会社を定年退職後

 月曜日。5時に起床。洗面後、歯を磨く。朝ご飯を食べる。届いている朝日新聞を一通りみて、時計を見ると「6時20分」。「出掛ける準備をするか」。スーツを着て、腕時計を付ける。革のカバンを持ち、玄関でブラックのプレーントゥオックスフォードを履く。「いってきます」とドアを開けながら心の中で言う。アパートを出る。鍵を締める。

 公園を散歩をする。ジャングルジムの横を通ってみる。会社のある方向へ向かう。しかし、自分は会社を定年退職している。

 会社に行く途中にある喫茶店に入る。いつも頼むブレンドコーヒーを頼み、店に置いてある日経新聞、産経新聞を読む。5分でブレンドコーヒーがくる。「9時までいるか」と考え、2杯目のコーヒーを頼む。

 8時45分、店を出て、市立図書館へ向かう。外で待っている人を見る。「この初老の男性は、開館時間に真っ先に入り、産経新聞を見るんだよな」と思う。開館時間になると、「今日は何を読むか」と考えながら、入る。新聞と雑誌の閲覧コナーを横目に、日本文学の棚へ向かう。太宰治の全集を手に取り、テーブルへもっていく。「パンドラの匣」をとりあえず読んでみる。

 時計を見ると、「11時45分」。続きはまたの機会にする。「昼ご飯はどうするか」と考え、ラーメン屋に行くことにする。

 市立図書館から、徒歩20分のラーメン屋へ行く。店に入り、カウンター席に座る。醤油ラーメンを頼む。私はよく醤油ラーメンを頼む。理由は特にはない。周りを見ると、オールインワン 姿の男が4人カウンターに座っている。頼んだ醤油ラーメンがくる。「いただきます」と心の中で言い、手を合わせる。まずはメンマを食べる。やはりメンマはうまい。7分で食し、お会計し、店を出る。「ごちそうさま」。

 近くの公園へ向かう。ベンチに座り「少し休んでから、本屋へ行くか」と考える。視線の先のベンチを見ると、弁当を食べながら話しているワイシャツ姿の男性が2人いた。「おれは、会社に行っていたときは、大抵、自分の席で一人で食べていたな」と思い出す。

 本屋へ向かう。今から行く本屋は、よく行く町の本屋さんである。明治の初年に創業とホームページには書いてある。店に入ると、ビジネス週刊誌のコーナーに行く。革のカバンを、雑誌が平置きされている上に置く。そして、『週刊東洋経済』を読む。少しすると、20代くらいのスーツ姿の男が隣にくる。少し横目で見ると、私を睨んでいる。よくわからないので、無視する。一通り、他のビジネス週刊誌を見た後で、革のカバンを持ち、文庫コーナーへ行く。次に二階へ向かう。歴史、哲学、新書と次々に棚をみていく。三階の古本コーナーへ行く。ここへ来ると長居してしまう。歴史の棚をみると、『岩波講座日本歴史』が目に入る。手に取って、読む。「そういえば」と思い、時計を見ると、「14時30分」。「本屋にいると時間が過ぎるのが早い。そろそろ行くか」。

 公益財団法人が運営している施設へ行く。ここは、ホテルやトレーニングジム、レストラン等々が入っている。施設に入り、エレベーターに乗る。六階のボタンを押す。六階は通路に一人用のソファが二つあるのだ。それに、それほど多くの人が通らない。この施設で働く従業員と、法テラスに用事のある人、あとよくわからないが若い人が通る。一つのソファにカバンを置き、もう一つのソファに深く座る。考え事をし、少しつぶやく。たまに前を通る人をながめる。そして、目をつぶる。

 目を開ける。どうやら寝ていたようだ。少し遠くで、初老の男性がこちらを見ている。時計を見ると、「16時35分」。

 施設を出て、スーパーマーケットへ向かう。発泡酒二缶と適当に野菜をいくつかと鶏肉200gを買う。炒め物とビールで夕食だ。

 アパートの前に着く。鍵を開ける。「ただいま」。


 (書き直すと思う)


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