網走監獄と天に続く真っ直ぐな道。網走旅
夏休みを利用して、北海道に行ってきました。
網走へは、稚内からホタテロードを南下して向かいました。網走は、今回の北海道旅行で4箇所目の宿泊地です。
網走では、網走刑務所や知床の平坦な道路、オホーツクに面した駅などを散策しました。
網走について
網走市は北海道東部のオホーツク海に面した街です。人口は約3万人と東京の都市と比べるととても小さな街です。近年では、人口が減少し続けています。
網走市の主な産業は、漁業、農業、そして観光業です。豊かな自然がこの街の大きな特徴と言えるでしょう。観光地としては、網走監獄歴史館や冬の流氷、知床の大自然、海産物などが有名です。
網走は、自然を基盤とした観光地としての魅力にあふれています。
網走監獄
網走監獄は、網走市にある観光名所で、国の名勝に指定されている天都山の中腹に位置しています。
「網走」といえば「網走監獄」というほど、観光地としての知名度があります。年間に20万人が網走市に訪れます。網走市の人口が約3万人であることを考えると、確かに観光が市の主要な産業であることがわかります。
実はかつての刑務所ではなく博物館
網走監獄は、かつての刑務所であると思っていたのですが、実際は、旧網走刑務所の建物などを屋外保存・展示している博物館でした。
鏡池や正門、浴場などは再現建築であり、放射状官舎などは移設建築です。
それにしても、そのリアルさには驚かされました。
海外から取り入れた設計がある
放射状の官舎は、ベルギーの監獄を模倣した形のようで、中央に見張り台を配置することで、少人数で多くの囚人を効率よく監視できる設計になっていたそうです。
博物館には雑居房も移設・復元されていました。展示されている雑居房は誰もいない空き部屋ですが、何か見てはいけないものを見たような感覚になります。
ここは網走ですから、冬はきっととても寒かったのでしょうね。
そしてこちらが廊下。左右に雑居房が並んでいます。
工夫がある雑居房の設計
網走刑務所の雑居房は、外から中が見えるように設計されています。これは監視のためだと思われます。
外から効率よく監視できる一方で、中は斜め方向からのみ見えるようになっており、正面からは見えません。また、雑居房同士はお互いに見えないように工夫されています。
もし雑居房同士が見えるようであれば、囚人同士が会話できてしまうため、コミュニケーションをできるだけ断つ工夫がされているのだと思います。
こちらは独立型の独居房です。何か悪いことをした囚人が、この独居房に移されたようです。
中には光がほとんど差し込まず、閉じ込められるのは精神的にかなりつらそうです。そして、冬はとても寒そうです。
博物館がとても好きです。たくさん学べて楽しいからです。この博物館でも、当時の網走刑務所が担っていたもう一つの役割である北海道開拓についてもたくさん学べました。
当時の北海道開拓には十分な技術的や安全が担保されておらず、多数の死傷者を出していたそうです。そもそも受刑者の役務を危険な北海道開拓をさせてもいいのか?という課題もあったそうです。
監獄食堂で当時の昼食を体験
博物館網走刑務所の敷地内には、監獄食堂があります。これは博物館に併設されたレストランで、今回の旅では、ここに来るのを楽しみにしてました。
監獄食堂では、当時の網走監獄で提供されていたの昼食のメニューを再現した定食を食べることができます。麦飯に焼き魚、味噌汁、小鉢がついていますが、実際は味噌汁の代わりに番茶が出されていたそうです。
定食では秋刀魚かホッケを選べたので、わたしはホッケを選びました。
監獄定食は950円でした。博物館網走監獄という観光地で、さらに当時の刑務所の昼食を再現しているというしっかりしたコンセプトがあるので、もう少し値段を上げてもいいのではないかと思いました。
網走は観光地として、収益を確保することが重要だと思います。観光地敷地内の定食が950円では、市内の普通の定食屋さんとあまり変わらない価格です。
天に続く道
網走から車で1時間ほどで、「天に続く道」と呼ばれる場所に着きます。「天に続く道」は一般道ですが、多くの観光客が訪れ、すっかり観光地化しています。
天に続く道のスタート地点
天に続く道のスタート地点からは、一直線に伸びる道路を写真に収めることができます。近くには駐車場やカフェもあり、外国人観光客を乗せたバスも停まっていました。
ただ、ここは一般道なので、写真を撮る際は周囲に十分注意する必要があります。
HEAVEN CAFEのポテトが美味しい
天に続く道の駐車場のすぐそばにカフェがあり、軽食を楽しむことができます。
少し遅い時間に到着したため、閉店間際でしたが、ここで食べたポテトが甘くてとても美味しかったです。
お店によると、知床産のじゃがいもをつかって揚げたものだそうです。本当に甘くて美味しいのでおすすめです。
この日はお腹いっぱいだったので、軽食と飲み物での休憩にとどめましたが、Heaven Cafeの鹿肉バーガーも評判が良いそうです。次回はぜひ鹿肉バーガーに挑戦したいと思います。
お店については、上の知床斜里町の観光協会のページをごらんください。
お店の人に伺ったところ、Heaven Cafeは、知床斜里町で知床の水産加工物を販売しているそうです。そこで購入した鮭フレークは、鮭の風味がとても心地よく、塩辛くなく、しっかりとした味わいで、とても美味しかったです
。
まだまだある一本道
こちらはGoogle Mapで偶然見つけた場所です。場所の名前がわかりません。写真を見ると、天に続く道とそっくりです。
この道は農道で、観光客はまったくいませんでした。ほぼ独占状態で、すれ違うのはトラクターぐらいでした。
Google Mapで「いっぽんの道」と検索すると見つかる場所です。
この辺りは農地が広がっており、駐車場はありません。車で訪れる際には、十分注意してください。
網走駅
さて、ここからは駅シリーズです。まずは網走駅に立ち寄りました。網走駅は札幌からの特急「オホーツク」の終着駅です。
札幌からの特急だけでなく、釧路への電車も運行しています。かつて冬に、流氷を見るための列車を予約したこともあります。残念ながら、記録的な北海道の豪雪で辿り着けませんでした。
網走駅構内は、旅情が感じられてとても良かったです。「旅に来たぞ!」という気分になりました。
JR網走駅は、実は市街地から少し離れています。とはいえ、市街地には閉店しているお店が多いのも網走の現状です。網走で宿泊する場合は、網走駅近くか、徒歩で10分ほど離れた市街地のどちらかを選ぶことになります。
駅の近くには網走川が流れています。海からか網走川からか、カモメの鳴き声が聞こえてきて、とても良い雰囲気です。
北浜駅
続いて訪れたのは、冬季にはオホーツク海の流氷が見れる駅として有名な北浜駅です。
冬期には「流氷物語号」が運行しており、この北浜駅では長めに停車し、オホーツク海の流氷や景色を楽しむことができます。
北浜駅は無人駅です。観光地らしさを感じます。こうした工夫はとても大切だと思います。ここで写真を撮ってネットにアップする人が増えれば、それだけで宣伝効果があります。
実際に、わたしも写真をアップしています…
夏なので流氷は見られませんが、それでもこの景観は素晴らしいです!
北浜駅は、海に近いという点で、四国のJR下灘駅を思い起こさせます。駅にカフェがある点も共通しています。
冬には、すぐそこまで流氷が押し寄せます。次は冬に訪れたいと思っています。
やむべつ駅
「駅があったら立ち寄れ」という旅の信念に従い、天に続く道へ向かう途中でやむべつ駅にも立ち寄りました。
やむべつ駅は、北浜駅と同様にJR釧路本線の駅です。
北浜駅には喫茶店がありましたが、こちらにはラーメン屋がありました。今回はおなかいっぱいだったので立ち寄りませんでしたが、次回はぜひ訪れてみたいと思います。
北海道のJR駅舎は、待合室がしっかりしているのが特徴です。寒い冬でも安全に電車を待てるような工夫がされているのだと思います。都内では待合室のある駅は少ないですよね。
そして、待合室には昭和的なレトロ感が漂っていて、これがまた楽しめます。
ローカルな雰囲気がいいですよね。この光景がすごく気に入っています。
網走での夕食
網走駅周辺も、稚内と同様に夕飯を取る場所が限られています。多くのお店が早めに閉店するか、居酒屋が選択肢となります。
基本的にお酒をあまり飲まないわたしは、旅では居酒屋には行きません。
この日は、網走の商店街にある「なると」さんで若鶏の半身揚げを持ち帰りして、ホテルでいただきました。
「なると」は小僧寿司系のチェーン店で、併設していた小僧寿司でお寿司も購入しました。
ドーミーイン網走
以前、北海道鉄道縦断の旅を計画していましたが、北海道の歴史的かつ記録的な大雪で断念したことがありました。その際に予約していたホテルの1つがドーミーイン網走でした。当時、快くキャンセルを受け付けていただいたので、いつか宿泊しなくてはと思っており、今回の網走では迷わずドーミーイン網走を予約しました。
ただ、駅からは少し離れています。真冬の網走でスーツケースを引いてここに来ることを考えると、少しゾッとしました。
朝食は、「あれ、どこかで見たことがある」と感じました。実は今回の旅で、稚内、網走、そして帯広のドーミーインに宿泊しましたが、朝食のメインメニューである海鮮丼のネタはどのホテルでも同じでした。
結果として、毎日のように同じ朝食メニューを食べるこになってしまいました…。経済合理性を考えたらしょうがないです…かね。
ドーミーインと言えば、夜間に提供されるミニラーメンの「夜鳴きそば」が有名ですが、個人的には塩分が強すぎて、あまり好みではありませんので、今回もスキップさせていただきました。
さいごに:網走の観光地で思ったこと
北海道には、自然を活かしたた観光地が多くあります。農地や道路を含む景観が、そのまま観光地になることも少なくありません。網走も自然を活かした観光地が多くあり、観光業は網走の主要産業の1つです。
天に続く道もその一例です。道路自体が観光地化していますが、入場料などで収益を得ることができません。
しかし、その周辺には展望台や駐車場が整備されています。これらが個人の土地か行政の管理下にあるかは不明ですが、せっかく観光地化しているので、少なくとも駐車場料金を徴収し、網走の収益にすることができるのではないかと感じました。
収益が得られれば雇用を生むこともでき、雇用が増えれば網走の人口が増え、税収も増加します。
仕組みがなければ、観光客が訪れても収益が生まれません。人気のある観光地が存続するためにも、観光による収益や税収は非常に重要だと感じました。
旅行日:2024年8月
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