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「工具」と「KARATSU」


『gui』133号(ドゥカム、2024年12月1日)
國峰照子「工具」

『gui』133号(ドゥカム、2024年12月1日)を頂戴した。挟まれていたメモ書きに《國峰照子さんの「工具」は林さんのポストカードでお便りをお送りしたことがきっかけになった作品です》とあって驚いた。うれしいです。

林哲夫「父の道具」ポストカード

本号には他に、金澤一志氏の「空に書く高橋昭八郎論・アラモンタン」が掲載されている。そこには盛岡のジャズ喫茶「モンタン」と『VOU』との関係がかなり詳しく描かれていて、貴重な喫茶店資料になっている。

はっきりと聞いてはいないのだけれども、苦役五連発を北園克衛にけしかけたのは高橋さんだったようだ。一九六一年に北上から盛岡に移った高橋さんは、当然のようにモンタンに通いはじめた。すでにこの店では定期的に定期的に美術展が開かれていて、周囲に奇跡的に気鋭俊才ばかりがあつまって遜色がなく、わが地元の誇れるホットな店に形象展誘致をこころみたのである。
 もんたん、モンタン、MONTAND、正式名がわからないほど当時かの表記はめちゃくちゃだが外看板がモンタンだからモンタンとしよう。「VOU」誌上では「純喫茶もんたん」となっている。評判を耳にしたマル・ウォルドロンが三度も来訪したという東北地方随一のジャズ喫茶として音楽史にも名をのこす。

p85


金澤一志『KARATSU』(2025)

ほぼ同時に金澤氏より『KARATSU』(2025)という冊子が送られて来た。これは唐津へ移った高橋昭八郎氏を訪問した折の写真と文と詩による記録である。

高橋さんの 家に向かうには 唐津駅南口から タクシーに乗り タカハシさんの家まで と告げるだけでいい 唐津のタクシー業界では よく知られた 存在なのだった 運転手さんによると 唐津に越してきた当初 頻繁に 海外からの 訪問者があったらしい それほど 外国人が多いわけではなく 観光ならば 北口をつかう 住宅地しかない 南口で だれもがタカハシタカハシというので 運転手さんたちも おぼえてしまったのだという あのおじいさん なにをしてる人なのかね と何度も訊かれた ああみえて えらい芸術家なんですよ と答えておいた 

p08

ときおり 唐津駅まで 高橋さんが 出迎えてくれることがあった
そういうとき 駅からご自宅までは タクシーである 運転手は
博多弁 助手席の高橋さんは岩手弁 おお 五十音図の 干渉波
はタクシーの車中にまで 

p15

唐津へ行ってみたくなる。先年、糸島まで行ったのでもう一足のばせば・・・古本屋もあるみたいだし。

金澤一志『小説集 サリとリサ』
https://note.com/daily_sumus/n/ne866c6a58576


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