この『ポロック』、画集としてのクオリティは低いものの、収められた図版はいずれも、最近のノッペリとしたカラー印刷では決して見られない、鈍い美しさをもっている。ポロックってやっぱりいいなあ、と微妙に網点のズレた図版を眺めながらため息をつく。
だいたいにして画集のテキストほど面白味のないものはないのだが、本書もその例に漏れない。ただし挟み込みの「現代美術〈月報〉」(1963.11.25)に清水楠男(東京・南画廊ディレクター)が寄せている短文「ブルー・ポールズ」は当時のポロックや南画廊の状況を彷彿とさせる非常に興味深い内容だった。前置きの部分のみカットしてあらかたを引用しておく。読みやすいように原文の改行を1行アキとした。