人間の言葉で演説するよりも、犬にでも吠へさせた方が余程効果がある
ある古書目録に長谷川如是閑の著書がずらっと並んでいた。なかに挿絵・柳瀬正夢と注釈のある本書を見つけて注文してみたら、無事昨日届いた。まだ支払いが済んでいないのだが、まあ、明日には入金できるだろうから、本書の挿絵を楽しんでいただきたい。柳瀬の本は以前にも取り上げている。
『柳瀬正夢画集』真理社、昭和23年10月30日
https://note.com/daily_sumus/n/n5e0c5e3fa9da
せっかくだから如是閑の文章も拾い読みしてみる。世界の新聞を読んでいると書かれているだけあって、古今東西、地球レベルの話題で、今日の国際ニュースを見ているのと、そうは変わらない広さと深さがある。当時は英国が統治していたイスラエルとパレスチナの問題もすでにかなりこじれていたことが分かる。
いろいろ面白いことを書いているが、ここでは映画やドラマなどでよく見かける演説中止の様子を取り上げてみたい。大山郁夫が衆議院議員総選挙に立候補したので香川県へ応援演説に如是閑が出かけたときの様子である。まず大山郁夫のウィキからそのくだりを参考までに引いておく。
「組織の力」と題されたその一文は昭和3年3月に発表されている。少年時代に政治演説を聞いて気分が悪くなった話からはじまって、自分がその嫌いな演説しなければならなくなったと続ける。
知人の警察官は善良な人ばかりだ、だから警察官の多くは善良な人々なのだろう、しかしその善良な彼らがこんなことをするのだから組織の力は恐ろしい。無産階級の組織化が必要な理由がここにある、という結論になっている。