空圧配管内になぜ水分が発生するのか?その対策とは?
厳しい暑さが続きますがいかがお過ごしでしょうか?
特に今年は、当社の所在地である大阪が全国で一番の暑さを記録した日が何日かあったようで、本当に身体に堪える日々が続いております。
この猛暑の時に発生しやすいトラブル事例の一つとして、今回は有限会社 秋山産業の取扱商品にも関係する『空圧配管の水分発生』についてお話ししたいと思います。
サンドブラスト機やエアブラシ、エアタービン、エアーブローガン等の空圧を用いた機器・工具をお使いの方で、
圧縮空気(以下、「エアー」言います)と一緒に水が出てくる
出てくるエアーが何となく湿気っぽい
と感じた経験はありませんか?
一番わかりやすいのは、エアーブローガンから湿り気のある空気が出てくる状況ですね。
エアーから水が出てくるのは、空圧配管に水分が溜まっている証拠です。
この水分は、空圧を用いた機器・工具のトラブルを発生させることは勿論、冬場には空圧配管や周辺制御機器などで凍結を発生させる恐れもあります。
なぜエアーに水分が発生するのか?
まずは「空気の圧力を高くする(=エアーになる)となぜ水分が出てくるの?」について説明したいと思います。
エアーはエアーコンプレッサーによって作られます。
エアーコンプレッサーとは、空気(大気圧)を数倍に圧縮する機器です。過去の投稿で詳しく説明しておりますので参考にしていただきましたら幸いです。
エアーコンプレッサーで作られたできたてホヤホヤのエアーは、高温で水蒸気を帯びています。
なぜ空気を圧縮するだけで高温になるのか?
この理由は『圧力を上げると温度が上昇する』という法則があるためです。「断熱圧縮」とか「ボイル=シャルルの法則」とか言われているものです。
また、空気には目に見えませんが水蒸気が含まれています。空気中に含むことのできる水蒸気の量(飽和水蒸気量といいます)は温度が高いほど多くなっています。
この高温のエアーが常温まで冷却される過程で、水蒸気が「空気」と「水」に分離されることで、空圧配管内に水分が発生します。
これは、温度が下がるとそれまで空気中に含まれていた水蒸気が含みきれなくなって水滴になり始めるためです。たとえば、夏場に冷たいドリンクをコップに入れてしばらくおくとコップの表面に水滴が付くのと同じ原理です。
この他にも、冬場の屋内外の寒暖差によって発生する空圧配管の結露等で水分が発生する場合もあります。
(結露については今回はこれ以上の説明は控えさせていただきます。)
なぜ空圧配管内で水分が発生するのか?
空気タンクでエアーを冷却することが重要
『できたてホヤホヤの高温のエアーが常温まで冷却される過程で、水蒸気が「空気」と「水」に分離されることで水分が発生する』
水分発生のメカニズムは何となくでもイメージしていただけたかと思いますが、大事なのはどこで冷却・分離させるか。。。
ベストな場所はズバリ!「空気タンク」です!!
空気タンクで水蒸気が「空気」と「水」に分離されると、水は空気タンクのドレン(排出口)から強制排出させることができます。
エアーコンプレッサーの取扱説明書に「ドレンをこまめに排出しなければいけない」と書いてある理由はこれです。
では、空気タンクでしっかりとエアーを冷却して水蒸気を「空気」と「水」に分離するにはどうすれば良いのか?
方法は以下2点になります。
使用する機器、工具に対して十分余裕のある出力(吐出量)のエアーコンプレッサーを採用する
エアーの貯蔵に余裕のある空気タンクを設ける
空気タンクでエアーを冷却できていないとどうなる?
逆に、「エアーコンプレッサーの出力(吐出量)に余裕がない」「空気タンクが小さい」とどうなるのでしょうか。
この場合、できたてホヤホヤのエアーは高温のまま直接空圧配管に送られ空圧配管内で冷却されて「空気」と「水」とに分離してしまい、空圧配管内に蓄積されてしまいます。
題目の「なぜ空圧配管に水分が発生するのか?」の答えがまさにこれです!!
おすすめの水分対策
空気タンクで適切に冷却する条件を整えたとしても対策は十分とは言えません。ドレン(排出口)以外でも水分を取り除ける環境を整えておくことが重要です。
ここでは空圧配管内の水分を除去する機器について、有限会社 秋山産業で取り扱っているものをご紹介したいと思います。もちろん、ご紹介するもの以外の機器を使うパターンもございますのであくまで参考情報として下さいね。
1.冷凍式エアドライヤ
エアコンの除湿と同じような原理で、冷却して空気中の水分を結露させる機器で、水分対策としては最も効果的な方法と言えるでしょう。
エアーコンプレッサーの近傍(空圧配管の主管の始点)に設置し、エアーコンプレッサーから供給された全てのエアーの水分を除去します。
定期的なメンテナンスは不要で、オートドレン搭載で取り除いた水分は自動で外に排出されます。
ただし、それ相応の価格がすることと別途電源が必要となります。
選定のポイントとして
エアーコンプレッサーの出力に応じた機種を選択すること
設定された入気温度(冷凍式エアドライヤに入るときのエアー温度)以下でエアーを管理すること
に注意が必要です。
なお、入気温度は冷凍式エアドライヤのメーカー機種によって、『標準入気対応機種』『高温入気対応機種』がございます。
有限会社 秋山産業では、主に国内大手メーカーのSMC社製を取り扱っております。
2.回転レシーブ式水取器「サン・ドレン」
「サン・ドレン」はウォーターセパレーターと呼ばれる、水分に特化した高性能エアフィルタの1つです。
特殊構造とステンメッシュ・フィルターの効果により、一般的なエアフィルタよりもさらに優れた水取り効果を実現します。しかもフィルター交換は不要で、ドレンは自動排出式(オートドレン)です。
空圧配管の主管のみならず、特に水分発生で困っている箇所へピンポイントに配置する目的としてもお勧めです。
冷凍式エアドライヤのように電源不要な反面、冷却効果は劣りますので、エアーの入気温度を十分に下げておく必要があります。このため、エアーを自然冷却させる為にコンプレッサーから15~20メートル離して設置するほうが良いです。
http://now-wind.com/sanaiHP/SANAI_catalogueNEW.pdf
夏場に特に水分は発生しやすいが、冬場も注意が必要
空圧配管内の水分発生は特に気温の高い夏場に多く発生します。
暑さのピークを抜けると「ようやく水が出てくるのが少し落ち着いてきたなぁ」と感じる場合があるかもしれません。
しかしながら、根本的に問題解決しないといつまで経っても水は出っ放しです。この状態で冬場を迎えると、気温が低いことによる配管内凍結の危険性もあります。配管内が凍結するとエアーを供給しなくなりますので作業自体ができなくなります。
また季節に関係無く、空圧を用いた機器・工具やエアーコンプレッサー自体の故障や空圧配管内の錆や腐食の発生による配管断裂等 思わぬ損失になる恐れがあります。
エアーコンプレッサーをお使いの方でエアーに水分が少しでも発生しているようでしたら早めの対策をお勧めします。ご興味、ご不明等がございましたらコメントや弊社Webサイトからお気軽にお問い合わせ下さい。