豊島紀 ㉑豊島先生の華麗なる講師術(追記あり)
『将棋フォーカス』の将棋講座「初段を目指す!スキがない将棋」、新講師豊島将之先生、絶好調である。
将棋フォーカスをご覧になる皆さまがたへ向けて、豊島先生の「予習のススメ」がツイートされた。先生がおっしゃるんですから当然、われわれもテキストを開きました。すると、
ものすごくマジメ一方のツイートである、ということがわかった。そして次の週には……、
テンプレかよ!
いやちがうね。たぶん豊島先生は、心から思っているのだ。
「初段を目指してもらうためには、事前にテキストを見ておいてもらったほうがよりわかりやすいから書こう。何ページかも書いておくと親切だ。でも予習なんて言うとかしこまってしまって見るのをやめる人もいるかもしれない。気楽に見てもらってもいいと必ず書いておかなくては」
それを端的に書いたらこういう文章になってしまったというにすぎない。毎週同じじゃアレだからちょっと色つけてつぶやいとこ、みたいな安いサービス精神などいりません。透き通った水晶のような美しいツイートなのだ。感動しないわけにはいかない。でもこれ見たあと、5ちゃんねるで、
これには笑ってしまった。学校時代、こういう先生いましたよね、固くてまじめで、しかし不思議と嫌われない先生ってのが。本人にその気はまったくないのに、たまにぽそっと出るひとことがミョーに可笑しかったりして「またとよぴー(と生徒にも呼ばれている)のアレだよ」みたいなさ。教科は、とか考え出すとへんな二次創作方面に行きそうなのでやめておきます。そういうのでキャッキャするのはキライなんだよ!
(4月22日追記その1)
第四週放映に向けて先生よりこんなツイートが出ました。
ここまで来ると天然なのか狙ってるのかもわからなくなってくる。(追記ここまで)
さてこの『初段を目指す!スキがない将棋』ですが、講座初回から、
「(このあとの局面は)自分の力でがんばっていただいて」
と受講者を華麗に突き放し、第二週もほぼ同じように「あとは自力で考えていただくしか」とスッパリ斬り捨て。
教えてる途中で「自力でがんばってくれ」って説明を打ち切るテレビ講座はなかなかない。豊島すげえ。これは豊島先生ご本人によると、
だそうです。気にしてたんだ。ここにも豊島講師の真面目さがにじみ出ている。あくまで本題を追究するという姿勢。講義のあいまに雑談で横道にそれるなんてことはなさそうだよな〜とは思っていたが(こっちはオール雑談だっていいぐらいのもんなのだが)、それどころではなかった。「たとえ将棋のことであってもその日のテーマから逸れることなどあってはならない」と自分を戒め、結果、生徒は突き放される。このマジメさ、融通の利かなさが「頑迷」などではなく「いい味」となる豊島将之。
それだけではない。『将棋フォーカス』放映が終わった頃を見はからって、講座の復習のため&より理解を深めるためのツイートもしてくださる。
……、………、…………。
先生、ありがとうございます……でも真綿で首を絞められるようです……私はダメな生徒です……。
(4月22日追記その2)
中日新聞のこの連載、さいしょのうちはもっぱら藤井聡太の話題でしたが、いま豊島ムーブに入っている。たいへんありがとうございます。この記事の写真は名鉄百貨店一宮店の初売り日『ぐるぐる将棋』ですね。その名鉄百貨店一宮店、閉店するそうで……たぶん年内閉店じゃないだろうから来年もぐるぐる将棋はあるとみてますが。
で、前段の追記の豊島講師ツイートと時を同じくして、「中日新聞 東京新聞 将棋【公式】」アカウントからこんなツイートが……ツリーぜんぶ読んでくださいねぜひ……。
さらなる追い打ち……。人類が初段になるためにはここまでいかなければならないのかという絶望。(追記ここまで)
それはともかく。第一週、第二週の「自力でなんとかしていただいて」発言は「いかにもマジメな豊島先生らしい笑えるひと言」だった。この講座のキメ言葉である、
「(手でPマークつくりながら)ぱーふぇくと、げーむ(やや棒)」
が、いわば「オモテのキャッチフレーズ」だとすると、「自力でなんとかしていただいて」は「裏キャッチ」で、
「(手でJマークつくりながら)JIRIKIで、なんとか!(ほぼ棒)」
なんてことになるのでは……と期待半分不安半分でいたところ、第三週にはこの裏キャッチ(勝手に決めるな)は出なかった。ひと月ぶん四回を一日でまとめて録ってると思われるので、「さっきも、その前も自力でって言ってしまった。どうも自分は同じことを言ってしまいがちだ。次は言わないようにしよう」と身を引き締めて臨んだのかもしれない。でもえりりんに「どSきた」とか煽られるから、
「もしかしてあれが待ち望まれたりしてる、とか?」「でも講師としてそれは」「でも本題から逸れるのは」と、そのあとの四本目の録りの時に「自力で」を出すべきか封印すべきか、やや迷っているところかもしれない。次の日曜日、第四週に豊島先生の口から裏キャッチ()が出てくるかどうか注目だ。(でも、ウケるからといってそれを調子に乗って毎回やるような人じゃないところが豊島さんのいいところなので、やろうがやるまいが、静かに楽しもうと思います)
ところで──。
ABEMAトーナメントのチーム豊島Twitterでの発言なんですけどね、これが出た瞬間の、将棋界隈の「ざ…ざわっ……」というどよめきはすごいものがあった。なぜなら、
豊島将之は対人研究をやめてしまった男
として有名だからだ。2020年に「対人研究再開しようかな」的な発言をしてるから「まったく人間と指してない」ってことはない(んですよね?)。けど他の、ふつうに研究会とかVSやってる棋士にくらべると豊島の対人研究の話というのはぜんぜん漏れ伝わってこないのだ(これが永瀬拓矢の研究会の話ならやたら聞こえてくる)。だからどうもいまだに「豊島の研究相手はコンピュータの中のソフトウエアだけ」みたいな印象があった。それがいきなり、
「対局(と同じくらい真剣に指すVS)なので早めに寝ます」
さらりといきなりすごいこと言うなこの人は! この書き方だとタダの練習将棋じゃないだろう! いいけど相手は誰なんだ!「対局(と同じくらい真剣に指す)」相手は!
と、読んだ人をして前のめりにさせてしまうツイートだったせいか、これが「匂わせ」とか言われていて、私としては「豊島将之は匂わせみたいな下品なことはしない」と思うし、その後も続報ツイートなど何もなく、AI相手でもヒト相手でもなんでもいいから豊島の将棋が豊かになってくれればいいのだ、と心を平静に保っていた、ら、
「ついにアイツと練習対局できました!」by菅井竜也
これが出たあともザワつきましたよね。アイツって! 「とよぴの匂わせ、答え合わせキター!」みたいな。相手は菅井さんなのか? 朝日杯の名古屋でも有楽町でもA級最終局前夜祭でも菅井さんは「豊島さん豊島さん」といじり倒し懐き倒してたし、VS申し込んでも断られ続けたって話もネタにしていたから「ついに!」ってことは菅井さん、思いを遂げたのか?
で、このネタで、ネットは蜂の巣をつついたような大騒ぎ(大ゲサ)だったんですけどね、こういうことでキャーキャーやってるのはホントにイヤなんだよ! 人のVSを笑うな 黙って見てろ! これで菅井さんのアイツが豊島じゃなかったとき吠え面かくなよ!
とだんなに訴えたら、アンタがいちばんキャーキャーやってるやんと言われた。はい。
大人しく将棋講座の予習します……。
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