大学軟式野球~ボクらのパッション~#1植田信照(慶應義塾大学)≪後編≫
前編では、植田さんのこれまでの野球歴や大学軟式野球を選んだきっかけ、ご自身が野球をやる礎になったことなどを中心にご紹介させていただきました。後編では少し踏み込んで、植田さんの大学軟式野球に対する考えや今後の展望などを語っていただきます。
∥大学軟式野球を最初に見たときのイメージは∥
1年生の秋、公式戦の1試合目で先発投手を任せていただきました。即戦力ルーキーとして挑んだ大学軟式野球デビューのマウンドは、早稲田大学を相手に6回9失点と大炎上してしまいました。自分の今の実力では全く通じないこと、高校軟式野球とはレベルが全然違うということを身を持って感じました。
東京六大学リーグの運営は学生主体なのですが、それにも関わらず大規模な大会が開催できていることに正直驚きました。
∥軟式野球というカテゴリーの中で、大学軟式が果たすべき役割とは∥
硬式ボールよりも安全な軟式野球は、手軽に楽しめるという側面で日本の野球人気に大きな影響を与えてきたと言われています。
また、社会人になって改めて感じるのですが、健康的でお金がかからず、多くの人と関わる草野球は趣味としてもかなり適していると思います。週末の土手沿いで様々な世代が軟式野球を楽しんでいる姿は、健康大国を目指す日本にとっての理想像そのものとも言えると思いますよ。
大学時代に野球に携わる方法はいくつかあると思いますが、その中でも大学軟式野球は様々なバックグラウンドを持つ学生の受け皿になっており、今後もそうあるべきだと感じます。
硬式野球部に入部する学生は高いレベルでの野球を続けたい学生がほとんどである一方、大学軟式野球の場合は学業やアルバイトとの両立を目指す学生や、高校で一度野球を離れたものの再び戻ってくる学生、ケガなどが原因でプレーはできない中で運営側として野球に関わりたい学生など、多種多様です。
大学軟式野球の一番の魅力は部活でありながら自主性と自由度の高さだと感じており、人それぞれ様々な活躍の仕方があると思います。
高校までのやらされる野球とはまた違った、競技そのものを楽しむという原点に立ち返ることができる大学軟式野球を通して、社会に出てからも趣味として野球を続ける層が増えていくことを強く望みます。
日本代表選手としてグアムの学校で野球普及活動をする植田選手
∥SNS活動をどう思うか、今後どうしていくべきか∥
大学軟式野球の露出は、SNS等を通じて増えてきているとは感じますが、まだまだ認知度は低いと思います。
前述したように、大学軟式野球はプレイヤーに限らず様々な貢献の仕方があり、幅広い人材の受け皿となり得ます。是非多くの学生が大学軟式野球を選択肢し、幅広い分野で活躍してくれることを望みます。
∥大学軟式野球の魅力と今後の展望、思い出∥
お金が発生するビジネスとしての野球以外は、基本的にはプレーする本人達が競技を「楽しむこと」が目的であり、大学軟式野球も例外ではないと思います。
数ある大学での選択肢の中からわざわざ軟式野球部を選ぶ理由は、自身の目的や実現したい生活を達成するために最適な手段だったからです。
そのことを踏まえると、今後の展望としてはこれまで通り大学軟式野球を選んだ学生が4年間の部活動を通して成長し、楽しめるような仕組みを作っていく方向性を目指すべきだと思います。
自身としても、今思えば軟式野球部を選んだ理由は楽しそうだったから、ということに尽きる。結果、4年間のリーグ戦や六大学の台湾遠征、日本代表の活動などを通して入部当時には想像もしていなかった数多くの人との関わりやかけがえのない思い出が沢山できました。
植田さんへのインタビューで感じたことは、大学軟式野球は学生主体であるため様々な役割分担の中で人を動かし機能させていかなければならないためプレイヤーオンリーという考え方では通用しないということです。
この考え方は、アメリカの全米大学体育協会(通称NCAA)に類似すると思います。NCAAには、体育局という部門があり、プロフェッショナルな人材が登用されています。大学内でインターンのような形で学生がその仕事に携わることが出来ます。これは、植田さんの言う大学軟式野球の連盟の運営方法と似ている点があると思います。またスポーツを楽しむという点では、幼少期にアメリカで過ごした経験が強いのかなと思いました。
最後に、ボクが母校明治大学の学生に良く言うことがあります。
「大学軟式野球の選手は、野球で飯を食っていくわけではない、
しかし、野球をやってきたことで飯が食えることがある」
実際ボクは、大学軟式野球に関わったことで世代を超えていろいろな方とお酒を酌み交わし、交流することが出来ています。そういったネットワークを大学軟式野球を通じて生み出し、仕事やライフスタイルにも繋げていくことが出来れば最高だなと思いますね。
本日も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
またさまざまな大学軟式野球人を取材していきたいと思います。
次回も期待してください!!
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