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縦書きでも使いやすい日本語フォント49選!!! 和文/英文/縦書き/横書きで美しく汎用性の高いフォント

 こんにちは佐久間大進です。今回は、美大・芸大生(だからどうした)の私が自分のための忘備録的な意味合いも兼ねて『使いやすいフォント』を49個まとめてみようと思います。
 今回のテーマとしては英文和文、組版の縦横や文字の大小が入り交じる環境でも安定して美しく使いやすいことを設定しました。そのため例文には難しい漢字や平仮名、カタカナ、英語、記号などを織り交ぜてみました。
 目次は次のとおりになります。


 明朝やアンチック、角ゴシック、ピクセル系などジャンルごとに分けて並べていますが、ジャンル内でのフォントの順序は、おおむねフォーマルで汎用性の高いものから並べるようにしています。

明朝体・アンチック体など(15個)

游明朝体:字游工房

 字游工房製の皆様ご存じ游明朝。マックやウィンドウズではOSに標準搭載されている超有名フォントです。どんな場面でも間違いないと思います。ただ個人的には英語がすこしだけかわいすぎる気がします。

FOT-筑紫オールド明朝 Pro R:フォントワークス

 フォントワークス製のフォントです。ただただ非常に美しく、私の最も大好きなフォントです。見出し用のバリエーションなどもあります。縦でも横でも、漢字もひらがなも英文もシームレスで美しいです。活版を感じさせるフォントで、少し古めかしいという意味でクセはありますが、そうした『遊び』がどんな場面でも使えるギリギリのラインに収まっているのも、個人的な推しポイントです。

Noto Serif JP / 源ノ明朝:Adobe / Google

 AdobeとGoogleが全言語に一貫して対応するフォントを作ることを目標に開発したフォントです。Noto Sansというゴシックのバージョンもあります。このフォントを使えば、例えば日中韓の文字も、統一したデザインで横断的に記述することができるようです。また、ウェブフォントとして利用できるので、安定して美しい表示をウェブで簡単に実装することができる便利なフォントです。個人的にはオフラインで紙媒体をデザインする場合というより、オンライン関連の用途において何も心配せずに使えるという意味で非常に便利なフォントという印象です。

A-OTF リュウミン Pro R-KL:モリサワ

 正直、あまりこのフォントには詳しくないのですが、非常にスタンダードなフォントだと思います。万年筆で言えばパイロットのような、そんな印象の質実剛健な有名フォントです。

DNP 秀英初号明朝 Std Hv:大日本印刷 / フォントワークス

 名前に『秀英初号』とあるように、非常に歴史を感じる字形です。しっかりと面積があり、ひらがなと漢字のダイナミズムが感じられます。ただ非常に強いので、使い所が難しく、使い手の腕が重要になってくる気がします。

Hina Mincho Regular:Google

 今回、いろいろフォントを探していて初めて知ったフォントです。非常にかわいい古風なフォントです。ウェブでの使用が前提となるようなフォントですが、縦組みも美しいです。アルファベットと和文のバランスも絶妙でかわいいです。Googleフォントなので、ウェブサイトで使用しやすく、私自身も、今後使用してみたいと思っています。

りょう Display PlusN:Adobe

 大きめのサイズで使うのに適したAdobeオリジナルフォントです。もちろん全然違うのですが、Noto Serifに立ち位置や方向性が少し似ている気もします。ただ、こちらは活版の時代の香りも十分に感じられるものとなっていて、新しくも古いという感じの不思議なフォントです。

原暎こぶり明朝 Regular:おたもん

 先に紹介したNoto Serifなどを元に、同人誌などでの使用を前提に日本語の縦組みを意識して字形を整えたフォントだそうです。ひらがなの字形は特にオリジナルで、コンテンツの邪魔をしないことを最優先に考えられた素敵なデザインです。

Zen Old Mincho:Google

 なかなか他にないデザインのフォントです。特段変なところがあるわけでも癖がすごいというわけでもないですが、ぱっとみた時に明らかに他の明朝体とは異なる調和を示しているように感じます。

Zen Antique Soft Regular:Google

 上の『Zen Old Mincho』と同じく、大平善道さんのデザインです。Zen AntiqueにはSoftとSoftではないバージョンがありますが、こちらのSoftバージョンは角が少しだけ丸まり、ノーマルのバージョンよりも、さらに優しい印象の素敵なフォントです。

貂明朝テキスト:Adobe

 すこしねばりのある感じが英文の方でも共通してあらわれている、珍しいフォントです。縦でも横でも美しい、少しクセはありますが、バランスのよい、使うのが楽しいフォントだと思います。同『貂明朝』のアンチック体もおすすめです。

しっぽり明朝:フォントダス

 フリーフォントとしてはさわらび、はんなりなどと並んで非常に有名なものだと思います。みているだけで楽しい、クオリティーの高いフォントです。他のフリーフォントよりも本格派というか、遊びの少ない質実剛健なデザインなように思います。

Shippori Antique B1 Regular:フォントダス

 このイメージ画像を見ていただければお分かりいただけるかも知れませんが、一つのフォントで組んだだけとは思えないほどバリエーションが豊かで、しかし全体として調和が取れていて不思議なくらい安定しています。位置やサイズの調整も個別のフォントに対して行っていないので、そのままフォントを適用しただけの状態なのですが、数字や英字、平仮名から漢字まで、またサイズの大小が入り乱れる中、特別な調整なしに、ここまでまとまっているのは鳥肌ものです。

はんなり明朝:Typing Art

 これまた有名フリーフォントのはんなり明朝です。こちらのはんなり明朝は、しっぽり明朝と比較しても、かなり遊びのあるデザインと言いますか、可愛らしさや古めかしさが強調されているように思います。

砧 丸明オールド Std N R

 砧さんのフォントはどれも素敵で選べないのですが、迷って迷って迷った挙句のこの選択です。丸明という革新的な概念についても、伝統を意識しつつも、その中での遊びということが高いレベルで調和している、非常に楽しいフォントだと思います。

角ゴシック(4個)

ヒラギノ角ゴ Std W8:SCREENグラフィックソリューションズ

 マックには標準搭載されているフォントで、ヒラギノ明朝との組み合わせを前提に考えられているフォントだそうです。どんなサイズでも安定して美しい、角ゴシック界の優等生だと思います。

凸版文久見出しゴシック Std EB:モリサワ

 上のヒラギノ角ゴと比較してみると、どちらも質実剛健な作りではあると思うのですが、こちらの凸版文久見出しゴシックのほうが若干角が取れ、優しい印象があるかと思います。凸版文久見出し明朝も大好きなのですが、紹介する個数の関係で明朝体の方では割愛させていただきました。

りょうゴシック PlusN:Adobe

 すこし抜け感のあるひらがなが面白いなと思い、今回紹介させていただこうと思いました。太めのウェイトも美しいので、是非いろいろなサイズ・ウェイトで試していただけると面白いかと思います。

墨東ルイカ-07:タイプラボ

 角ゴシック的なデザインでありながら、非常に温かみがあって有機的・人間的な雰囲気を感じるフォントです。と同時に今回、縦組みも美しいことがわかったのはありがたい収穫です。

丸ゴシック(5個)

筑紫B丸ゴシック:フォントワークス

 数年前からマックに標準搭載されるようになったフォントです。非常にオリジナリティーのある、他にはないフォントです。丸ゴの枠に収まらないフォントで、実は知らないうちにいろんなところで目にしているかもしれないフォントです。筑紫B丸ゴシックの他にA丸ゴシックもあり、そちらの方がスタンダードな優しいデザインです。どんな場面でも使いやすい、そして、使っていて楽しいフォントです。

砧 丸丸ゴシックASr StdN R:砧書体制作所

 砧書体製作所の他のフォントと同じく、そして上の筑紫丸ゴシックとも似て、非常にオリジナルなフォントです。アールが2種類用意されていることが名前の由来だそうです。大きくても綺麗ですが、小さい文字において特徴的な美しさがあらわれると思います。

Kiwi Maru:Kiwi Maru Project

 遊びのある、使っていて楽しいデザインのフリーフォントです。私の好きな英文フォントでJosefin Slabというものがあるのですが、そのフォントにすこし似たSlab系の英字を有していると思います。日本語において、なかなか見ることの少ないスラブ系フォントですが、とてもかわいいので、これからもいろんなフォントが登場することを願っています。

いろはマル:MODI工場

 活版が〜とか、写植が〜というよりかは、ナイーブでごく単純な意味で『昭和感』のあるフォントだと思います。非常に味があって、使っていて楽しいフリーフォントです。

墨東レラ-5:タイプラボ

 しっかりしてるけど、やさしい。包容力のある丸ゴ系フォントです。

その他ゴシック系(3個)

Dela Gothic One Regular:artakana

 インパクトとかわいさが両立しているフォントです。デザインに特徴がありますが、漢字への対応もかなり良く、もちろん英文・和文の整合性も文句なしです。

FOT-キアロ Std B:フォントワークス

 紙媒体・電子媒体問わず、さまざまなサイズ、縦横で文字通り『縦横無尽』に活躍しているフォントです。デフォで出てきた斜めのびっくりマークが可愛いですね(もちろん調整してまっすぐのを出すことも可能だとは思います)。

押出Mゴシック Regular:たぬき侍

 言わずと知れたMシリーズを『押し出し』て制作された、面白いコンセプトのフリーフォントです。手書きのマジックっぽい印象もあり、ポップなフォントです。

ロゴ・ポップ系(4個)

Potta One Regular:Font Zone 108

 ぼてっとした面白いフォントです。こんなデザインなのに、難しい漢字にもしっかり対応しているところが彼女のエリアという感じです。

コーポレート・ロゴB:ロゴタイプJP

 活発でどこか爽やかな印象を与える縦長のフリーフォントです。かなり有名なフォントで街でも、よく見かけるような気がします。

モッチーポップ Regular:フォントダス

 手書きの文字を元に作ったポップ系フォントだそうです。フリーフォントで、いろんなところで見ることのある有名なフォントだと思います。

ロックンロール One Regular:フォントワークス


白抜き・シャドー系(3個)

ランパート One Regular:フォントワークス

 動きがあってポップな印象ながらも、難しい漢字も読みやすく、縦組みもかなり似合っていると思います。いわゆるフォーマルではないけれど、遊びすぎている感じは受けない色んなシーンで活躍してくれそうなフォントです。

TA角シャドー:片岡正

 すごい癖はあるけれど、見ていて楽しいなと思ったのでリスト入りです。使い所は選ぶかなと思いますが、いいデザインのアクセントになってくれそうだなと思います。

VDL ロゴ丸-pop:Visual Design Laboratory

 かわいいけど安定感のあるフォントだと思います。ひらがなやアルファベットがとても優しく読みやすく、それでいて画数の多い漢字にも破綻がない、秀逸なデザインだと思います。

その他(6個)

Kaisei HarunoUmi:Font-Kai

 少しだけ明朝っぽいけど確実に明朝ではないフォントです。新しさを欲している方におすすめです。

国鉄っぽいフォント(等幅):フォントダス

 国鉄っぽいフォントです。今回あらためて組んでみて、意外と難しい漢字にも対応してるんだなと思い、感動しました。商用利用の場合はメールで連絡が必要(情報は古い可能性があります)だそうです。

ロンド B スクエア:もじワク研究

 日本語と英語が混じる場面でもおしゃれに使える気がします。縦長のスタイリッシュなフォントです。

棘薔薇ボールド:フォントグラフィック

 今回知りました。漫画とか同人誌とかの本文、タイトル、表紙など、見ているといろんなインスピレーションが湧いてきます。

異世ゴ:フロップデザイン

 どこかは思い出せないけれど、絶対どこかで見たことがあるフォントです。ちゃんと可読性が高いところがすごいと思います。

ピグモ 01:もじワク研究

 こちらはちゃんと読めはしないかもしれないけど、難しい漢字にも英数などにも対応してるのがすごい。頭の片隅に入れておいて損はないフォントだと思います。

ピクセル系(4個)

PixelMplus12:@itouhiro

 ピクセル系・ドット系のフォントは、ドット数によって全く異なる困難があると思うので、単純な比較というのは難しいものではありますが、こちらのPixelMplus12はとても可読性が高い部類に入ると思います。時と場合によっては本文フォントとしても使え、縦組みも可愛いと思います。

ドットゴシック16 Regular:フォントワークス

 こちらはピクセル数が多く、小さい場合は、ぱっと見たとき、普通のゴシックに見えてしまう場合もあるかもしれません。また、このくらいまで来ると、字形のクセが感じられるようになり、いわゆるドット系と普通のゴシックの境目という感じでもあります。

美咲ゴシック:@num_kadoma

 TPOは選ぶけれど、個人的に一番好きなピクセル系のフォントです。作品中の小物、コンテンツデザインや、動画とかのテロップでも活躍しそうで、用途を想像するのが楽しいです。

美咲明朝:@num_kadoma

 上の美咲ゴシックの明朝版です。この大きさ(解像度)で明朝とゴシックを描き分けるとは、なんともテクいですね。痺れてしまいます。

手書き風・タイプライター風(4個)

たぬき油性マジック:たぬき侍

 たぬき油性マジックという、手書き風のポップなフォントです。ほんとにこのフォントかは定かではありませんが、チラシなどで見かけるような気がします。

クレー One:フォントワークス

 教科書体や硬筆を思わせる手書き風のフォントです。ただ、いわゆる『手書き風フォント』の中でも、硬筆をモチーフにしながらも、過度に堅苦しくならず、しかし汎用性の高いデザインにまとめるコンセプトは少し珍しいものだと思います。

美人の字:アドアチーブ

 美人の字というフリーフォントです。現代的な女性の手書き感がよく現れたフォントだと思います。

New Tegomin Regular:Kousuke Nagai

 タイプライター風のフォントというのは、アルファベットではたくさんあるものの、日本語ではあまり見ることがありません。このことは歴史的にも、いわゆるタイプライターという機械の構造と日本語の相性が少し悪かったことにも起因しているようですが、日本語でもある程度アルファベットとシームレスにタイプライター風の表現を使いたい時に、こちらのフォントは役に立つかもしれません。

教科書体(2個)

游教科書体:字游工房

 教科書体はたくさん種類があるのであまりこの記事では深入りしないようにしようと思います。有名各社の教科書体はどれを使っても間違いはないと思います。ただ、ありがちなのが、この遊教科書体のように、アルファベットが急にかわいくなることです。こうした点には注意してフォントを選ぶのが良いかなと思います。

UDデジタル教科書体 Pro R:松下電器・イワタ

 実際に教育現場で多く使われ、人気のあるフォントです。個人的にはこういうデザインはあまり好みではありませんが、ユニバーサルな可読性は高いのだと思います。配布物やプレゼンテーションでとにかく『安全』という点で重宝され、活躍しているようです。

お読みいただきありがとうございます。京都市立芸術大学の修士課程に在学しデザインや写真の研究・制作をしながら、写真論や写真史の研究をしています。制作や研究をサポートしていただけると幸いです。