徒連徒連成ままに日ぐらし硯にむかひて
京都百万遍知恩寺で恒例の秋の古本まつり。その会場にてボロボロの一冊『新版絵入徒然草』上巻を発見した。『徒然草』の写本・版本の系統について川瀬一馬はこう書いている。
『徒然草』は二百四十三段、上下二冊から成る。上巻が百三十六段、下巻が百七段。
ということなのだが、通例に反して、本書の上巻には百三十七段「くすしあつしげ」まで掲載されている。どうして? と思って確認してみると、講談社文庫版では百三十六段が「医師篤成」となっており、上巻で一段増えていることが分かった。
どこが増えたのだろう? 順にめくって行くと講談社文庫版十段「家居につきづきしく」と十一段「神無月の頃」の間に十一段として「後徳大寺のおとど」が立ててある。ここは文庫版だと「家居につきづきしく」の中に繰り入れられて一段にまとめられているところ。後半部を独立させたのである。内容的にもここは別話と考えて問題ないようなので、たしかに一理あるなと思う。
以下に絵入の部分だけを掲げておく。文庫版では「序」が《つれづれなるままに》、第一段が《いでや、この世に生まれては》としてあるが、本書では序がなく第一段でいきなり《つれづれなるままに》と始まっている。
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