「ずっと死ぬことばかり考えていた」大人たちが、苦しい思いをしている『あなた』に伝えたいこと
毎年9月1日に若者の自殺者数が最も多くなるという事実を受けて、配信している7日連続のインタビュー企画『9月1日の君へ』。
今日までに、『不登校新聞』編集長の石井志昂さん、NPO法人D×Pおよび株式会社SOLIO代表の今井紀明さん、社会学者の大澤真幸さんにお話を伺いました。
お三方はそれぞれ、過去にご自身も自死を意識したことがあったそうです。
そのくらい、深く深く悩み、苦しんだからこそ、現在の活動をされるように
なったんだ…と感じたお話でした。
●石井志昂さん
・中学生の頃は「大人=学校の先生」と思っていて、それが大人ならなりたくないと思っていたが、現実には素敵な大人たちがたくさんいる。そういう素敵な大人に向かっていくかけはしが、実はたくさんある。
・今でも失敗ばかりだけど、大人のほうが(中学生の状況よりも)ゆるい。
・キラキラしてない普通のものでも、人生はずっと続く。
・「学校に行きたくない」ことを大泣きして親に伝えた。
・フリースクールに行って「自分だけじゃない」という感覚に救われた。
・中学中退でも、今こうして生きている。
●今井紀明さん
・コロナ禍で困難を感じる若者が増えている。
・若者ひとりだけの力で乗り切れる状況じゃない。
・「頼る」ということが自立につながる。
・遠慮なく社会に甘えていい。
・自身も4-5年間引きこもりだったが、それで人生終わりじゃない。
・「メッセージ」は伝えられない。その人の話を聞きたい。
・「言葉」だけでなく、無言もコミュニケーション。
●大澤真幸さん
・小学生から高校生まで、ずっと死ぬことばかり考えていた。
・唯一少しマシだった中学生の頃の友人と数年前に再会したら、「大澤くんがこの年まで生きてると思わなかった」と言われたほど。
・家にも学校にも居場所がなかった。
・研究者の世界は比較的学校の勉強が活かせる職業だけど、それでも学校で学んだこと以外が活かされていることのほうが多い。
・学校は「行かなければいけない場」ではない。
・15歳の頃に出会ったニーチェの『ツァラトゥストラ』で、自分は人間の底知れない深みや複雑さが理解できる人間だと思えた。
・いじめている人たちにはおそらくそういったことはわからない、と思うと「憐れみ」のような気持ちが芽生えてきた。
・「言葉」になるということの意味。
・いじめられている側は100%悪くない。
・『鬼滅の刃』に見た、悪と善の紙一重さ。
・「空気」を重視する日本社会。
・「空気を読まない」ということは、あるとき(青年期)まではネガティブ要素だが、あるときからはポジティブ要素に転換する。
・一見プライベートなことに見えるものも、実は社会構造によって起きている。
・何も問題なく生きている、ということのほうが不思議なような現代社会。
・「考える」ということだけでも、人間は少し解放される。
・結論や解決策が出なくても、「考える」だけでも、問題から半分くらい外に出られる。
etc......
苦しみぬいた過去があるから今がある、というのは結果論かもしれないけれど、その経験がなかったらきっと今のお三方にはなっていなかっただろうな、という気がしました。私も自分自身に対してそう感じています。
『不登校新聞』が編集している書籍『学校に行きたくない君へ』の中で、茂木健一郎さんが「苦しい思いを抱いた人は、その後情熱的に生きる傾向にある」と語られていましたが、その通りだと思います。
今、苦しい思いをされている人には、そうじゃない人にはできない素質や可能性が秘められている気がします。
そんなことを聞いても直接的な現実の解決にはならないかもしれませんが、悩み・苦しんでいる若い人が抱えている悩みについて、ゲストのみなさんも私も、自分ごととして真剣に真剣に考えています。
ひとりぼっちじゃないことが、少しでも救いになるよう願っています。
明日からの四日間は生配信にて、本川達雄さん(生物学者)、夏目誠さん(精神科医)、安藤寿康さん(教育心理学者)、小林康夫さん(哲学者)にお話を伺います。もし今まさに苦しい思いをしている方がいらしたら、コメントにてその思いを聞かせてください。一緒に考えさせていただけたら嬉しいです。
拡散にご協力くださったみなさま、本当にありがとうございます。みなさんのお力添えに心から感謝しています。引き続きどうぞよろしくお願い致します。
代麻理子
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