提唱した、人間の行動から心理を分析・研究していく学問ですが、「場」つくり演出においては、「行動からの心理」をベースに「心理状態からの行動」誘発等を仕掛けてゆく考え方です。
イメージしやすいマーケティング活動での応用をご紹介しつつ、人間行動の心理的刺激のツボを考えてみたいと思います。
1.クレショフ効果
クレショフ効果とは、画像や映像を見た際、頭の中で勝手に意味付けや関連付けをしてしまう心理現象のこと。例えば、青空の写真や水しぶきが写っている写真などを見ると自然に爽やかさを連想します。
オフィス空間の演出効果に有効です。
2.テンション・リダクション効果
テンション・リダクションとは、緊張状態が消滅したあとの気が緩んだ状態。
例えば、高価な商品と価格差のある商品を用意。高価な商品の購入が決まったあとの適切なタイミングでもうひとつの商品を提案することで、購入意欲を誘発させることができます。
3.アンカリング効果
入手できる情報が少ないとき、人は特定の情報をもとに意思決定を下します。
例えば、ある商品の相場価格を知らない場合、人は値引きされる前の情報をもとに、値引き後の価格が得か損かを判断しています。
Web広告などでよく用いられている行動心理学のひとつです。
4.ザイオンス効果
「単純接触効果」とも呼ばれ、同じ情報に何度も接触するうちに好感を持ったり、好印象に変化したりするといわれています。
ただし、ザイオンス効果が得られる回数の上限は10回程度!頃合いが大切。
5.カクテルパーティー
自社商品やサービスの情報が埋もれないよう、しっかりとターゲットに届けたい場合に活用できます。
頻繁に利用されている例として挙げられるのは、メールマガジンです。例えば、美容に関する商品なら「きれいになりたいあなたへ」などのタイトルを付けるだけで、開封率の向上が期待できます。最近はSNSが主流。
6.ウィンザー効果
第三者を介した情報のほうが信頼性が増すという心理現象。口コミ効果です。他社(者)に語ってもらうことで伝えたい事がより伝わります。
デジタルソサエティの中では「いいね」より「だよね」(共感創出)をさせてゆく仕掛けが大切です。
7.リフレーミング効果
物事を見るフレームを変え、新たな価値を見出す心理現象。「死亡率が10%の手術」と、「生存率が90%の手術」だったらどちらの手術に同意するのか?
ポイントは、単なるポジティブな言い換えではなく、物事を逆の視点から見て、新たな価値を見出したり、違う意味を持たせたりすること。
8.アンダードッグ効果
不利な状況にあるものを、同情心から応援してしまう心理状態のこと。
ポイントは、その背景にさまざまな施策を行い、努力した形跡が見られること。
逆境で頑張っているけれど成果が上がらない様をありのままに見せることで、関心が集まり応援してもらえる状況を作れます。共感創出手法の一つです。
9.シャルパンティエ効果
心理的錯覚を起こすこと。例えば、通年で払う金額が12,000円だとしても、月額1,000円、1日当たりの金額は30円程度と記載されているとどう感じられますか。
心理的な抵抗感が少なくなる魅せ方です。
人間は「お得」と感じることが大好きなものです。
10.ディドロ効果
理想とする『新たな価値観』を手にした際、所有物や環境などをそれに合わせて統一したくなる心理現象のことを指します。一貫性のある行動をとりたくなる人間の性質により起こります。
これらは、マーケティング戦略で活用される手法の一部ですが、それぞれの『効果特性』をコミュニティ運営の中で仕掛けたり、リアルなオフィス空間の中で、交わらない人たちを繋ぎ合わせてゆく心理的手法として組み合わせてゆきます。
でも、仕掛けに乗ってくれる人ばかりではありませんので、「行動の誘発」や「興味の触発」、
「関心の創発」を促す手法である「ゲーミフィケーション手法」と連動させた設計・デザイン手法を仕込んでゆくことにより有効なり施策となります。
「場」つくり術の一つです。
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