非常に斬新なサウンドにもかかわらず、レトロ感たっぷりのメロディが流れ、たちまち身も心も陶然となってしまったのだ 6 daily-sumus note 2024年6月30日 19:34 加藤和彦「Belle Excentrique」(ワーナー・パイオニア、1981)『SIESTE』第3号の巻頭、松本完治「黒い太陽ーーハリー・クロスビーの計画された自殺」で書き出しにこのアルバムへの賛辞が連ねられている。 レコードジャケットは、金子國義の金色と黒で決めた、とびきり瀟洒なデザイン。中を開けると、これまた歌詞を印字した金色のリーフレットが出てきて、海野弘が「フォール・エポックふたたび」という素敵な文章を書いている。ヴォーカル&ギターは加藤和彦だが、ドラムが高橋幸宏、ベースが細野晴臣、キーボードが坂本龍一、ピアノが矢野顕子……と今や伝説的な錚々たるメンバー。 レコードに針を落とすと、当時では画期的だったYMOならではのシンセサイザー等を駆使した非常に斬新なサウンドにもかかわらず、レトロ感たっぷりのメロディが流れ、たちまち身も心も陶然となってしまったのだ。p3 中略 そしてB面エンディングが、エリック・サティの《JE TE VUEX》。これがそのまま流れるのではなく、坂本龍一がピアノとシンセサイザー(Prophet 5)、高橋幸宏がドラムでアレンジ、原曲よりも華やかにフィナーレを飾るに及び、私の頭は二〇年代一色に染められるのであった。 この麻薬作用により、私は一九二〇年代関連の本を読み漁り、没入したあげく、ついにその年、アール・デコの旗手、エルテの絵を表紙にした二〇年代懐旧の手書き冊子を作りまでしたのである。そしてそれが縁で、翌八二年、当時「アール・デコ文学叢書」を奢灞都館で企画されていた生田耕作先生にお目にかかれる機会を得ようとは、誰が予想できたであろう。十九歳の私は、それ以降、生田先生からシュルレアリスムの思想的洗礼を受けるのである。 p4一枚のアルバムから全てがはじまることもある。たしかに、金子國義のジャケットアートに痺れます。「SIESTE」第3号(午睡書架、2024.6.20)午睡書架https://x.com/gosuishoka ダウンロード copy #加藤和彦 #金子國義 #松本完治 6 この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか? サポート