ヱヴァはエヴァでなくシンエヴァであり シンエヴァはけれどエヴァンゲリオンであった
シンエヴァみた。
かつて、
ネオンジェネシスエヴァンゲリオン、そのビデオ…VHSビデオソフトのレンタル開始日は、オープンすぐのビデオショップに駆けつけて素知らぬ顔で一番に借りてたあの日々。スターチャイルドだったあの日々。
その全ての最終話をみたのだ。そのうちのひとつの話です。
南極のあたりから涙があふれてしょうがなかった。立派なゆるいおたくなので事前ではなく事後に、ヱヴァンゲリヲン破を見直している。新劇、つまり序破Qですが、やはり記憶と違わずシンエヴァと絵がずいぶん違う。なんならキャラデザから違うよね。頬が丸く顎が尖っている。映画館でシンエヴァみながら今回の絵、なんてかわいいんだとても好みだ…序破Qとぜんぜんちがうんじゃない?どうしてこの絵じゃなかったんだ…さいこうにかわいい 最近の作画ってすごいな〜
と
思ってましたが、いま、破を見直してるとこんなに明らかに、あからさまに違うとは
そうだ
わたしがいま見直しているのはあくまで
「ヱヴァンゲリヲン」であって、現在公開中の映画である「シン・エヴァンゲリオン」ではないのだ。
妙に顎が角張った最適なバランスは
テレビ版からの継承なのではないのか?これは、貞本さん独特のカーブを含んだ輪郭の完全エヴァ絵だ。それはつまり、これはある意味で別軸の展開なのだ。
新劇としてではなく、旧劇さえも繋いだシン・エヴァンゲリオンとしてのデザイン、設計がそこにあったのだ。
そう思えばマリの存在に仮説が追いつく。
シン・エヴァンゲリオンを見ながら、アスカファンのわたしはつくづくおもった。冒頭でエッフェル塔を武器としたマリをみて。
あーこんなふうに、前向きに戦闘を楽しむ自信たっぷりなエリートっぷり、まさにアスカで見たかったな〜。どうしてアスカじゃだめだったんだ。ずっとぶーたれて眉を寄せてシンジに悪態をついて不満をぶつけるそれだけではなく、
チャーンス。てピンチを楽しむ、ポジティブでチャーミングで圧倒的なアスカが見たかったな。そう思ってました。
でもちがうのよね。アスカが苦悩に向き合うためにはアスカの、アニメ的要素を引き受ける第三者が必要だったんだ。
おっぱいの大きな、メガネの、パラシュートで空から降ってくる、おっぱいアタックで登場する、カタコトでもないが外国語を会話に盛り込む、そんな。そういえばアスカは外国語をほぼセリフに含めなかった。トップをねらえ!におけるユング・フロイト的庵野監督のいつもの子。
それらを一手に引き受けて、アスカの重い運命をひたすら軽くしてくれた。ママを求めず、加持さんを求めず、ただ自分と向き合ったアスカ…そんなアスカを姫と抱きしめてくれたマリ!!
ヱヴァはエヴァではないけれどもシンエヴァであり
シンエヴァはけれどエヴァンゲリオンであることを
それらを行き来する……つまりマリは時空の魔女なんやね!!
マリはアスカのお母さんなのかな?と思いました。だとすれば姫とかわいがる理由もわかる。やけに息があって、同じように歌ってなかった?あれはつまり母の背中できく歌のモティーフなのでは。
カヲルくんというのは、偶像だとおもってました。アイドル。シンジくんのための。
そして今回、シンジくんを幸せにするための存在として演じ続けてると言ってましたね。偶像であったことはある意味で正解だったんだけど彼の立体性には誰もが驚いたのではないでしょうか。まさかシン・エヴァンゲリオン、カヲルくんまで福音を届けるとは…!!ここでかつてその道を通った全◯女子号泣。
アスカはシンジくんのための女としての立ち位置、逆位置として用意されたヒロインだったのだと
旧劇からもそう考えますが
それはカヲルくんとマリの関係性についても同じなのではないかな。
シンジくんにとってのカヲルくん、アスカにとってのマリ。
そしてその両者は、結局はそれぞれにとって不要であったと神木くんはそう言う。なにもかもが少年期、寝ても覚めても夢見てばっかの少年マンガと過ごした、自分が好きじゃないあの頃。そこから駆け出して、行こう!と言い、初恋ではない誰かとともに本当に行ってしまった。
終劇すぎた…ありがとう庵野監督。お疲れ様でした。映画館は啜り泣きが響いてました。わたしたちの胸に杭をこんなにきれいに打ってくれて、わたしたちは行かなければならないのだ。ほんとうはこんなふうに考察を述べてる場合ではないのだ。
けれどアニメを愛してくれてありがとう。すべてを捨てなくてもよかった。旧劇では全てを捨てろと言われたような突き放し方だった。観劇者の不穏そうな実写とりこんだあのシーン初見の衝撃。シンエヴァは、なにもかもを許容する力強い作品だった…!だからわたしたちは二度と見るかー!!と思わなくていい。何度も見てうっかり考察かいて読んで泣けばいい。そうしてアニメを、夢見てばっかでいいんだわ。もえるようなキスを、ありがとう。ほんと宇多田ヒカルは天才だし神木くんは神々に愛されすぎてる。
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