まなぶことがあるだろうか 平和はありえないし、戦争はおわらないことを
ボブ・ディラン「SLOW TRAIN COMING」(CBS SONY, 1979、日本盤)を行きつけのレコ屋エンゲルスガールにてもとめる。やはりジャケ買い。8年ほど前にフランスのCBSからリリースされたシングル盤「Animals (Man Gave Names To All The Animals) / Trouble In Mind」(CBS, 1979)を買ったことがあったのだが、それと同じほぼ同じイラストレーション(トリミングが異なる)。
ANIMALS
https://sumus2013.exblog.jp/25579239/
イラストレーションはキャサリン・カナー(Catherine Kanner)。西海岸でアート・ディレクター、グラフィック・デザイナーとして活躍しているようだ。ただアルバムのジャケットを手がけた仕事は少ない。
Catherine Kanner Design & Illustration
https://www.catherinekanner.com
このアルバムはディランがユダヤ教からクリスチャンに改宗したということで旧ファン層にはウケが悪く、その反面、クリスチャンの新しいファン層を得たとも言われているが、さて、どうなのか、本当のところは分からない。
たしかに歌詞には「God」や「He」(主:しゅ)が登場して、少々お説教くさくなっている。とくにB面最後の曲はゴスペルと言っていいだろう。音に関してはダイア・ストレイツのマーク・ノップラーとピック・ウィザーズの二人が参加しているだけにダイア色がかなりはっきり出ている曲も多い。レゲエ調もあるし、全体としては軽いノリで音としては聴きやすいように思う。個人的にはその最後の曲「WHEN HE RETURNS」が好みだ。これは本アルバムのなかではもっとも60年代の曲を想わせる。歌詞も聖書を下敷きにしているにしても、さすがディランという換骨ぶりかと。
アルバムにも歌詞カードは付いているが、これがちょっと難儀なシロモノなので、BOB DYLAN のオフィシャル・サイトから歌詞の全文を引用しておく。歌詞カードの翻訳は片桐ユズル。悪くはないが、どうかなと思うところもなくはない。よって引用はやめておきます【ただしこの記事のタイトルは片桐ユズル訳より取りました】。英文ウィキペディア「WHEN HE RETURNS」の執筆者が「風に吹かれて」の歌詞と共通するところがあると指摘しているのはうなずける。