チーズタッカルビ

 休日前夜、彼氏に焼いてもらったサーロインステーキを(この人マジでステーキ焼くの上手ぇなあ~)と思いながら頬張っていたら、彼氏が突然「明日の晩御飯はチーズタッカルビです!」と発表してきた。

???
私の誕生日は来週だが?

今も何?サーロインステーキって。
何気ない夕食に食わせてもらっていいんか?

ハッピーバースデー♪毎日が記念日♪
つってか?
どうやら私達はPUFFYだったみたいです。

「ホットプレートもポチった。明日届く!」
ホットプレートもポチったの?準備万端じゃん。

もしかしてだいぶ前に私が、チーズタッカルビの流行りに乗り遅れ、この歳にしてチーズタッカルビ童貞な事を恥ずかしく思っていると言った事を覚えてくれてたんか?めっちゃえぇ奴やんけ。ありがとうな。

 「チーズタッカルビは何度もした事がある。まぁ、任せな」と言う彼氏がなんだかいつもより男前に見えた。


 翌日、日がかげってきた頃合いを見計らってゴムボールとエコバッグを持って家を出た。

万全の状態でチーズタッカルビを食べる為にも食前の運動は必要不可欠やからな。

 まずは近所の公園へ向かう。
行きしにコンビニに寄って彼氏は酸っぱそうなスポドリ、私はガリガリ君を買った。

いつも思うけど、彼氏はコンビニの食べ物に詳しくてすごい。美味しいジュースとか、お菓子を教えてくれるのでいい奴です。
私は普段、コンビニでは水かカートンしか買わへん。おっさんみたいやな。

 公園に到着して、最近お熱のキャッチボールに勤しんだ。前回した時は「思ってたよりも(ボールを)捕れてる」と褒めてもらったから、今回は上手に投げれるように頑張った。

マジでガチっているので特に会話も無くキャッチボールを終え、お互い運動不足のアラサーなので怪我に気をつけながらひとしきり遊具で遊んだ後にスーパーへ向かう。


 スーパーで食材を買い物かごへ集め終えてレジへ向かうと、彼氏の知り合いに会った。
その日の私の服装は、黒地に白のヒョウ柄のシャツに薄い緑のカラーサングラスと、お世辞にもお上品な女のする格好ではなかったので少し恥ずかしかった。

 チーズタッカルビの肉は鶏肉で、チーズと肉以外にも実は野菜が入っているという事を初めて知った。
食後のアイスと、大好きなリンゴジュースも買ってもらってるんるんで帰路につく。

 帰宅。タッカルビの準備に取り掛かる。
私は野菜を切る係に任命されたけれど、何せタッカルビ初心者なので彼氏の指導の元、サイズ感に細心の注意を払いながらカットしていく。

 準備も終わり、新品のホットプレートが登場。
「安物やから蓋も無いし、ちゃんと使えるか分からんけど。。。」と彼氏が箱から取り出してくれた。
何をぬかすか。ウチはアンタのその真心が嬉しいんや。分かるか?
温まらなんだら、下からジッポで炙ったるやんけ、安心せんかい。


ほんで、出来たものがこちら

見た事あるやつ!!

(途中、蓋代わりのアルミホイルをめくり、中の様子を伺おうとする度に「素人が手ェ出すな!!!」と手をはたかれた。タッカルビ職人やん。)

 味は、韓国料理なハズなので辛いのかなと思ってたけど、全然辛くなかった。食べた事ない味した。おいしい。

私が丹精込めて切った野菜が、入れたはずの野菜が!
全然見当たらなくてパニクってたら全部チーズに吸収されていた。どういう科学?

 私の持っている、にわかタッカルビ・ノウハウをひけらかした所「まぁ、チーズタッカルビってチーズフォンデュやから」で、締められた。

チーズタッカルビへの真心★1かよ。今すぐタッカルビ職人を引退して下さい。

 『習うより慣れろ』
私が陶器職人として働く中で、実感した事の1つです。
彼氏がタッカルビ職人を引退した今、次回からは私が新米タッカルビ職人として、彼氏にチーズタッカルビを振舞ってあげようと思いました。


ハッピーバースデー♪心から届けたい♪


おしまい

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