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海をめぐる。相模湾の鉄道日帰り一人旅

ふと、無性に海が見たくなって、相模湾をぐるっと電車で回ってきました。

でも、東京の海は少し違う気がするんですよね。確かにそこに海はあるけれど、高層ビルの影に隠れたその姿には「都会の海」らしい窮屈さを感じてしまうんです。あの、どこまでも続く海の自由さや広がりが恋しくなる瞬間があります。

相模湾の海が美しい理由

相模湾は、日本近海を流れる強力な海流「黒潮」の影響で、水の流れが速く、ゴミが溜まりにくいのが特徴です。そのため、透明度が高いと言われています。また、流れ込む河川が少ないことで、土砂や栄養分が過剰にならず、水が濁りにくい環境が保たれています。

海が青い!

やっぱり、きれいな海が見たいですよね。自然を感じられるような「大自然っぽい海」が理想的です。そして、できれば東京から近い場所がいい。そこで今回は、相模湾を鉄道でぐるっと回る日帰り旅に出かけてきました。


小田急か湘南新宿ラインか?

新宿から湘南方面に行くには、JRの湘南新宿ラインを使うか、小田急の特急で小田原まで出るかの二択です。普段はJRばかり利用しているので、今回は小田急に乗ってみました。

自分的にはあまり見慣れない案内板

小田急の場合、小田原での乗り換えが面倒なため、仕事ではJRを利用することが多いです。

今回は新宿駅から小田急の特急ロマンスカーに乗ってみました。それだけでちょっとした観光気分を味わえます。

ロマンスカーと言えば、赤い車体で運転席が2階にあるイメージでしたが、実際に来た列車はまったく異なるタイプでした。どうやらロマンスカーにもいろいろな種類があるようで、知らなかったので驚きました。

特急のロマンスカー

小田急の特急ロマンスカーといえば赤色のイメージが強かったのですが、今回乗った車両は違う色でちょっと驚きました。

新宿を出発すると、本当に都心のど真ん中を走るので、その光景がとても不思議。JRではあまり見られない景色だと思います。

新宿駅すぐそばの踏切を通過

小田急線は下北沢や成城学園付近では地下を走りますが、多摩川を渡ったあたりから一気に景色が変わります。そこからさらに30分ほど乗ると、車窓には田園風景が広がり、海へ向かっているとは思えないほど不思議な気分になります。

小田急から見える田園風景も良い

新宿から1時間20分ほどで小田原に到着しました。いつもはJR派なのですが、たまには私鉄の旅も楽しいです。JRの湘南新宿ラインでも同じくらいの時間なのかな?

小田原で一休み

小田急線を小田原駅で降りました。朝ごはんを調達するため、小田原駅構内をあちこち歩き回ってみました。

小田原を強調する巨大なちょうちん

JR小田原駅の入り口には、ひときわ目を引く巨大なちょうちんが飾られています。実は小田原は、江戸時代から続くちょうちんの産地。城下町としての需要を背景に、長い歴史の中でその技術を磨いてきました。

だからこそ、駅の改札にあれほど大きな提灯があるんですね。

小田原駅から見える小田原城

小田原駅からは小田原城が見えます。城下町の雰囲気を感じられて、なんだかいいですね。戦国時代には北条氏の城下町として栄え、その象徴が小田原城です。駅からその姿を眺められるのも魅力のひとつでしょう。

その後、小田原からJR東海道線に乗り、さらに相模湾を目指しました。

東海道線の無人駅。根府川駅

小田急駅から東海道線で2駅ほど乗り、根府川駅に到着しました。

無人駅の根府川駅

根府川駅は小田原市にあるJR東海道線の無人駅です。明治20年に箱根への玄関駅として開業し、長い歴史を持っていますが、乗降客数の減少に伴って現在は無人化されています。

山と海に囲まれた、東海道線でも屈指の自然豊かな駅で、ホームを出ると目の前に相模湾が広がる絶景を楽しめるのが大きな魅力です。

ドラマに出てきそうなプラットフォーム

東海道線を根府川駅で降りると、目の前に広がる絶景に思わず息をのみます。ここが関東だということを忘れるほど、豊かな自然に囲まれた無人駅です。私のほかにも、ホームで写真を撮っている人がたくさんいました。

無人駅ではありますが、東海道線の15両編成の列車も停車するため、ホームはとても長く、そのすぐ隣に海が広がるのが大きな魅力です。

上から見た根府川駅

ホームの端まで行き、海が見える場所へ移動しました。根府川駅は海側に線路があるため、駅の近くからは意外と海が見えません。むしろ、電車に乗っているときのほうが、海を間近に感じられるかもしれません。

ホームから見た相模湾

それでも根府川駅が大好きです。

海が見えなくても、この自然あふれる雰囲気がたまりません。


グリーン車から相模湾を楽しむ

根府川駅から東海道線に乗り、東京方面へ向かって藤沢駅まで戻りました。JR東海道線にはグリーン車があり、2階席に座ると相模湾がよく見えます。そこで眺める海の景色は本当に最高でした。

二階席から海がよく見える

しばらく相模湾の景色を楽しんだあと、小田原駅で買った「みそまん」をいただきました。

みそまんは、皮に味噌を練り込んで蒸した饅頭で、こし餡との相性がとても良いと思いました。

みそまん2つは多かった

藤沢駅に着くと、ホームに古い東海道線の車両を模したかわいいNewDays(コンビニ)がありました。思わず「これ、何だろう?」と驚いてしまいました。

これでもコンビニ

相模湾をできるだけ楽しむため、藤沢駅から江ノ電に乗り換えることにしました。

ドラマのロケで有名な鎌倉高校前

藤沢駅から乗った江ノ電は、驚くほど混んでいました。都内の満員電車のような人混みで、ほとんどが観光客です。車内では日本語だけでなく、いろいろな言語が飛び交っていました。

乗客の多くは江ノ島や鎌倉高校前で降ります。この日も鎌倉高校前でたくさんの人が降りていきました。

写真を撮る人で溢れている

そしてその乗客が向かうのは、鎌倉高校前駅のこの踏切です。

ここはドラマやマンガにも出てくる有名な場所なのです。江ノ電の沿線には有名な観光地が多く存在しており、そのついでに鎌倉高校前のこの日スポットに立ち寄る観光客が多くいます。

人がいない瞬間を見計らって

とにかく人が多く、皆が我先にと前に出てくるので、人がいない瞬間を狙うのが大変でした。周囲には警備員もいて、道路の真ん中で写真を撮ろうとする人たちに注意を促していました。

ここはすっかり観光地化していますね。

江ノ電と相模湾

鎌倉高校前駅に戻ってきました。小さな駅ですが、駅からは相模湾を見渡せて、とても素敵な景色が広がっています。

駅前の国道134号線は、いつも渋滞しているようでした。

その後、JR東海道線に乗り換えて、相模湾沿いの街・横須賀を目指しました。

海軍と大自然が調和した街。横須賀

横須賀は、明治時代に日本海軍の造船所や軍事施設が作られたことで発展した街です。現在も自衛隊やアメリカ海軍の拠点として知られています。JR横須賀駅には、そんな歴史を象徴する装飾が施されています。

海軍っぽさを出すJR横須賀駅

横須賀駅前から徒歩1分のところにヴェルニー公園があります。

ヴェルニー公園は、横須賀港を見渡せる美しいフランス式庭園です。名前の由来は、明治時代に横須賀製鉄所(後の横須賀海軍工廠)の建設に大きく貢献したフランス人技師、レオンス・ヴェルニーにちなんでいます。

ヴェルニー公園の入り口

公園からは、自衛隊か米国海軍のものと思われる戦艦が見えました。自衛隊の場合は「護衛艦」と呼ぶべきでしょうか。

横須賀駅から見える相模湾は、軍艦が停泊する独特の風景と、大自然が調和した特別な景色が広がっています。静かな海の向こうに広がる雄大な自然が、軍艦の存在感と相まって独特の雰囲気を作り出しています。人工物と自然の美しさが共存する、その風景には不思議な魅力があります。


横須賀海軍カレー本舗

横須賀でお昼になったので、有名な「横須賀海軍カレー本舗」でカレーを食べようと思いました。

ところが、この日は連休初日の土曜日で、待ち時間はなんと1時間!整理券を取って、近くをぶらぶら散歩しながら時間をつぶし、再びお店に戻りました。

店の入り口

本当に1時間待ったあと、ようやく2階のお店に案内されました。

通されたテーブルの上にあったメニューが…なんだこれ?ユニークすぎます。「軍極秘」って一体何なんでしょうか?

メニューがおしゃれ

この日は「金剛カレー」(1,870円)と、追加で「スカコロ」(250円)をいただきました。

「金剛」という名前は、おそらく戦艦「金剛」からきているのでしょう。戦艦「金剛」はイギリスで建造されたため、カレーにはイギリスの国旗が添えられていたのだと思います。

コンセプトは面白いと思いましたが、味については正直、普通かなという印象です。横須賀海軍カレー本舗は飲食店でありながら、体験型のテーマパークのような要素が強いと感じました。

テーマパークの食事がそれなりの価格なのは、納得できるところですね。


横浜シーサイドラインで東京方面へ

東京に戻る際、海沿いをできるだけ楽しみたくて横浜シーサイドラインに乗りました。

ところが、予想以上に混んでいて座ることができず、なぜか先頭車両に乗ることに。そこには子どもたちが集まっていて、窓に張り付くように並んでいました。

周りから見ると、まるで自分が親に見えそうな雰囲気…。ちょっとバツが悪い気分になりました。

先頭車両からの景色。一部子供の頭が写ってるし…

横浜シーサイドラインの車窓から見える海は、都市の風景と自然が融合した独特の景観を楽しめます。

高層ビルや工業地帯を背景に、広がる海の景色が印象的です。一部区間では横浜港やベイエリアの水面が目に入り、停泊する船や港の作業風景が間近に見られます。また、沿線には埋め立て地や人工島が点在しており、整備された緑地やマリーナ、レジャー施設が続くのも特徴です。

さらに、工場や倉庫が連なる工業地帯を抜けると、臨海公園や金沢自然公園、八景島シーパラダイスなど、緑や海の自然を感じられるエリアもあります。このように、都会的な景観と海の雄大さが調和した風景を楽しめるのが、シーサイドラインの魅力です。

新杉田駅で京急に乗り換え、この日は品川を経由して帰宅しました。

さいごに

約半日ちょっとの旅でしたが、意外に旅行気分を味わうことができました。関東近郊でも、まだまだ面白いところがたくさんありそうです。

旅行日:2024年10月

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