玄奘西へ行く24

「その金の輪が頭から外れぬ限りお前様に本当の自由はない!」
玄奘が死んでもいつかきっと誰かがお前をその輪の力で支配することになるのだ。緊箍児を外すには無事玄奘を天竺まで送り届けるしかない。
妖怪について我らの見識の浅さは謝る故どうか機嫌を直してくれ。と言うような内容の熱弁を悟浄がふるうが、悟空は聞かない。
兄者俺が悪かったよう!あの娘は確かに死体だった!己の欲深さからの過ちだ!八戒も詫びを入れる、が悟空は、
「さらば兄弟!」
すると突然空から空から五本の(何本でもいいけど…)剣が降ってくると悟浄の腹を貫いた。
なにごと?
悟空が身構える!八戒も突然の出来事に狼狽した。
和尚!大丈夫か?二人は悟浄の元にかけよった。
「なに…日常茶飯事だ。かれこれ数百年毎月のように見舞われる、何かの罰なのだろう…半刻もすれば剣も消え苦痛も和らぐ…」
悟浄は血反吐を吐きながら言った。
「毎月?和尚、あんたよほどの悪事を働いたな?こりゃひでぇ、はらわたがとびでちゃってるぞ!」
八戒がはらわたを腹に押し戻しながら言った。
「孫行者よ…ワシを哀れと思うなら頼むから八戒と一緒に玄奘を救い出してくれぬか?ワシも後から必ず向かう…お願いだ…」
猿は血反吐を吐く悟浄の顔を見た。
「わかった。師匠を探そう!アホンダラは鼻を効かせろ!土地神!土地神!」
地面から煙が上がり土地神が三人浮き上がる。
「おうおう、猴王様、ご無沙汰しておりますじゃ。何か御用で?」
これこれこう言うわけだ、妖怪の住んでそうな場所を教えてくだされ。
豚は鼻をヒクヒク、玄奘の匂いを嗅ぎ分ける。
「兄者!どうやら南から微かに師匠の匂いが漂ってくるぞ!」
「よかろう、土地神達の話とも一致する。化け物退治だ!八戒!」
二人は雲に乗って南へ向かった。


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